阪神大賞典は阪神芝3000mと長丁場。そのため「どこで仕掛けるか」が騎手の腕の見せどころとなります。また、スタートからスローペースで進むことが多いうえ、勝負所から瞬発力、スタミナ、末脚の切れが必要とされる、かなり難しいレースです。
このレースを四冠馬・オルフェーヴルは今年初戦に選びました。
最終追いは圧巻でしたね。坂路4Fを50.7秒の自己ベストで駆け抜け、併せた馬を3馬身以上置き去りにしたうえに余裕残し。池添騎手は、この馬のよさを「重心が低くて跳びが大きく、安定感がある」と評していましたが、その走りに磨きがかかったように見えました。
![オルフェーヴルは気合い乗り最高](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/data/tsuneishi/120315_01.jpg)
オルフェーヴルは気合い乗り最高
池添騎手によると「いつも、追い切りでは坂路の右(外側)から前の馬を追いかけています。しかし、今回の2週前と1週前追い切りでは、左(内側)から抜き去る内容をこなし、しっかり負荷をかけました」とのことで、仕上げも万全です。
内側からプレッシャーをかける調整をしたためか、追い切り後洗い場で担当の森澤助手がお手入れしている間中、盛んに前がきをしていました。
微妙な違いですが、気合い乗りと入れ込みは別物。入れ込んでいる馬は、カリカリと神経質な仕草をし、目が白くなってきます。現在のオルフェーヴルはこれとは違い、「気合い」を見せていると分かるものでした。馬体も素晴らしく、以前よりさらに全体のバランスがよくなり、筋肉の締まり具合も最高。柔らかい筋肉がバネのように弾んで見えました。
池江先生も「ダルビッシュより仕上がっているよ」とジョーク混じりに話すほど。状態のよさが、うかがえます。しかし、レースに関しては「この馬は勝つというより、どんな勝ち方をするかが重要」と引き締まった表情で語りました。
![四冠馬との対決が「楽しみ」と昆調教師](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/data/tsuneishi/120315_02.jpg)
四冠馬との対決が「楽しみ」と昆調教師
しかし、ライバルは骨太。その急先鋒は、やはり昨年の天皇賞・春の覇者、ヒルノダムールでしょう。昆先生は「オルフェーヴルとの勝負は避けては通れない道。ですから、ここで真っ向勝負ですよ!」と気合い十分です。
水曜にはCWで攻め駆けするオーシャンフリートを相手に1馬身後方から追走。楽な手応えのまま直線に入るとゴール前でグィッと伸び、1馬身半先着。これには先生も「パワーのある動きだった。疲れを残さず、いい感じに負荷がかれられたよ」と満足げでした。
「強い相手だが、目標ができて走りやすい。昨年は大阪杯から天皇賞・春と進んだが、今年は3000mもこなせる力と実績が得られたので、阪神大賞典を前哨戦に選びました。ここでオルフェーヴルと走ることは、いい経験になります。いい走りができれば、天皇賞・春が楽しみになりますからね」(昆師)
秋は世界に向けて旅立つ計画も浮上しているヒルノダムールですから、この一戦は譲れないところですよね。
荒川厩舎のギュスターヴクライもただいま人気。なにしろ、前走3400mのダイヤモンドSを2着と好走していますからね。もちろん、陣営も「あれは力負けではない!」と今回雪辱を果たすことを誓っています。
![ギュスターヴクライの馬体は長距離向き](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/data/tsuneishi/120315_03.jpg)
ギュスターヴクライの馬体は長距離向き
水曜は初コンビとなる福永騎手を背に、坂路で併せを行い54.7-12.8秒でイノセントリーサムと併入。動きはシャープでいい感じでしたよ。
担当の佐藤厩務員は「前走後も疲れはなく元気一杯。折り合いの心配はないし、斤量は強い2頭より2キロ軽い55キロ。これは、大きいよね」と話してくれました。そんな話をしている間、クライはズ〜と佐藤さんの動きを目で追っていました。相当「佐藤さんが好き」な模様です。そのことを話すと「可愛いやろ?」と佐藤さんも満面の笑みを見せました。
ここ荒川厩舎では、同期の高橋亮君が調教師修行中。で、クライの鞍上は今回ユーイチ。これは、応援せずにはいられないですよ!
そうそう、やはり同期の和田竜二騎手も昨年の覇者・ナムラクレセントで出走。最終追いにも「いや〜、この馬僕が乗らないと手を抜くから(苦笑)」と和田騎手自らが跨りました。しっかり乗って、気合いを入れる。和田騎手が得意とするところです。
和田騎手は「軽快な脚があって、使ってよくなるタイプ」と言っていましたから、今回はチャンスかも!? これは楽しみです。
しかし、そう考えると取材した全頭チャンスありってことですよね、ムムム…。これは、当日までに馬券を絞り込めるかな。あとは、長距離戦巧者のジョッキーも加味して馬券検討ですかね。
見どころの多い、いいレースになりそうです。