本来なら今週はデュランダル産駒の続きを予定していたが、この間話をした
格上挑戦について(2/8連載)、ちょうどいいサンプルレースが立て続けに3レースも今週あったので、記憶が新しいうちに格上挑戦の馬券的ポイントを押さえておこうと思う。
まず土曜東京の初音S。馬柱を見た瞬間、ニヤリとした。単勝1.6倍の断然人気で、ビッグスマイルという馬が出ていたのだ。前走は重賞の京都牝馬Sで4着と好走。今回は自己条件準オープンの牝馬限定戦に出走してきた。ここでは力上位と当然断然人気になる。
しかし、思い出して欲しい。前走の京都牝馬Sは、準オープンからの格上挑戦で鮮度が高いということで4番手評価に予想し、実際に4着になって私の挙げた予想上位4頭がそのまま4着以内を独占したというレースだった。つまり、前走は格上挑戦の鮮度で闘う意欲に火が付くという、極めて「M的に」激走したのである。
また、このレースで勝ったのは、鮮度が高いということで本命にしたドナウブルーで、1000万勝ちからの格上挑戦だった。格上挑戦の馬が1、4着だったレースなのである。ということは、そもそも格上挑戦の鮮度がものを言うレース、つまりMでいうところの「鮮度要求率の高いレース」だったことに他ならない。
ならば、4着を素直に評価するのは疑問だし、鮮度を頼りに激走した後で、精神的反動の恐れがある。そこで私は初音Sでは「先行馬の延長」というMの順ショック馬、9頭立てのブービー8番人気だったチャームポットを本命に予想した。
結果、私の希望通りチャームポット騎乗の柴山雄一騎手が先行して順ショックを完成してくれたお陰で1着。単勝22倍をプレゼントしてくれた。だが、この単勝22倍より意味があるのは複勝の6倍だ。
このレースでは1〜3番人気馬が4着〜6着までに沈んだ。みなさんご存じの通り、複勝は人気馬が4着以下に沈むと高配当になりやすい。だから、人気馬が消える可能性がそれなりに高いレースで、大きく勝負するのが複勝なのだ。実際、重賞で4着だった断然人気ビッグスマイルは、準オープンに相手弱化の今回、着順を1つ落とす5着に終わった。そのため、9頭立ての少頭数でも複勝6倍という、なんとも美味しい配当をゲットできたのだ。
それともうひとつ、こういう局面で複勝にゴソッと賭ける理由がある。
人気馬が消えて複勝配当が付く可能性が高いということは、とんだ波乱の可能性も高いことを同時に意味する。つまり、人気馬が危ないわけだから、突拍子もない人気薄が突っ込んでくる可能性がそれなりに高いのだ。
ただ、人気薄のどれが走るか自信を持って見極めるのはさすがに難易度が高い。今回はM的にピッタリのチャームポットという馬がいたからそこで勝負したが、後は展開次第のようなメンバーだった(ここにはフジキセキ産駒の1400m→1600m問題という血統作戦があったのだが、それはまた後で書こう)。
こういう「人気馬が怪しいような気がするけど、人気薄で何がくるかは分からない」という漠然とした思いを持つことは多いのではないだろうか? これは長年競馬をしている人間が、自然に身につける嗅覚だ。こういうときに、相手を絞ったら抜け目が出る可能性が高く、闇雲に流しては今度は買い目が増える。
したがって、複勝なのだ。人気馬が消えれば高配当になるし、消えなくても狙っている馬がくれば儲かる。そこで私も本命の複勝を厚めに買った(狙いたい馬は1頭もいないが、断然人気が危ないというケースなら単勝多点買いの「単勝爆弾」が基本になる)。
ただ、86倍と高配当だったので、予想は6点目だったが馬連は結構買った(馬単213倍は単勝で勝負している場合は、あまり買う必要はない)。馬連は3点以内に抑えて買うのが基本だ。ただ相手が分からないとき、そして高配当の買い目だけは4点目以降も押さえて買っておく。そういう馬券戦略が好ましい。
何れにせよ、多頭数重賞で4着だった馬が、同じ距離の9頭立ての準オープンで5着と着順を落とす。これがMの魅力であり、ストレスというものの怖さでもある。
つづいて、この初音Sと同じ日に行われた京都11レース、山城Sも見ていこう。
このレースにはケンブリッジエルが出走していた。前走シルクロードSのとき、最低の16番人気で本命に予想して3着に突っ込み、3連複万馬券をプレゼントしてくれたという話を
この連載でしたことは(2/1連載)記憶に新しいと思う。
ただ、今回の判断は難しかった。
(来週につづく)
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