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桜花賞「ジョワドヴィーヴルは変」とユーイチ

  • 2012年04月05日(木) 18時00分
 ようやく桜が咲き始め、同時にクラシック戦線も開始。今週は第一弾・桜花賞が開催されます。今年は本命不在の混戦模様と見られていますが、そのなかで「センターは私よ!」と主張しているのは、ジョワドヴィーヴルです。

 水曜の追い切りは、3歳牝馬マーチャンテイマーとタガノミュルザンヌを率いてCWに登場。前日の大嵐の影響で馬場はあまりいいとは言えない状態でしたが、残り1Fで僚馬を突き放すと3馬身半先着しました。動きも軽快で、松田博先生は「ラストまでしっかりした脚取りだった」と納得の表情。

記者会見には揃って出席

記者会見には揃って出席

 先週もCWで併せて終い12.9秒をマークし、今週も12.7秒と文句のない時計。これに関して先生は「馬体に張りが出てきていい感じだが、まだフワっとしたところがある。まあ、余裕がある証拠やな」とニヤリとしました。これって不満を口にしながら、実は仕上がり上々ということですかね?

 前走チューリップ賞は3着でしたが、叩かれての上積みは十分。先生も「あれは、いい経験になった」と負けたことを気にした様子はありません。また「競馬は難しいけど、昨年のマルセリーナにつづき桜花賞連覇といきたいね」と力強いコメントも飛び出しました。

 その横でユーイチは「大人しい、いい馬やしね〜」とニコニコ顔。しかし、話が前走のことになると「申し訳なかった」と素直に悔しさをにじませました。ですが、「結果は負けたけど、馬込みでひるむことはなかった。だから、ああいうレースを体験できて、収穫は多かった」と前向きです。

「この馬は走り方が変わっています。(前脚の掻き込みと)同時に後ろ脚が入っている感じなんです。気性がよく、安定した走りをしてくれますから乗りやすいですね。どれだけ大きくなってくれるか、可能性一杯の馬で楽しみです」とのこと。

 お父さんのディープインパクトを彷彿とさせる、あの切れのある走りを桜の舞台でも見せてほしいですね。

ヴィルシーナ、牝馬相手なら負けなし

ヴィルシーナ、牝馬相手なら負けなし

 同じく父ディープインパクトのヴィルシーナ。クイーンCでは2番手追走から直線鮮やかに抜け出し先頭でゴール。素晴らしいレースぶりでした。「最初は本当に緩い馬だったんです。でも使って放牧、使って放牧を繰り返すうちに成長していきました」と友道先生。

 昨日は竹之下騎手(レースは内田博幸騎手)を背にDPに入り、ソニックソードを1秒ほど置いて追走。直線で加速するとグングン伸び、馬なりで0.3秒先着しました。

 先週は内田博騎手と坂路で追っているため「今週は疲れを残さない程度にした。馬の後ろから入って折り合いを付ける内容でした」と言うことですが、それでこの時計は凄いですよね。性格は「レースに対して前向きで、普段は大人しい」と先生。また「もともと競馬センスはいいし、成長してからは追い出しての反応もいい。トモに力がついたし、阪神外回りマイルにピッタリの馬体になった。持久力勝負ができると思う」とレースへの豊富を語りました。

 たしかに、馬房でくつろぐヴィルシーナを見ると、トモの筋肉が発達した馬体をしていました。担当の安田さんは、「もう少し、背が大きくなるかもね」と言っていましたね。大人しい性格ということもあり、ドッシリと構えていてまるで牡馬のようでしたよ。

 ちなみに、ウチパクさんは先週の時点で手応えをつかんだ様子でした。「調教では時計より、跨っての勢いやリズム感がつかめればいいと思うんです」と言いながら朗らかな表情でしたからね。

 オーナーが元大リーガー・佐々木主浩氏ということで話題となっていますが、しっかり実力もあります。これは、本番が楽しみです。

パララサルーはアパパネの隣りに滞在

パララサルーはアパパネの隣りに滞在

アイムユアーズはジョワドとの雪辱戦

アイムユアーズはジョワドとの雪辱戦

 しかし、今年は関東馬にも勢いがありますよね。その有力どころが、ただいま揃って栗東滞在中です。そのため、パララサルーの追い切りには、北村宏司騎手が関東から駆け付けました。坂路単走で追われ、タイムは60.8-13.5秒。序盤ゆっくり、終いはしっかりという内容で、北村騎手は「イメージより遅かったけど、速すぎるよりいいよね。ゆったり乗ったよ」と話しました。

 また、「この馬のいいところは、終いでしっかり脚を使えること。阪神マイルはフェアなコースなので、この馬にとってはいい条件」とコメント。これは、自信ありってことですね。

 そうそう北村さん、しきりと「栗東は寒いな〜」と言ってました。で、さらに「寒いなかでも馬は元気。でも、僕が凍えるよ。あっ、ファンのみなさんにはウイナーズサークルで震えながら待ってもらうことになっちゃうかも」とのことでした〜。みなさん、パララサルーの応援は、暖かい格好でお越しください(笑)。

 さて、今週の僕の気になる1頭はアイムユアーズ。均整の取れた全体に引き締まった馬体をしており、脚入れのいい馬なんですよ。ピンナ騎手とのコンビでGI制覇か? と期待していただけに、先週末のレースでピンナ騎手が騎乗停止と聞いたときはヒヤッとしました。しかし、今週末の土曜だけ騎乗停止で、桜花賞の日は乗れるとのこと。一安心です。で、気を取り直してピンナ騎手に話を聞きました。

「前走フィリーズレビューで初めて乗ったけど、頭のいい馬だよ。レースで教えたことが、もう出来るようになっていたからね。力が試される舞台だと思うので、ぜひともこのチャンスを活かしたい。そうそう、僕は桜の下でレースをしたことがないんだ。できれば、桜のレースを勝ちたいな」(ピンナ騎手)

 メンバー中、ただ1頭の重賞2勝馬。さらに安定感抜群の戦績ですからね。今回もいい走りをしてくれるはずです。

 ところで、今週の阪神競馬場は、名物の桜並木が美しいでしょうね。そこで行われる桜の乙女たちの決戦。今年もまた、名勝負が生まれそうな予感がします。

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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