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古代ローマから学ぶべきもの

  • 2012年03月22日(木) 12時00分
 古代ローマ時代の遺跡から、石に刻まれた幸せのメッセージが発見され、そこにこんな言葉が記されていたそうだ。「狩りをして風呂に入り、ゲームをして笑う、それが人生だ」と。暮らす人々がどんなに満たされていたか、その繁栄の中味が研究者によって明らかにされている。なかなか興味深い。

 好きなことを好きなだけやって大いに笑えたら、こんないいことはない。それはそうだ。競馬があるには、それなりの意味があるのだが、その染まり方は人によって様々だ。だが、ある一瞬の楽しみを共有したいというその思いは一緒だ。言葉を交わすことがなくとも、知り合いでなかったにしても、どこか心通うものがあっていい。

 そしてここで大切なのが、共に有るということだ。競馬のその一瞬だけではない。それだけでなく、そこにいて、馬を見たり、予想紙に顔を埋めたり、オッズを眺めたり、食事をしたりと、同じような行動をしてある時間を共有する、そこに意味がある。

 古代ローマ時代の、狩りをして風呂に入るを競馬で言えば、馬券を買って腰を下ろし飲み物でも口にすることか。これで笑えたら言うことはない。これが人生だとは言わないが、人生のひとコマではなる。このひとコマを競馬場にいて共に過ごす、楽しいではないか。人でいっぱいのスタンドを見ると、それだけで心が弾む。必ずしも競馬で勝てなくとも、日常とは異次元の自分を発見できるのだ。競馬をやろうというだけでなく、競馬場に行こうという自分がいるのだ。勝った負けたを超越した奥深い魅力、馬を見て、その心を読んでとこの五感を最大限に働かす、競馬の現場にいることの意味は大きい。

 では、繁栄をきわめた古代ローマが何故亡んだか。これも大切だ。領土拡大に限界が生じ維持できなくなったことが大きかったということだが、何事も適正な規模があって然るべしで、歴史から学ぶべきものは沢山ある。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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