エンプレス杯(2月29日 川崎 サラ4歳以上牝馬 別定 JpnII 2100m)
「エンプレス杯」は、平成7年統一GII昇格。以後16年間、途中時季変更はあったものの(平成15年まで7月実施)、当時名牝とされた馬が、おおむね期待通りの強さをみせてきた。JRAからホクトベガ、ファストフレンド、レマーズガール、ラヴェリータ、地方側ではジーナフォンテン、プルザトリガー。ただこのレース、ふり返ってやや不満なことは、JRA対地方、いわゆる“名勝負”があまりなかった点だろう。例えば「帝王賞」にはアジュディミツオー、カネヒキリの死闘があり、「東京大賞典」にはスマートファルコン、フリオーソ、いかにも頂上決戦らしい激戦があった。統一Gとはやはり、JRA対地方、ファンに一騎打ちを想像させてこそ盛り上がるものだと思う(少なくともファンファーレ前は)。さて今年はどうか。ミラクルレジェンドVSクラーベセクレタ。実績、貫禄はむろん前者だが、1歳若い後者にも素質、上昇度で夢が浮かぶ。2頭抜け出して叩き合いが、今回記者の理想になる。もっとも、予想、馬券と考えれば、他12頭、さまざま可能性と買い目はあるのだけれど。
(1)…3番人気。
1番人気〔2-3-3-2〕は悪くもないが、どういう巡り合わせか、3番人気〔5-3-1-1〕と抜群のデータがある。昨年もブラボーデイジーが強力2頭に割って入った。
(2)…JRA対船橋。
JRA6勝、2着8はイメージ通り。ただ船橋=4勝、2着2だから、他Gレースより地方馬脈ありと判断できる。JRA・ワンツースリーは、意外なことに昨年だけ。
(3)…5歳馬。
4〜7歳までほぼ互角という数字だが、中で5歳=4勝、2着1だから一歩リード。以下、7歳=3勝、6歳=2勝、4歳=1勝。4歳=2着5も、上昇度を含め納得できる。
(4)…先行型
逃げ=5、先行=5、差し=9、追込=1。四角6番手以降からの連対は17年グラッブユアハート2着しかない。武豊騎手=3勝、2着1。今回久々にコンビを組むプレシャスをどう乗るか。
※データ推奨馬
◎プレシャスジェムズ…JRA5勝、地方適性も高いシンボリクリスエス産駒。かつてプリエミネンスを擁した伊藤圭三厩舎で、今回武豊Jも魅力が大きい。好位から差しがきくイメージ。地方G3戦目で上積み必至。
☆ ☆
◎ミラクルレジェンド 55岩田
○クラーベセクレタ 54戸崎
▲プリンセスペスカ 55幸
△パールシャドウ 55横山典
△ハルサンサン 54今野
△プレシャスジェムズ 55武豊
△ショウリダバンザイ 55石崎駿
ゴールドセント 55真島
トーセンウィッチ 55張田
ミラクルレジェンドは、すでに堂々たる女傑の域に達している。ダート通算〔8-1-1-2〕。昨秋1歳上の宿敵ラヴェリータに2連勝、それも「JBCレディスクラシック」では上がり35秒9、馬場の大外を究極の末脚で突き抜けた。430kg台、一見華奢に映っても、いざ実戦に臨んで驚異的な切れとガッツ。前走「JCダート」も、結果6着ながら直線馬群をこじあけるように伸び、上がりはメンバー中第3位の鋭さだった。“牡馬GI”通用が、名牝である大きな証明。カネヒキリを輩出した父フジキセキ、体調さえ維持できればしばらく天下が続くだろう。昨年このレース3着は超スロー、ラヴェリータに内懐を突かれたもの。能力、個性を熟知した岩田J騎乗に加え、馬自身の完成度も当時とははっきり違う。
接戦、名勝負を期待されるクラーベセクレタ。しかしごく客観的には、まだ総合力(とりわけ精神面の逞しさ)に開きがあり、今回は2着確保がひとまずテーマ、その上で次へつながるレースをしたい。昨暮れ「ロジータ記念」「クイーン賞」と勝ち進み、自身リズムと体調は戻っている。記者個人的見解では、同馬は本質的に追い込み型。ミラクルと同位置からスパートして、どれだけ脚が使えるか、そんな競馬を見たいとも思う。
JRA勢、他3頭は能力比較が難しい。▲プリンセスぺスカはダート千七〜千八4勝。3走前京都「花園S」など時計、レースぶりとも優秀で、今回人気の盲点と判断した。プレシャスジェムズは素軽い反面、追っていかにも味がなく、逆にパールシャドウは、不器用さで入着から先が遠い。それなら前走「TCK女王盃」で現実に鬼脚を発揮したハルサンサン。実績、距離適性からはショウリダバンザイも圏内だが、前2走大敗がどうにも不可解。巧者・吉原Jを配してどこまで変わるか。(※編集部注:ショウリダバンザイの吉原寛人騎手は負傷のため、石崎駿騎手に乗り替わりとなりました)。