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皐月賞に見る血統馬券(2)

  • 2012年05月02日(水) 18時00分
 天皇賞・春が終わった。恐れていた外枠、しかもよりによって大外枠をオルフェーヴルは引いた。挙げ句に、縦長で後方は超スロー。外枠でもペースが上がって馬群にさえ入れれば大丈夫だったろうが、超スローの外からの状況では、集中力が続かないのはC系として普通の結末である。

 天皇賞・春では「オルフェーヴルが大外枠を引いた」とマスコミも大騒ぎになった。阪神大賞典の前には、大外枠についてほとんど誰も言っていなかったのにである。Mでは阪神大賞典前からというか、デビュー前からオルフェーヴルがスローの大外枠で危ないことは分かっていた。それがC系血統ということである。

 毎回解説していることだが、このように枠順はその馬のタイプ、流れ、馬場、心身状態によって、決定的な要素になる。タイプによって基本的に好む枠があるが、その馬の心身状態によってどの枠がいいかは変わるのだということを、改めて肝に銘じておきたい。

 さて、先週の特別企画で途中になっていた、先々週皐月賞の話をつづけよう。

 皐月賞当日「うん? 乾いて内の先行馬天国になると思っていたのに昨日まったく全く同じ外差しだ」と、朝からどうもおかしいと感じた。暖かくなって乾きが早くなると考えていたが、どうやらその様子はない。

 そして2レース前、皐月賞とまったく同じ中山芝2000mで行われた鹿野山特別。10頭立てのレースで、4角7番手以降の馬。つまり4角で一番後ろにいた4頭がそのまま1〜4着以内を独占という、見たことのないような究極の追い込みレースとなった。しかも、重なのに後半のほうが1秒速いという、嫌になるようなスローだったのにも関わらずだ!

 さすがにこの馬場に逆らう人間はいないだろう。

 私も対抗のゴールドシップの単勝を厚めに買った。いつもは当日どういう状況でも、基本的に金額を大幅に抑えながらも、本命のほうを厚めに買うのだが、今回ばかりは馬場を見て腰が抜けた。どう頑張っても、内の先行馬ディープブリランテが勝つシーンは想像出来ない馬場だ。いや、運良く出遅れてくれて、腹をくくっての後方待機策がハマまる可能性があるかも知れないと淡い期待は持っていたのだが。

 レースは追い込み馬場を見て腹をくくったゴールドシップの内田騎手が、最後方待機の追い込みに回る位置取りショック。特殊な馬場では、その馬場に合った位置取りショックを掛けるのが一番有効とされている。この時点でもうゴールドシップが勝ったも同然だ。あとは伸びる大外に出すだけ。レースを見る必要もない。

 ところが、直線内を突いたではないか! もちろんC系なので馬群の内を突くのが正解だ。しかし、この日の馬場は外にさえ出せば伸びるのだが…。しかし、それは杞憂だった。さすがC系がインを突くと迫力が違う。あっという間に他馬を引き離して勝ってしまった。

 ディープブリランテは重適性を最大限に活かして、追い込み馬場をぎりぎり粘り3着。何とか3連複を1点目で当てることが出来た。逆に当時実無条件に有利な馬場になったが、大外枠の追い込み馬グランデッツァは1番人気で5着。量系がマイナス6キロも体力的に良くなかったのだろう。

 それにしてもアグネスタキオン産駒の、硬直化は早い。競馬は決して能力で決まらない。その馬の血統などによるストレスや疲労度、そして最後に馬場。この3つでだいたいが決まるということである。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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