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京都記念・海外遠征の布石に勝つ!

  • 2012年02月09日(木) 18時00分
 先週のきさらぎ賞ではワールドエースが人気に応えて勝利し、クラシック候補の名乗りを上げました。いや〜、強かったですね。

 この期待の若駒に負けまいと、池江厩舎の先輩であるトレイルブレイザーが京都記念制覇を狙っています。前走は香港ヴァーズでしたが「あの遠征後、疲れはなかったんだ。タフなやつだよ」と担当の岩澤さん。

 水曜の追い切りは調整程度ということで、坂路を馬なりで64.8-14.9秒とサッと流す内容。それでも、全身をフルに使った大きなフォームで坂を駆け上がる姿はさすが。岩澤さんも「躍動感があった」と満足そうでした。

 調教後の運動での歩様もよく、まるでモデルのように脚を降り出すリズムのいい歩き方で馬体の軸がズレないんですよ。パーンと張ったお尻も高く、脚が長い体型。まったく、ほれぼれする馬体でした。

 2012年はここを手始めにドバイ遠征を予定していますから、帰国初戦でどんな走りを見せてくれるのか楽しみですね。

 その他のメンバーも有力馬揃い。その筆頭に上げられるのは、ウインバリアシオンでしょう。これまでダービー、神戸新聞杯、菊花賞のすべてで2着。青葉賞以来、あと一歩のところで重賞制覇を逃してきました。というわけで、この馬で重賞勝利を! と陣営は気合いが入っています。

ウインバリアシオンただいま好調

ウインバリアシオンただいま好調

 松永昌博先生は「阪神大賞典に出そうと思っていたんだけどね。でも、今とても具合がいいし、斤量も56キロで出走できるので京都記念に目標を切り替えたんだ。前走のジャパンC後は放牧に出してリフレッシュ。しっかり英気を養った。馬体も一回り大きくなって帰ってきたんだ」と話してくれました。

 放牧明けではありますが、順調に乗り込めているので現在の馬体重は520キロほどと絞り込めてきています。まあ、成長分を考えても、このぐらいがちょうどよさそう。

 追い切りには安藤勝己騎手自らが跨り、CWで69.0-12.3秒のタイム。併せたローレルジャブラニにクビ差先着しました。松永先生は「あの上がりなら8〜9分どおりはデキている」とのことでした。

 追い切り後、厩舎に戻ってきたウインバリアシオンは、担当の竹邑さんが前を通るたびに前がきして気合い乗りをアピールしているようでしたよ。大型馬なのに太め感もなく、きっちり仕上がっていました。

 竹邑さんに「調子よさそうですね」と話すと「やるべきことは、もうやったからね」とニッコリ。自信のほどが見える…と感じたのは僕だけでしょうか? これは強い競馬を見せてくれそうです。

 このウインバリアシオンが2着となった菊花賞で3着だったのはトーセンラー。今週は弟のスピルバーグも共同通信杯に出走。JRA史上初の兄弟同日重賞制覇を目指します。

 今回のレースで初コンビを組むC.デムーロ騎手が手綱を取った追い切りは、重馬場のCWで68.1-12.1秒。併せたネオヴァンドームに鼻差先着し、動きも上々でした。

 その走りを見て藤原厩舎を訪ねたものの、そこにはオープン馬や、トレセンでも腕利きで有名な助手さんたちが勢揃い。たじたじしていると、藤原先生が「なんや、どの馬の取材なんや?」と声をかけてくれました。おずおずと「あの、トーセンラーの…」と話すと、みなさんが一斉にいろいろと答えてくれました。

「山元トレセンに放牧に出していいリフレッシュになったな。キチンと調教もしてきたし、内面もしっかりして帰ってきたよ」(田代助手)

「イタリアの19歳の若者が“グッド!”って言ってたで。この馬はお兄ちゃんのミルコで勝っているし、京都との相性もいいし楽しみや」(藤原助手)


初の古馬対決は楽しみと藤原英昭調教師

初の古馬対決は楽しみと藤原英昭調教師

 そして御大の藤原先生は「先週、朝一番の調教で3頭併せを消化した。乗り込みも順調で馬体もきっちり仕上がっている。飛び切りの切れ味を持った馬やし、力はあると思っている。ただ、古馬とは初対決やろ? どこまでやれるか、楽しみやわ」とのことでした。

 昨年のきらさぎ賞では三冠馬オルフェーヴルの追撃を防ぎきって勝利していることからも実力があることは実証済み。得意の京都で1年ぶりの勝利を目指します。

 さて、今週の僕の気になる馬はヒルノダムール。昨年も同じく京都記念に出走。そこからグングン強くなり、ついには天皇賞・春を制覇。今年もきっと…と期待しています。

 追い切りには相棒の藤田騎手が乗って坂路を55.3-13.0秒。併せたオーシャンフリーと併入。この内容に「ちょうどいい時計でした」と昆先生。

 ヒルノダムールの馬体は、骨格が太くてガッチリし迫力がありました。結果次第で英GIキングジョージへの遠征プランもあるそうですが、この体つきを見ると「海外に挑ませたい」と考える昆先生の気持ちが分かります。

ヒルノダムール、秋は凱旋門へ!

ヒルノダムール、秋は凱旋門へ!

 昆先生曰く「医者いらずのタフな馬」とのことで「輸送にも強くてバテない」んだそうです。そして「ヨーロッパの馬場は馬にとっていい環境です。もう一度チャレンジし、リベンジがしたい」と遠征への熱い思いを語られました。

 このレース後は天皇賞・春→キングジョージ、そして順調にいけば凱旋門賞と飛びっ切りのプランが浮上しているだけに、ここでぜひともいい走りを見せてほしいですね。

 まだまだ寒いですが、春競馬への布石はすでに始まっています。東京では共同通信杯がありますし、今週も楽しみなレースばかりですね。では、競馬場でお会いしましょう!

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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