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アンチュラス「毛深い女は卒業よ!」

  • 2012年03月08日(木) 18時00分
 桜の舞台を目指す乙女たちが勢揃いする、フィリーズレビュー。阪神芝1400mで行われますが、この距離はマイラーとスプリンターが混在するので見極めが難しいですよね。というわけで、みなさんの週末の馬券購入に役立つよう気合いを入れて各馬をレポートします。

 まずは、高野厩舎のエイシンキンチェム。昨年の阪神JFでは18着と大敗しましたが、年明けの紅梅Sでは5着と復調の兆しを見せ、陣営も手応えを感じたと言います。
カメラ目線が可愛いエイシンキンチェム

カメラ目線が可愛いエイシンキンチェム



 高野先生も「結果が出せなかったのは、具合が悪いわけではない」とキッパリ。前走後は栄進牧場に放牧出て、栗東に「どっしりした、いい状態で帰ってきた」そうです。また「普段の運動や調教でも落ち着いている」と精神面の成長も見られます。

 追い切りは和田騎手を背に坂路53.4-13.4秒で併せたタイガースラムに先着。この内容に先生は「いい動きだった」と納得の表情。さらに、「スタートも上手いし、センスのある馬。騎手もこの馬を手の内に入れているからね。期待しているよ」と語りました。

 和田騎手は「二の脚を上手く使い、タメが効けばいいレースができるよ。それだけの馬だからね」と自信を漲らせていましたよ。

 その強気も、今のキンチェムを見ると分かります。無駄肉のまったくない、フジキセキ産駒らしい引き締まった馬体。力強さを感じさせます。

 1400mのダリア賞ではのちに京王杯2歳Sを制したレオアクティブに勝っており、実力は折り紙つき。ここを勝って桜の舞台に進みたいところですよね。

2度目の栗東ですっかり慣れたイチオクノホシ

2度目の栗東ですっかり慣れたイチオクノホシ

 しかし、現在人気は関東馬に集まっている状況。そのうちの一頭、イチオクノホシは2月24日の栗東入りし、調整をつづけています。

 ポリトラックで行われた追い切りは、フィールマイハートを5馬身ほど後方から追いかけ、手応え良く直線にはいると持ったままでグングン加速。最後は併入し、65.2-11.3秒の好タイムを叩き出しました。動きもよく、いい馬体だな〜と感じたので、担当の水島さんに馬体重を聞くと「今は440キロぐらいかな」と聞いてビックリ。見た目より、大きくみせる馬体なんですね。

 小柄な牝馬で心配なのは、やはり馬体重の調整。しかし、その辺りは「栗東から阪神への輸送だから、輸送減りすることもない。この状態で出走できるのはちょうどいい」とのことでした。

「順調に仕上がっているし、1400mはこの馬にいいよ。持ち味の末脚を活かせば、チャンスはあると思う」と水島厩務員。

 サフラン賞(芝1400m)では、後方からすごい切れを見せて完勝しています。ここも勝って桜への「目ボシ」をつけ、関東の一等星を目指したいところ。前走も重賞制覇まであと一歩でしたから、今度こそ! と期待が高まります。

アンチュラスはバネのありそうな馬体

アンチュラスはバネのありそうな馬体

 さて、「2週も関東馬に負けられない!」と関西勢も気合いが入っています。

 その筆頭はやはり、アンチュラス陣営でしょう。水曜はCWでフレデフォートと併せ、68.6-13.5秒の半馬身遅れ。でも、動きはよかったですし、相手は5歳牡馬ですから問題ないでしょう。なにしろ、馬体がいいんですよ。冬毛もなく、皮膚が薄く張って筋肉が浮いていました。

 綺麗な馬体ですねと言うと、担当の児玉持ち乗り助手は「嬉しいこと言ってくれるね〜。この間までは毛がボウボウだったんだけどね。ここにきて、グッと変わってきたんだよ」とニコニコしながら答えてくれました。つまり、代謝がよくなり、冬毛が抜けたってことなんですよね。

 安田先生は「もともと素質のある馬。レースごとに課題をクリアする賢さもあり、前走では折り合い面の目処がついた。今回、1ハロン短くなるのは好条件。展開ひとつで着順がコロッと変わる力関係だと思うから、ここは頑張ってほしいよね」と話してくれました。

 芝1400mの実績がありますから、ここは大いに期待できそうです。

 また、ラシンティランテはポリトラックでアドマイヤパーシアを6馬身追走。鞍上の四位騎手が最後の1Fで仕掛けると、そのまま悠々と併入しました。タイムは6F79.1-1F11.5秒。

 友道先生は「ここを目標に仕上げてきました。先週も四位騎手が乗り、感触を確かめてもらったんですよ。折り合いも問題ないし、距離が短縮されるのもいいですよね」とコメント。

 また四位騎手は「スタートは上手いし、走りに切れがある。それに、安定感のある、いい背中をしているんだよね」と愛馬を誉めていました。

 ちなみに、ここ1か月ほどは坂路の馬場状態が悪く、特に駆け上がってコーナーに入る辺りが「悪いというより深くなっている」んだそうです。こうなると、馬場にズボズボと脚がハマり、落鉄したり鞍に負担がかかってしまいます。これの状態で無理をさせると故障の原因になるのため、どの厩舎も速い時計を出し過ぎないように気を配っているとのことでした。

 あっ、最後に今週の「ちょっといい馬」をご紹介。それは、阪神スプリングジャンプに出走予定のバアゼルリバーです。前走の淀ジャンプを勝ったばかりで、跳びがとっても綺麗なんですよ。スゥ〜っと吸い込まれるような飛越をします。土曜の阪神での走りに注目してみてください。

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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