スマートフォン版へ

中山記念

  • 2003年02月28日(金) 11時47分
 ローエングリンは伏兵として出走した昨秋の菊花賞3000mを、なんと16着。落馬したノーリーズン、鼻出血で止めたダイタクフラッグがいたから、記録は18頭立て16着となっているが、事実上のしんがりで、勝ったヒシミラクルから7.9秒も離されている。

 スタミナがないわけではないが、かかって行ってしまうから止まるとひどい。

 そこでマイルから1800mに方向転換し、目下1、1、2着。また今回も1800mに出走するわけだが、この馬、行きたがる気性さえ落ち着けば、中〜長距離型としてA級馬に育つ可能性を秘めている。

 というのも、初勝利は東京2000mで、記録したラップは前後半61.3−61.3秒。これが2歳秋で、次に3歳春に東京2000mに出走したときは、出負けして差す形で、推定の前後半は60.2-60.1秒。

 ごまかしの利かない東京の中距離で、古馬でも難しいバランスのとれた前後半のラップを記録し、なおかつ好時計で乗り切ってみせているのである。

 このバランスは能力の高さと同時に、かなりのスタミナを秘めることを示している。父は芝もダートも問わず、世界の5ヶ国でG1級のレースを勝っている。父方がサドラーズウェルズ系のシングスピールは、エルバジェのクロスまで秘めている。

 ローエングリンの場合、その母カーリングは2100mの仏オークスを制し、秋には2400mのG1ヴェルメイユ賞で、同じ年の日本のオークス馬ダンスパートナーを問題にしなかったスタミナ型。それでいてローエングリンはマイルを1分32秒台で乗り切るスピードもあるのだから素晴らしい。

 1800mで折り合ってマイペースの先行ができれば、今年は2000m級も、2400m級もこなしてくれるはずだ。父シングスピールは、4〜5歳時に本格化している。これからが真価を問われる4歳の春だろう。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング