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格上挑戦で好走した馬の取捨選択(3)

  • 2012年03月07日(水) 18時00分
 さて、先週は琵琶湖特別にて、私が8番人気のヤマニンシャスールを本命にし、複勝6倍を当てたことを話した。このレースの勝ち馬を見ると…。

「タマモグランプリ? 国分恭ちゃんにやられたのかぁ〜。この馬、前走は500万3着だったんじゃないか!」

 つまり格上挑戦の馬だったのだ。もちろん気掛かりな馬の1頭だったのだが、前走が14キロ減。ステップ的には理想で高く評価したいが、疲れが懸念されたので7点目の相手に留めた馬だった。ところが当日は6キロ増と馬体を戻していた。

 どうやら、前走は小倉への輸送で減らしていたものらしい。近場の慣れた京都で回復したのだ。そうなると格上挑戦の鮮度が活きてくる。それで11番人気では美味しい話だ。散々その優位性を強調してきた格上挑戦の馬に拒まれ、万馬券1点目的中を逃してしまったわけである。

 鮮度恐るべし。そう痛感させられるレースだった。

 さらに千里山時別(2012/2/25阪神、芝2000m)でも格上挑戦にまつわる象徴的なレースがあった。前走は、500万を6着敗退後に1000万に格上挑戦して、勝ち上がったコアレスドラードだ。このときは、格上挑戦の鮮度を重視して前日予想で本命にし、馬単45倍を1点目でゲットしたのだった。

 だが今回は同条件ではあるが、もちろん危ない。格上挑戦の鮮度で頑張った後なのだから、精神的ダメージがかなりある。実際、今回は相手強化もあったが「1000万の芝2000m」という同じ条件で4着に敗れたのだった。このように、鮮度に関する事件は、毎日のように繰り返し、嫌になるほど繰り返し発生しているのである。

 最後に、速報で先週行われた新装中京の馬場について簡単に振り返っておこう。

 記念すべき私の中京最初の予想は、マイルストーンS(2012/3/3、芝1600m)にした。メンバー的に差し馬が来そうだったので、本命を2番人気ユウセンにするか、3番人気トゥザサミットにするかで悩んだ。

 ユウセンはここ2走最後方からの競馬。広いコースの開幕では、速くなりそうなメンバーでも流れが緩む可能性はある。そこで好位差しのトゥザサミットを本命にした。前走がダートなので「ダートから芝」のショックになること、2、3走前が芝1400m、芝1700mで、前走がダート1800m。芝の軽いレースからダートの長いタフな距離を走らせるという、周到なバウンド系ショックも魅力的だった。

 また、新しくできた坂をこなすには、ダートからのショックも有効なのでは? という読みもあった。

 そして当日。
 午前中から外を回った追い込みは決まらない。
 淡々とした競馬が続いていく。

 やっぱり広いコースだと単調な競馬になるなぁ〜とぼやきながら、「取りあえず追い込みのユウセンにしないでよかった。ただもう少し内目の馬にしたほうがよかったかな」という気分でマイルストーンSを迎えた。

 レースは、やや締まり気味の流れになってくれたので、好位差し馬が独占。また想像以上に時計の掛かる馬場でもあり、ダートからの短縮ショックが決まってトゥザサミットが快勝。中京最初のレースで、単勝6.5倍をプレゼントしてくれた。2着には、やはりダートからのショックのラプリメーラが来た。

 しかし、これが読めなかった。アグネスタキオン産駒で揉まれ弱い馬の内枠。ペースがタイトになりそうだというのが、トゥザサミットにした主な理由だった。延長で揉まれ弱いタイプの内枠は過酷なのでは?と考えたのだ。

 ところが、ここが広いコースのミソだった。内枠でも単調なレースだからレース摩擦は減って淡泊な競馬になる。それでいて、坂があって時計の掛かる馬場になっていたので、タフさはあった方がいい。そこでこういう「揉まれ弱いが、ダートからのショックの内枠」という馬が来てしまったのだ。

 これを見て、翌日は「ダートからのショックが決まるのなら短縮も有利なのでは?」と考えて予想してみた。

 ところが、これが意外にもそうでもなかったのだ。これについて詳しく語るにはまだデータ不足で、偶然なのか? 何か深い意味があるのか? はっきりとはまだ言い切れない。来週以降、何か見えてきたら、順次報告していきたいと思う。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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