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オルフェーヴルに真っ向勝負!

  • 2012年03月15日(木) 18時00分
 阪神大賞典は阪神芝3000mと長丁場。そのため「どこで仕掛けるか」が騎手の腕の見せどころとなります。また、スタートからスローペースで進むことが多いうえ、勝負所から瞬発力、スタミナ、末脚の切れが必要とされる、かなり難しいレースです。

 このレースを四冠馬・オルフェーヴルは今年初戦に選びました。

 最終追いは圧巻でしたね。坂路4Fを50.7秒の自己ベストで駆け抜け、併せた馬を3馬身以上置き去りにしたうえに余裕残し。池添騎手は、この馬のよさを「重心が低くて跳びが大きく、安定感がある」と評していましたが、その走りに磨きがかかったように見えました。

オルフェーヴルは気合い乗り最高

オルフェーヴルは気合い乗り最高

 池添騎手によると「いつも、追い切りでは坂路の右(外側)から前の馬を追いかけています。しかし、今回の2週前と1週前追い切りでは、左(内側)から抜き去る内容をこなし、しっかり負荷をかけました」とのことで、仕上げも万全です。

 内側からプレッシャーをかける調整をしたためか、追い切り後洗い場で担当の森澤助手がお手入れしている間中、盛んに前がきをしていました。

 微妙な違いですが、気合い乗りと入れ込みは別物。入れ込んでいる馬は、カリカリと神経質な仕草をし、目が白くなってきます。現在のオルフェーヴルはこれとは違い、「気合い」を見せていると分かるものでした。馬体も素晴らしく、以前よりさらに全体のバランスがよくなり、筋肉の締まり具合も最高。柔らかい筋肉がバネのように弾んで見えました。

 池江先生も「ダルビッシュより仕上がっているよ」とジョーク混じりに話すほど。状態のよさが、うかがえます。しかし、レースに関しては「この馬は勝つというより、どんな勝ち方をするかが重要」と引き締まった表情で語りました。

四冠馬との対決が「楽しみ」と昆調教師

四冠馬との対決が「楽しみ」と昆調教師

 しかし、ライバルは骨太。その急先鋒は、やはり昨年の天皇賞・春の覇者、ヒルノダムールでしょう。昆先生は「オルフェーヴルとの勝負は避けては通れない道。ですから、ここで真っ向勝負ですよ!」と気合い十分です。

 水曜にはCWで攻め駆けするオーシャンフリートを相手に1馬身後方から追走。楽な手応えのまま直線に入るとゴール前でグィッと伸び、1馬身半先着。これには先生も「パワーのある動きだった。疲れを残さず、いい感じに負荷がかれられたよ」と満足げでした。

「強い相手だが、目標ができて走りやすい。昨年は大阪杯から天皇賞・春と進んだが、今年は3000mもこなせる力と実績が得られたので、阪神大賞典を前哨戦に選びました。ここでオルフェーヴルと走ることは、いい経験になります。いい走りができれば、天皇賞・春が楽しみになりますからね」(昆師)

 秋は世界に向けて旅立つ計画も浮上しているヒルノダムールですから、この一戦は譲れないところですよね。

 荒川厩舎のギュスターヴクライもただいま人気。なにしろ、前走3400mのダイヤモンドSを2着と好走していますからね。もちろん、陣営も「あれは力負けではない!」と今回雪辱を果たすことを誓っています。

ギュスターヴクライの馬体は長距離向き

ギュスターヴクライの馬体は長距離向き

 水曜は初コンビとなる福永騎手を背に、坂路で併せを行い54.7-12.8秒でイノセントリーサムと併入。動きはシャープでいい感じでしたよ。

 担当の佐藤厩務員は「前走後も疲れはなく元気一杯。折り合いの心配はないし、斤量は強い2頭より2キロ軽い55キロ。これは、大きいよね」と話してくれました。そんな話をしている間、クライはズ〜と佐藤さんの動きを目で追っていました。相当「佐藤さんが好き」な模様です。そのことを話すと「可愛いやろ?」と佐藤さんも満面の笑みを見せました。

 ここ荒川厩舎では、同期の高橋亮君が調教師修行中。で、クライの鞍上は今回ユーイチ。これは、応援せずにはいられないですよ!

 そうそう、やはり同期の和田竜二騎手も昨年の覇者・ナムラクレセントで出走。最終追いにも「いや〜、この馬僕が乗らないと手を抜くから(苦笑)」と和田騎手自らが跨りました。しっかり乗って、気合いを入れる。和田騎手が得意とするところです。

 和田騎手は「軽快な脚があって、使ってよくなるタイプ」と言っていましたから、今回はチャンスかも!? これは楽しみです。

 しかし、そう考えると取材した全頭チャンスありってことですよね、ムムム…。これは、当日までに馬券を絞り込めるかな。あとは、長距離戦巧者のジョッキーも加味して馬券検討ですかね。

 見どころの多い、いいレースになりそうです。

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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