3月11日に行われた中京スポーツ杯でのラインジェシカは、バウンド短縮で理想的なステップに思えた。ただ2、3走前の走りから判断すると1400mだと後方になりやすいタイプと考えられる。だとすれば同距離の差し馬レオプライムの方が、好位からスムーズに競馬出来るのでは? と考えて、先週書いたようにレオプライムの単勝を買うことにした。
結果は、その通りにレオプライムが先に抜け出して1着。ラインジェシカは追い込みが間に合わず2着に終わった。
そして続く12Rの熱田特別。ここにはソールデスタンという、2000mから短縮の追い込み馬が出ていた。
2走前に稍重の馬場で3着と激走しているように、重い馬場は得意だ。今の重い馬場状態の中京で差し競馬になれば、かなり有利なタイプになる。それで7番人気なら馬券的に美味しい話だ。ただ前述の中京スポーツ杯の例からして、前走の2000mでも追い込みに回っているような馬の短縮差しが、果たして間に合うものなのかという疑問が残る。
それを確かめる意味でも、ソールデスタンを少し買ってレースを見てみたのだが、結局追い込みが間に合わず7着に終わった。勝ったのは短縮は短縮でも、逃げ馬の短縮だったマイネルゴラッソの方だったのである。
このレースは、「短縮と脚質の関係性は、馬場が使い込まれていくとどのように変化していくのか」その格好の検証の場となった。
その中で最も興味深かったのは、3月18日に行われた中京スポニチ賞(芝1600m)だ。勝ったのは短縮の12番人気メイショウゾウセン。マイネルゴラッソと同じ、逃げての激走だった。
短縮で前に行きそうな馬はやはり怖い。さらに、ここでのポイントはメイショウゾウセンの前走がダートだったことだろう。ダートからのショックは、以前話したように、かなり今後注意しなければならない。
また、このレースの3着ラヴィンライフ(7番人気)にも注目だ。
この馬は2000mからの短縮。もともと追い込みに近い短縮馬だ。3着に食い込んだのは、開催が進んで差しが利きやすくなってきており、短縮の本来的差し馬も狙いやすくなっていたからだろう。この3着を3着止まりと考えるか、3着激走と考えるかはなんとも微妙だが…。それとやはり、ラヴィンライフも中17週と「間隔の開いた短縮馬だった」ということも気掛かりな要素ではある。
このレースは、さらに示唆に富んだ馬がいた。2番人気のトゥザサミットである。
同馬は前走マイルストーン賞(芝1600m)に勝利。ダート1800mからの短縮で出走しての1着は、現在の中京芝におけるダートから芝のショックの威力を見せつけたレースだった。
そのマイルストーン賞に勝った後、中京スポーツ杯に出走。格上げ戦でもあり、ハンデも前走より2キロ軽く、さらに中京芝1600mと前走と同一条件のため2番人気に支持された。
この判断は難しい。前走がショック激走なので、その反動があるはずだ。しかし、今回は昇級戦なので鮮度の恩恵がある。M的にはイーブンに近い。また、一般的には新設中京芝1600mの適性を前走で確認したというのもプラス材料と考えられる。
そこで同馬の走りっぷりを注意深く見守っていたのだが、結果は4着。これも微妙な着順だ。
トゥザサミットはショックの反動が比較的出やすいクロフネ産駒であり、また馬場替わりショック自体を好むのもクロフネ産駒の特徴と考えると、これだけではっきりと断言することはできない。ただダートからのショックの方が、格上げ鮮度より現在の中京の馬場だと強力だという印象を強く持たったのもまた事実である。
もう1つ先週気になったのは、ここで何度か書いてきたレース間隔と短縮の問題である。その思いを強くさせたのが、ファルコンSだった。
(来週につづく)
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