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皐月賞に見る血統馬券

  • 2012年04月18日(水) 18時00分
 先週、桜花賞に出走するディープインパクト産駒の考察をしたので、今週は皐月賞でのディープ産駒について見てみよう。ただ、このレースは他にも人気で出てきた血統がいるので、血統全般で考えてみたい。

 まず1番人気のグランデッツァ。アグネスタキオン産駒だ。アグネスタキオン産駒については、ここで何度も書いてきた。揉まれ弱く硬くなりやすいが、量の豊富な典型的なL系である。したがって、硬くなる前の休み明けを好み、揉まれない外枠も大好きだ。

 グランデッツァの前走スプリングSは大好きな大外枠の休み明け。さらにスローになったので揉まれず気分良く走れたため、能力自体は高いので1着した。

 問題は今回だ。さすがに小回り中山の多頭数GIで前走よりペースダウンすることは考えにくく、タフな競馬になるだろう。そして休み明けで気分良く走った後でもある。Mの血統辞典にもあるように、アグネスタキオン産駒は疲労耐久指数が低い。前走から中3週の間隔で道悪激走後では、反動が出る確率が高くなる。

 取り巻く環境は一気に厳しくなっているのに、1番人気だ。普通なら切り捨ての一手でいい場面だが、悩ましい問題があった。今回も大外枠で、しかも道悪でもある。揉まれるリスクは減るし、道悪で馬群がばらければさらにいい。能力自体は高いので、気分良く走れれば上位に顔を出す。以上から、プラス要素とマイナス要素では、ややマイナス要素が多いと判断して4番手評価にした。

 次は2番人気のワールドエース。ディープインパクト産駒だ。まだ4戦しかしておらず、その内オープンは3戦。若駒S、きさらぎ賞、若葉Sと裏路線である。これはM的には大きなポイントになる。裏路線の方が鮮度を保てるからだ。

 一番の気掛かりは、疲労だ。年明けからすでにオープンを3戦消化してすべて連対。そして前走の若葉Sは8キロ減っての出走だった。それから中3週しかないのに、今回は関東へ初遠征。疲れはある。

 以前も話したように、疲れがあるときの重い馬場はあまり得意ではないのがディープインパクト産駒の特徴だ。それで1番人気と僅差の2番人気。臨戦過程的にはグランデッツァより上だが、やはり人気ほどの期待値は感じない。そこで3番手評価とした。

 次は3番人気のディープブリランテ。同じディープインパクト産駒である。この馬は可もなく不可もない。生涯4戦で年明け2戦。生涯ストレスは少ない。ただそれ以上に特段プッシュする材料もない。

 馬柱を見たときはワールドエースとこの馬、どっちを上にするかでいいと考えていた。ところが、土曜の馬場を見て急に見解が変わった。雨が降って外差し馬場に変わっていたからだ。そして日曜は晴れの予報。

 今年の中山は、土曜に雨が降って外差しで日曜に晴れると内の乾きが早く、内枠の先行、好位馬が圧倒的に有利になるケースが多かったのだ。そこでこの馬を本命とした。

 最後は4番人気ゴールドシップ。馬柱を見た瞬間には本命と考えていたが、土曜の雨を見て、日曜は外枠の追い込みは決まらない馬場に急変する可能性が高いと判断した。そこで、「普通の馬場なら一番有利」だが、対抗の2番手評価とした。

 なぜ普通の馬場なら一番有利なのか?

 まず、今年1戦のみで、今回は中8週と疲労がない。これは人気2頭にはないアドバンテージだ。そして再三解説しているステイゴールド産駒ということ。今では偉大な種牡馬として認知されているが、Mではあまり活躍馬がいなかった初年度から、C系種牡馬の代表として高い評価を与えていた種牡馬だ。強い相手に怯まず、混戦に強い。

 単調な東京1800mのトライアルから、激戦になりやすい小回り中山のGIに変わる点が大きなプラスポイントなのは、他の有力馬にない要素だ。

 ただ、気になることもあった。外枠である。馬群に入って集中力を出すタイプが、外枠で外々回る形は心配だそこで解説には「外々回ると心配だが」と書いたのだった。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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