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イントゥザストームが嵐を巻き起こす!?

  • 2012年03月01日(木) 18時00分
 毎年チューリップ賞の時期になると、もうじき春がくるな〜と浮き浮きしています。が、水曜の栗東は嵐。さらには前夜からの雨が明け方に雪に変わったこともあり、馬場は重たいというより深いという感じになっていました。

注目の2歳女王ジョワドヴィーヴルが始動

注目の2歳女王ジョワドヴィーヴルが始動

 そんな泥んこ馬場に負けず、ジョワドヴィーヴルがCWコースを駆け抜けましたよ。弥生賞に出走するトリップを4馬身ほど後方から追いかける形でスタート。コーナーを曲がると相手を捉えにかかり、最後は1馬身ほど遅れてゴール。トリップに遅れを取ったとはいえ、力強いフットワークでしたね。

 まあ、お姉さんのブエナと比べて、妹は「マイペース」と松田博先生おしゃっていましたから、お稽古もマイペースなのかも。また、この姉妹そろって担当している山口厩務員は、「妹は生真面目な姉と違って元気一杯。まだまだ、お子ちゃまですよ」と目を細めます。


 1月18日にノーザンFしがらきから帰厩。その後も順調に調整され「CWでビッシリ追い切ったのは先週だけ」ですが「小柄な馬体ながら、確実に成長している」と山口さんが感じるほどになりました。

「前走はビックリしたな〜。レースになると、底知れない力を発揮するんだよね。あのとき、返し馬でのトモの入りが前走とまったく違っていた」(山口厩務員)

 また、鞍上のユーイチも「今まで跨ったことのない感触の馬。走るときに後脚が一緒についてくる感じがする」と絶賛しています。たしかに、胸前は3歳牝馬とは思えないぐらい筋肉がついていますし、希有な能力を感じる馬ですね。

 これに、「雨も雪もまったく気にしない」(山口厩務員)という超マイペースの性格を発揮すれば、荒れた馬場も気にせず阪神コースを駆け抜けるでしょう。

 さて、このジョワドに真っ向から挑戦するのはジェンティルドンナ。こちらもお姉さんは重賞ウイナー・ドナウブルー。石坂先生は「お姉さんよりドンナのほうが成長が早いかな。胸の幅も広いし全体にボリュームがある。それに、肩の回転が大きいね」と姉妹評しました。また「パドックでちょっとチャカつくところがあったけど、我慢できるようになってきた」と先生が言うように精神的に成長してきたようです。

 先週の追い切りを見てチューリップ賞出走を決めたと先生。「今週の坂路は馬場があまりよくなかったけど、その状態でもしっかり走っていい動きをしていた」と満足そう。歩いているドンナを見ると、リズミカルで大きな脚運びで歩様な綺麗。たしかに、状態はよさそうです。

 また、同じく石坂厩舎から出走するエピセアロームですが、「休養明けで馬体にボリュームが戻ってきたから、力の要る馬場でも大丈夫。クビをしっかり振り、最後までキチンと走ってくれるよ。先週は(坂路併せで)53.1-13.2秒(先着)ときっちり仕上がった。今週は負荷をかけずに坂路を流す程度だったけど、単走でいい動きをしていたよ」と先生。こちらも、好調のようです。

 これまで4戦し、「競馬を知っている馬。ドンナと比較しても五分の力があると思っているから、力を出してチャンスを活かしたいね」と先生は話してくれました。

 浜中騎手が「長くいい脚を使ってくれる」と言うエピセアロームに、前走牡馬を蹴散らしてシンザン記念を制したドンナ。この実力派2頭がどんな勝負を見せてくれるか楽しみです。

 と、先生の話を聞いていると、そこに内田博幸騎手がやってきました。弥生賞に出走するアダムスピークの追い切りのために、関東から駆け付けていたんですね。

復帰後も絶好調・内田博幸騎手

復帰後も絶好調・内田博幸騎手

 1月に復帰してからすでに11勝を挙げ、先日は共同通信杯も制覇。「完全復活ですね!」と声をかけると、「怪我をしたときは、馬と離れるのが辛かったし焦ったよ。でも、思い切って治療してよかった。こうして関西からの依頼をもらえると嬉しいよね」と満面の笑顔を見せました。

 で、肝心のアダムスピークですが、「飛びが綺麗。グッと伸びてスッと抜ける感じの走りをするね。すごい馬だと思うよ。前走は能力の高さを見せてくれた。折り合いの心配はないし、いい位置につけてレースをしたいね」新コンビでのレースを楽しみにしている様子でした。

期待の1頭、イントゥザストーム

期待の1頭、イントゥザストーム

 さて、話をチューリップ賞に戻して…、今週の僕のイチ押し馬! は、村山厩舎のイントゥザストーム。前走でようやく1勝を挙げたばかりですが、これまで7戦して掲示板を外したのは1回だけという堅実な走りが魅力です。

 村山先生は「これまで、崩れることなく安定した走りをしています。レースではいい脚を見せてくれますしね。小柄な牝馬なので、速い追い切りはしていません。15-15ぐらいがちょうどいいんじゃないでしょうか。今日はかなり馬場が重くて深かったので、(坂路)60.3-16.0秒と時計はかかりましたが、動きはよかった」と話してくれました。

 厩舎でくつろぐストームは、まだ幼い表情の可愛い馬。ジッと見据える目には、物事に動じない力強さを感じました。村山厩舎は先日フェブラリーSを制したばかり。取材中も厩舎からドンドン調教に向かう馬たちが曳き出さていましたが、その光景には勢いを感じました。この上昇気流に乗じて、今週もクラシック出走権を手にしてほしいですね。

 チューリップ賞は阪神1600mで行われるだけに、同じ条件の桜花賞への大事な試金石となるレース。しかし、3歳牝馬は体調の変化も激しく、いい状態を維持するのは大変なんです。しかし、今回は2歳女王あり、牡馬に負けない実力馬ありと女傑揃い。好メンバーが揃っていますから、週末が楽しみですね!

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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