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魔神プロスパーがダッシュを決める!

  • 2012年03月22日(木) 18時00分
 春の訪れを告げる短距離戦、高松宮記念。今年は新装・中京競馬場で行われます。ここに安田厩舎が4頭出しとは驚きですよね。

 まずは昨年の最優秀短距離馬・カレンチャン。今年初戦となったオーシャンSは4着でしたが、「いいガス抜きになった。これで上積みが望める」と陣営に悲観するところは見られません。

 カレンチャンもヘコむどころか、飼い葉をバリバリ食べて元気一杯。馬体も戻って、気持ちも競馬モードに切り替わっています。

いつ見ても可愛いカレンチャン

いつ見ても可愛いカレンチャン

 安田先生は「最初のコーナーまでが短いので、ポイントはスタート。馬場が広く、直線が長くなっているので、この馬のリズムを崩さないように走ればチャンスありですよ」と自信ありの様子でした。

 そうそう余談ですが、カレンチャン担当の岩本助手、ロードカナロアも担当しているんですよ。この2頭で「ワン・ツーなら嬉しいね」と表情をほころばせていました。

 そのカナロアはただいま5連勝中。絶好調の理由を「逃げ、先行、差しとどんな競馬も器用にこなし、馬込みも嫌がらない」からと安田先生は分析します。

 本番を前にした坂路での追い切りでは、オーセロワを2馬身後方から追走。軽快な脚さばきで駆け上がると、残り200mで鞍上の合図に応えて加速し、最後は1馬身ほど先着しました。時計は50.6-12.4秒と文句なし。安田先生も「終いもしっかり伸ばしたし、手応えがつかめたよ」と満足そうでした。

 追い切り内容もいいですが、馬体も最高。筋肉隆々で四肢の長さと胴の長さがほぼ同じぐらい。四角くまとまっていて、いかにも短距離馬という感じです。また、馬体が柔軟で脚運びがよく、走るリズムが安定しています。

 手綱を握るユーイチ曰く「初めて跨ったときからGIを意識するぐらい乗り味がよかった」そうで、「馬群から抜け出す時の瞬発力と切れ味」がいいとのこと。初めてのGI挑戦で一気に頂点を極めるか!? 楽しみですね。

 また、ダッシャーゴーゴーとトウカイミステリーも、使って良くなっているそうです。この日、風邪気味でかすれ声の安田先生は「僕の体調は悪いけど、4頭とも快調。どの馬にもチャンスはありますよ」と話してくれました。ひょっとしたら、掲示板に4頭の馬番が並ぶかもしれないですね。

パワーアップしたマジンプロスパー

パワーアップしたマジンプロスパー

 この安田カルテットに挑むマジンプロスパー。前走・阪急杯で初重賞制覇を果たし勢いに乗っていますが、ここまでくるには並々ならぬ苦労があったんです。

 デビューは3歳7月と遅め。脚元が弱かったため、ダートを使いながらジックリ乗り込んで調整されていました。しかし、善戦するものの3戦して未勝利となかなか勝ち上がれず、いったんは地方に転厩。そこで2連勝を決め再び中央へ帰ってきましたが、念願の中央初勝利を果たしたのは、なんと4歳の5月だったんです。

 しかし、その次のレースは初芝にもかかわらず快勝。その過程を振り返り「その後は1戦ごとに力をつけていきました。精神的にも大人になってきたと感じます」と中尾先生は話してくれました。

 で、今回ですが「癖もないし左回りも大丈夫。スタートが上手いので、内枠でスムーズにロスなく先行できたらいいですね。オーナーの佐々木さんの馬運もいいですから、楽しみですね」とのことでした。

 コツコツ実績を積み上げての初GI挑戦となりますが、いいレースができそうですね。

 さて、今週ボクが気になる馬はツルマルレオン。近3走の重賞挑戦で好走しています。しかし、担当の武久厩務員が「スタートのとき、1完歩前に出すと逆に2完歩下がってしまっているように感じるんだよな〜」と話すように、ウイークポイントはスタート。

ツルマルレオン、今回は小牧騎手とのコンビ

ツルマルレオン、今回は小牧騎手とのコンビ

 スタートって難しいんですよね。ゲートの扉が「ガチャーン」と明いた瞬間にスッと出るのが理想なんですが、このとき馬がフワッと浮くようになってしまうことがあるんです。う〜んとフワッとすれば、いわゆる「出遅れ」となります。

 この点、今回の鞍上・小牧騎手は座位が低いのでスタートが上手。ここは、小牧騎手の手綱で好ダッシュを決めてくれるといいですよね。

 ところで、最後に先週の阪神大賞典の話しを少し…。ご存じのように、1番人気のオルフェーヴルが向こう正面でまさかの失速…というか止まっていましたよね。あそこからエンジンを再点火して2着にきた走りを見て、改めてあの馬の心臓の強さを感じました。

 調教再審査を受けるそうですが、ファンにはあまり馴染みのない言葉ですよね。そこで、ベテラン坂口正大元調教師に、どんな審査を受けるのか教えてもらいました。では、先生おねがいします!

「調教再審査は、裁決委員立ち会いのもとトレセンのEコースで主戦騎手が跨り単騎で行われます。Eコースは広いので、このとき物見をしたりヨレたりすれば失格です。もちろん、真っ直ぐ走れなかった場合もダメ。坂路を中心に調教されている馬は、どうもEコースを苦手とすることが多いようですね。

 まあ、一般的に試験が行われるのはレース後20日ほどなので、まだまだ時間があり、十分練習できます。オルフェーヴルは頭のいい馬なので、克服できるでしょう」(坂口正大元師)

 なるほど〜、勉強になりました。先生、ありがとございました!

 さて、少々話しがそれてしまいましたが…今週末の高松宮記念は、新装・中京競馬場で行われる初のGI。どんなレースが展開されるのか、見逃せない一戦ですね。

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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