桜花賞(3月21日 浦和 サラ3歳牝馬 定量54キロ 地方競馬交流 1600m)
南関東クラシック第1弾。ここ数年、“牝高牡低”のケースが目立つ南関東3歳馬だが(ネフェルメモリー、クラーベセクレタなど)、今年はその傾向にさらに拍車がかかっている。昨秋の平和賞をエンジェルツイート、ハイセイコー記念をドラゴンシップがそれぞれ勝ち、明けてニューイヤーCこそ牡馬ゴールドメダルが制したものの、1週後、雲取賞は再び牝馬ゴールドキャヴィアが圧勝した。
今回桜花賞、フタを開けてみれば、意外に回避馬も多かったが(エミーズパラダイス、アスカリーブル、レイモニなど)、結局これは牡馬牝馬路線、どう使い分けるか、そういう思惑がからんだためと推測できる(例によって川島正行厩舎、エリート多数)。
羽田盃→東京ダービー→ジャパンダートダービー、牡馬クラシックの展望は、次週大井28日京浜盃の結果待ち。未知の楽しみがあるのは確かだが、予想記者とすると先がみえない…ことが正直辛い。なお後述データは過去9年間で集計した。昨年震災中止。競馬が無事行なわれ、一喜一憂できる幸せを改めて痛感する。
(1)…波乱含み。1番人気[3-2-0-4]は高いといえず、2番人気[0-1-2-6]、3番人気[1-1-2-5]もけっしてよくない。古くから浦和桜花賞は波乱の歴史。
(2)…大井注意。川崎=3勝2着4回、船橋=3勝2着2回とリードだが、出走馬数を加味すると、大井=2勝2着3回は特筆できる。地元浦和も19年マルノマンハッタン優勝。
(3)…転入馬。過去9年、北海道からの転入馬が4勝、2着6と猛威をふるう。一昨年はショウリダバンザイ→バックアタックのワンツー。道営出身馬は総じて完成度が高い。
(4)…差しタイプ。逃げ=5、先行=4、差し=7、追込み=2。小回り千六ながら末脚勝負型も出番がある。過去アミー、カネマサヴィーナスなど伏兵の大駆けが少なくない。
※データ推奨馬
▲グラッツェーラ…道営→大井転入。トータル[2-2-0-9]は一見地味だが、前2走ブリンカー着用で末脚勝負に固めてきた。フィガロ×フジキセキと逞しい血統背景。時計がかかる今の浦和千六にイメージが合致する。
☆ ☆
◎ゴールドキャヴィア 戸崎
○エンジェルツイート 森
▲リカチャンス 本橋
△メイクアミラクル 今野
△コテキタイ 張田
△レディーソルジャー 真島
△グラッツェーラ 坂井
アルドラ 米倉
風評通り一騎打ち。“速さ”のエンジェルツイートか、“強さ”のゴールドキャヴィアか。結局後者◎は、戦歴、時計より、スケール、上昇度を重視したもの。ただ頭に浮かんだレース展開は、エンジェルが一気に逃げ、それをゴールドキャヴィアが2番手マーク(少なくとも向正面では)という形で、そうイメージすると最後は◎のパワーがモノをいう。
転入3連勝、それも前走・雲取賞、牡馬成長株フジノタイガー、ベルモントシェリーを問題にしない圧勝劇。レースぶりなどまだまだ強引で粗っぽく、しかし反面“原石”の魅力がきわめて大きい。前述通り川島正行陣営は、今春牝クラシックロードを同馬に賭けた(選んだ)感触がある。桜花賞→東京プリンセス賞→関東オークス。今回浦和千六、ここで快速エンジェルをねじ伏せられれば、それこそ名牝への道が開けるだろう。
そのエンジェルツイートは、昨秋、平和賞、東京2歳優駿牝馬を見事に連破。実績上は牡牝通じ現南関東3歳?1で、最後二の脚を使うレースぶりも単なる早熟な快速牝馬とは一線を画している。父タイキシャトル、千六桜花賞向き、完成度という観点からは、ゴールドキャヴィアと比較しても一歩リード。あとは3〜4コーナー、さらに直線、長い競り合いに持ち込まれた場合、もうひと踏ん張りがきくかどうか。およそ4か月ぶり、ぶっつけ本番となったステップ(57キロを嫌いユングフラウ賞回避)も、微妙といえば微妙だろう。
▲△以下は、現時点で能力にかなり差がある。ただ昨今の浦和コースは従来のイメージとは一転してパワー優先。古馬中堅級(B1〜B3)が総じて1分44秒を容易に切れない。そこを突けばリカチャンス、メイクアミラクル、さらにグラッツェーラなど差し馬だろう。とりわけリカチャンスは前走ユングフラウ賞、勝ちを意識して結果中途半端な競馬とみえた。今回再びノンプレッシャー。じっくりタメて大駆けも考えられる。エンジェル(3番枠)より、内を引いたコテキタイ(1番枠)が逃げ宣言。どう抵抗するかも興味が大きい。道営1勝→大井2勝レディーソルジャーも父マヤノトップガンで、成長力に意外性を残している。