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ユタカさん証言「ワールドエースは父そっくり」

  • 2012年04月12日(木) 18時00分
 今週は牡馬クラシック第一弾、皐月賞。今年も甲乙付けがたいメンバーが揃いましたね。

 まずは、アグネスタキオンの最高傑作、グランデッツァ。スプリングSを制し、皐月への切符を実力でもぎ獲った前走を平田先生は「強いメンバーを相手に強い競馬をしました。能力の高さを証明してくれましたね」と振り返りました。

 平田調教師と言えば、ベッラレイアを思い出すファンも多いはず。あの馬でのクラシック挑戦は、開業したばかりの若手調教師にとって忘れられない思い出となっているようです。

記者会見もにこやか、平田修調教師

記者会見もにこやか、平田修調教師

グランデッツァ「イイネ!」とM.デムーロ騎手

グランデッツァ「イイネ!」とM.デムーロ騎手

「ベッラレイアのオークス出走は、断トツ人気で送り出し2着に敗れ苦い思いをしました。あの時はウオッカなどが回避したことで、僕自身が舞い上がってしまったんですよね。そんな僕の感情を馬が敏感に感じ取り、無意識のうちにプレッシャーをかけてしまったようで責任を感じました。ですから、今回は落ち着いて臨みたいです。まあグランデッツァは、しっかり者なので、今の時点で僕より落ち着いていますが(苦笑)」(平田師)

 さて、激走のスプリングSの後も筋肉痛などの影響はなかったそうで、ただいま元気一杯。成長の著しく、皐月賞には馬体重10キロ増ほどで出走出来るのではと平田師は予測しています。体重が増えて馬体がしっかりしてきたぶん、追い切りもキッチリこなせるようになり、水曜は坂路併せで54.2-12.6秒。ダイナミックなフォームで1馬身先着と絶好調。跨ったM.デムーロ騎手は「イイネ、イイネ!」を連発していました。

 デムーロ騎手は「前走はムチもいらないぐらい反応がよかった。手前を替えるのに1発入れただけだったからね。その前走のいい状態をキープしているから、今回1ハロン伸びるのは問題ないよ。今は、どうすれば全能力を出せるか考えている。僕自身、皐月賞は4戦2勝しているので、今週末も頑張るよ!」と力強いコメントをしてくれました。

 しかしデムーロ騎手、馬乗りだけではなく、日本語も上手いんですよね。先日の日本での300勝のお祝いを言うと「ありがとうござます!」としっかりした発音で返事をしてくれました。

 厩舎で見るグランデッツァは、贅肉もなく胴の長い安定感ある馬体をしていました。僕が近づいてもモクモクと飼い葉を平らげる姿も堂々としていましたよ。

 この馬にデビューから4戦乗った秋山騎手は「素直で乗りやすい馬。でも、いざ競馬となると闘志をみなぎらせて走る。意志の強い馬」と言います。その秋山騎手、ゴールドシップの背も知っているんですよね。

ゴールドシップ、好調をアピール

ゴールドシップ、好調をアピール

 ゴールドシップは今回相棒となる内田博幸騎手が乗って先週追い切られ、今週は助手さんを背に坂路55.3-12.5秒で併せたシルクシュナイダーに半馬身先着。攻めの姿勢を見せた追い切りで好調をアピールしました。

 須貝先生は「どんな展開でも大丈夫だし、追った分だけ走るんだ。走るために生まれてきた馬だよ」と誇らしげに語りました。たしかに、ここまで安定した戦績を残していますからね。素晴らしいです。

 ちなみにこの馬、僕が中尾正先生のところでお世話になっていたときの同僚である今波さんが担当しているので、ど〜しても応援に力が入っちゃうんですよね。今波さんも、これまで見たことがないような真剣な表情で、毎日ゴールドシップと向き合っています。腕利きの今波さんが「本気」を出した仕上げ。これは、本番何かが起こりますよ!

 しかし、池江厩舎は皐月賞2連覇を目指し、今年はワールドエースを投入してきました。苦手だったゲートも練習を重ねて克服。万全の態勢で臨みます。

 当然、池江先生も「きさらぎ賞、若葉Sと4つのコーナーをクリアし、圧倒的な強さで連勝しました。末脚の爆発力はメンバー中NO.1でしょう」と勝利への自信をみなぎらせています。

このお尻がディープそっくりだとか

このお尻がディープそっくりだとか

 追い切りは福永騎手を背に坂路でジャポニズムと併せ。楽な手応えで駆け上がり、53.0-12.7秒で2馬身先着しました。この内容に先生は「先週より、仕掛けたときの走りにバネがあって力強い動きをしていた。同じ時期のオルフェーヴルと比べても見劣りしない」と大満足の様子。

 ちなみに、ユタカさんは「エースのお尻を見ると、ディープインパクトと見間違えるぐらいソックリ。筋肉の付き方もだけど、キャンターへの入りかたなんかも、よく似ているよ」と話していました。

 しかし、同じディープ産駒に強敵が!? それは矢作厩舎のディープブリランテです。

「一瞬の切れ味といういい武器を持った馬です。それなのに、ここ2戦は2着と悔しいレースが続いています。この馬に携わる人がたくさんいること考え、曳き運動、手入れとすべてていねいにやり、折り合いを付けるための調教も厩舎一丸となってやってきました。馬が口を開たり、アゴを交差することを防ぐため、コンビ鼻革を付けたことでスムーズに動けるようになりました」(矢作師)

 雪辱を誓う矢作厩舎渾身の仕上げに応えるように、水曜の追いはCWを6F84.2-3F39.3-1F12.3秒で突き抜けるように駆けたブリランテ。岩田騎手は「矢作先生の仕事を見て、馬に教えるとはこういうことなんだと実感したし感動した。あとは、キッチリ結果を出すのが僕の仕事。期待してください!」と力強く語りました。

 今週は実力伯仲のメンバーで、取材する僕の方が入れ込み気味でした。もう、週末が待ち切れないですね。

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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