さて、先週は今年の京都牝馬Sで、アスカトップレディを相手筆頭に選んだところまで話した。ここで思い出してほほしい。この間の京都金杯をテーマにした連載(10/12/28掲載)ので、アスカトップレディを買いたいステップだと話した馬だったことを。
しかし、京都金杯では内枠向きと話したのに外枠に入り、しかも差しに回った。本来、速い馬場を先行させて味がある馬だという話をしたのを覚えている読者も多いだろう。つまり、前走の金杯は当日の状況から力を出し切れていない。したがってストレスがあまり無いのだ。
さらに、京都牝馬Sでは3番手に同点で条件ベストのショウリュウムーンと、格上挑戦で鮮度の高いビッグスマイルを取った。
結果は、当日内も伸びる馬場になり、私の指定通り差しに回る位置取りショックも掛けてくれたのでドナウブルーがそのまま1着。内が伸びる馬場の分、2着は最内を回ったショウリュウムーン。3、4着には外から差してきたアスカトップレディ、ビッグスマイルが入り、私の挙げた予想上位4頭がそのまま4着以内を独占。3連複22倍が2点目、馬単20倍は3点目的中となったわけだ。
22倍と269倍。配当はまったく違うが、そのM的構造はほぼ同じなので、ともに2点目で当たったという、Mの教科書的な結末である。このように、3連複はレース質が読めると配当に関わらず当たるときは2、3点以内で当たりやすいという構造を持っている。
ここで、話を先々週のダイワメジャー産駒の続きに戻そう。フェアリーSのトーセンベニザクラをどうするか? という話までした。
前走の阪神JFでは格上げで鮮度があり、またペースアップすれば同距離でも短縮に近い効果が期待でき、ダイワメジャー産駒の精神コントロールには最適という判断で、9番人気と人気薄だったこともあって本命にした馬だ。
しかし、ハイペースになると思われた阪神JFは、多頭数阪神マイルに関わらず前半が1秒以上遅いというスロー。もちろんトーセンベニザクラは精神コントロールが付かずに凡走した。
今回のフェアリーSは中山の多頭数マイル。前走がスローだことを踏まえると、さすがに前走よりペースアップする可能性が高いと考えるのが自然だ。それなら、前回期待された「前走よりペースアップする」という短縮に近い効果が、(ちょっと悔しくはあるが)1走遅れのここで出現することになる。それなら、理論上は当然のように勝ってしまうはずだ。格上げ戦ではないが前走が凡走だったので、ストレスレベルも前走と同じでクリアだというのも、M的には引き続き支援材料になる。
ただ、1つだけ懸念材料があった。それは関西遠征後の中3週であることだ。疲れにかなり弱いタイプなら、凡走してもおかしくない。ただ、普通のレベルなら前走が凡走だったことあり、大きく影響するような蓄積疲労レベルではないと判断できる。
私の中でまだダイワメジャー産駒の疲労耐久力に対する認識が定かではなかったので、判断に迷った。もちろん人気薄なら本命でよかったのだが、前走関西遠征のGIでも0.7秒差と大崩れしなかったことを評価され、今回は3番人気と一転人気になっていたのも疲労が出る3、4割の可能性と天秤に掛けると、期待値的に難しいポイントになった。そこで今回は対抗評価とした。
結果は、緩めの流れも超スローだった前走よりはさすがに速い流れになったので、精神コントロールが付いて完勝。単勝7.1倍とまずまずの配当になった。唯一最大の懸念材料の疲労が出なかったわけだ。
このオリービン、トーセンベニザクラなどの一連の動きから、ダイワメジャー産駒は際だって疲労に弱いわけではなく、やや弱い程度と考えるのが無難という、取りあえずの認識を得た。むしろ気になるのは直接的、物理的な疲労ではなく、蓄積疲労、ないし蓄積ストレスに対する硬直化の問題がどれほどあるかということだ。
というのも、もともとダイワメジャーには硬くなりやすい部分があるのだ。その辺りの性質はアグネスタキオンに似てるのではないかとふんでいる。このことについては、また追々見ていこうと思う。
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