先週、新装オープンした中京競馬場。せっかくなので、今回はその馬場をもう少し詳しく見てみよう。
芝はかなり重く、比較的差しが決まっている。そのおかげで、当初懸念されていた広いコースで単調な競馬が増えるのでは? という事態は、多少和らげられている。高速馬場だったら、目も当てられないような単調な競馬が増えていたのは間違いないだろう。ただ、それでも広いコースに潜む単調さは拭いきれない。坂があり、時計の掛かるタフな馬場という認識が、淡泊で緩い流れへ拍車を掛ける要因になっているのも確かだ。
そんな中、M的に気になるのはショックの決まり具合だろう。短縮に関しては、重い馬場の割に今ひとつ引っかかりがない。とは言え、まずまず決まって穴が出ているのも事実だ。では、どういう短縮が激走しているのだろうか?
短縮2頭で決まった高配当レースに、3月4日の4R(3歳未勝利芝1600m)がある。5番人気ラインロバートと9番人気アートオブキングで決まって、馬単が417倍付いたレースだ。ラインロバートが芝2000mからの短縮、アートオブキングがダート1800mからの短縮だった。ともにレース間隔が中10週、中9週と開いていたので、短縮ショックの質としては軽いが、この間隔なら7、8割の効力を残していたと考えられる。
問題は2頭の脚質だ。ラインロバートが4番手、アートオブキングが逃げと、前に行った2頭で決まったのだ。もちろん、前半が37.8秒と遅かったことと、開幕週で次週よりは前が残りやすかった影響も多分にあった。ただそれ以外に、気になるポイントがここにはあったのである。
そこでもう1つ、短縮が激走したレースを見てみよう。先週日曜の最終、熱田特別(芝1800m)だ。8番人気のマイネルゴラッソが1着に激走し、大荒れになったレースである。
マイネルゴラッソは1800mからの短縮で、今回は逃げた。言うまでも無く、前述の2頭とほぼ同じステップなのである。「短縮ショッカーだった」と言ってしまえばそれまでだが、前述2頭と違うポイントもあった。それは前半35.1−後半37.4と前傾ラップだったこと。加えて、このマイネルゴラッソ以外は先行馬壊滅の競馬だったことだ。
さきほどと違って、ペースに恵まれたわけでも、前残り馬場に恵まれたわけでもない。さらには、レース間隔が中6週と開いていたことも同じである(これについては、今解説すると話が混乱するので、後で考えてみたいと思う)。
ではなぜ、前走先行していた短縮馬が有利なのか?
前走先行していた短縮馬が競馬で有利なのは、短縮ショッカーの原則からも、M的には言うまでもないことではある。だが、短縮ショッカーのポイントの1つに、「前走先行した馬が、流れ激化で差しに回る位置取りショックを掛ける」という考え方がある。
実際、私は流れが激しくなりそうだったので、短縮の差し馬リルバイリル、アップルジャック、ソールデスタンなどの方を買っていた。しかし、勝ったのは先行馬のマイネルゴラッソで、私の買った馬達は連対できず、酷い目に合った。
マイネルゴラッソは前走先行から逃げに回る位置取りショックだった。「逃げられなかった逃げ馬」はMでは最高級の極上ショックとされ、それで勝つのは至極当たり前のことではある。問題は、それを短縮で、しかも前傾ラップで決めてしまったということだ。
ただ、私はこういう事態が発生するのではないか? という問題意識を少なからず持っていた。そこで前のレースだった中京11R中京スポーツ杯(芝1400m)では、レオプライムの単勝9.6倍をガッツリ買た。そして、レオプライムは私の期待に応えて完勝してくれたのだった(人気馬だと思っていたのに当日人気が無かったので、驚いて買い込んだのが実際だが)。
それを目の当たりにしながら、私は次走(つまり熱田特別)で敢えて差し馬の短縮を買った。しかし、結果は短縮馬でも逃げたマイネルゴラッソの完勝に終わる。
さて、11R中京スポーツ杯のラインジェシカ、12R熱田特別のソールデスタンの走りを見て、私の中に微かな、しかしゾクッとする感触が残ったのだった。
(来週につづく)
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