ローエングリンは伏兵として出走した昨秋の菊花賞3000mを、なんと16着。落馬したノーリーズン、鼻出血で止めたダイタクフラッグがいたから、記録は18頭立て16着となっているが、事実上のしんがりで、勝ったヒシミラクルから7.9秒も離されている。
スタミナがないわけではないが、かかって行ってしまうから止まるとひどい。
そこでマイルから1800mに方向転換し、目下1、1、2着。また今回も1800mに出走するわけだが、この馬、行きたがる気性さえ落ち着けば、中〜長距離型としてA級馬に育つ可能性を秘めている。
というのも、初勝利は東京2000mで、記録したラップは前後半61.3−61.3秒。これが2歳秋で、次に3歳春に東京2000mに出走したときは、出負けして差す形で、推定の前後半は60.2-60.1秒。
ごまかしの利かない東京の中距離で、古馬でも難しいバランスのとれた前後半のラップを記録し、なおかつ好時計で乗り切ってみせているのである。
このバランスは能力の高さと同時に、かなりのスタミナを秘めることを示している。父は芝もダートも問わず、世界の5ヶ国でG1級のレースを勝っている。父方がサドラーズウェルズ系のシングスピールは、エルバジェのクロスまで秘めている。
ローエングリンの場合、その母カーリングは2100mの仏オークスを制し、秋には2400mのG1ヴェルメイユ賞で、同じ年の日本のオークス馬ダンスパートナーを問題にしなかったスタミナ型。それでいてローエングリンはマイルを1分32秒台で乗り切るスピードもあるのだから素晴らしい。
1800mで折り合ってマイペースの先行ができれば、今年は2000m級も、2400m級もこなしてくれるはずだ。父シングスピールは、4〜5歳時に本格化している。これからが真価を問われる4歳の春だろう。