クラウンカップ(4月11日 川崎 サラ3歳 別定 南関東SIII 1600m)
「クラウンカップ」は、平成10年に重賞昇格(前6年間・準重賞)。10〜12年=二千百、13〜17年=二千、18年〜千六と距離変更されたが、位置付けは一貫“クラシック最終TR”、候補をふるいにかける意味で貴重な役割を担ってきた。
その優勝馬は、平成14年キングセイバー、21年サイレントスタメンが「東京ダービー」を制し、18年サンキューウィンが「羽田盃」を勝っている。今年の3歳勢力図。新星パンタレイが京浜盃を制したものの、全体的にはまだまだ混沌。牡馬=牝馬の力関係も、依然流動的という見方が妥当だ。ここでもう1頭、救世主的な馬が現われるかどうか。
ともあれこのレース。昨年はおよそ1か月の震災休止、再開初重賞となり、牝馬ナターレが、ベテラン・的場文Jの手綱で快勝した。勝利インタビュー。同騎手の嬉しさと満足感、それでいて何かを噛みしめるような表情が忘れられない。改めてやはり思う。競馬が無事行なわれ、その結果に一喜一憂できる幸せというもの。けっして当り前ではないことをもう1度自戒する。
(1)…波乱含み。1番人気[2-3-2-3]は半信半疑の数字で、2番人気[1-1-2-6]、3番人気[2-0-2-6]も心もとない。過去10年、馬複3000円以上が5度(万馬券3度)。波乱が前提。
(2)…地元優勢。川崎=7勝、2着7。出走頭数を割り引いてもホーム優勢。他は船橋=2勝、2着2、大井=1勝、2着1。牝馬は前述ナターレが昨年勝ったが、[1-1-0-12]とアベレージは低い。
(3)…3勝以上。連対20頭中、11頭がその時点で3勝以上をあげていた。北海道、岩手からの転入馬が、3勝して2着2回。ソコソコ実績があり、完成度の高いタイプがやはり有利ということか。
(4)…先行型。逃げ=5、先行=7、差し=6、追込み=2。昨年ヴェガス(四角11番手から2着)の例もあるが、総体的には先行有利。馬場が渋ると、よりその傾向が強くなる。
※データ推奨馬
▲キョウエイロブスト…地元川崎の快速馬。マークした3勝すべて逃げ切りで、前々走千六1分42秒3(2着に6馬身差)だから、ことスピードは重賞級で通用する。絶好1番枠を引いた強運。鞍上・山崎誠士Jは先行型に乗って思い切りのいいプレーが目立つ。
☆ ☆
◎キタサンツバサ 55繁田
○ベルモントシェリー 55川島
▲コンテパルティロ 55森
△シラヤマヒメ 53左海
△ビッグライト 55石崎駿
△コスモランチャー 55戸崎
△ミスシナノ 53杉村
キョウエイロブスト 55山崎誠
オミコシ 55柏木
トキノドラゴン 55増田
登録のあった注目馬、アートサハラ、レイモニ、ロンドンアイらが、相次いで回避、除外(賞金不足)。正直物足りないメンバーになった。ただし◎キタサンツバサにとっては、反面、負けられない、チャンスを逃がせない一戦とイメージできる。休養をはさみ4戦3勝。デビュー時新馬(千)→特別(千六)を難なくクリアしたスピードと競馬センス。前走大井初コースを2番手から力強く抜け出し、精神面の逞しさも実証している。加速がついて重心が沈む迫力の走法。南関東王道といえるアジュディケーティング×ジェイドロバリーの血統背景。今回“羽田盃最終予選”を思えば、あらゆる角度から優勝馬にふさわしい。いい勝ち方でクラシック挑戦を期待する。
○ベルモントシェリーは今回正念場の見方だろう。昨暮れから千五、千六2勝は良血も含め素質の証明。ただ続く雲取賞、京浜盃は競っていかにも頼りなく、現時点で未完成のうらみがある。その2戦、敗れた経験をどう生かすか。鞍上・川島正太郎J(初コンビ)も一つ腕のみせどころだ。コンテパルティロは道営1勝、転入後2勝。父ワイルドラッシュの大型馬で、タフな末脚に特徴がある。ただ同馬の場合、高速決着、置かれてしまうと時計がないだけに少し辛い。シラヤマヒメは現状1勝(道営)ながら、父サクラローレル、自在型で牝馬らしからぬパワーを感じる。以下、力の競馬に強そうなビッグライト、勢いがあるミスシナノを伏兵とした。データ推奨キョウエイロブストは、キタサン、ベルモントが今回“勝ちに行く”競馬とすると、パワーの点で強気になれない。