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戦国ダービー、ゴールドシップvsワールドエース

  • 2012年05月24日(木) 18時00分
 いよいよ日本ダービーが、今週末に迫りました!

 まずは二冠を狙う皐月賞馬・ゴールドシップ。水曜の追い切りは、同じくダービーに出走するジャスタウェイと坂路へ。楽な手応えで坂を駆け上がり、ラスト1Fになって軽く仕掛けられるとあっさり相手を抜き去り、2馬身ほど離して余裕のゴール。タイムは54.2-13.0秒と、今の馬場状態ならまずまず。

 追い切り後、須貝先生は厩舎回りを運動する姿をジッと見つめていました。時折、「馬のペースで歩かせて」「馬にもたれないように」とスタッフに指導していました。運動も鍛練のうちですからね。

 ゴールドシップは、2人曳きにもかかわらず、担当の今波さんが引っ張られるぐらい。歩様も軽く、元気一杯でした。しっかり運動し仕上がりも順調、「余分な脂肪が取れて、トモに張りが出てきた。馬体重は+10キロぐらいかな。アスリートの体つきになってきたよ」と須貝先生も満足そうでした。

ゴールドシップ、万全の仕上がり

ゴールドシップ、万全の仕上がり

 前走の皐月賞は道中最後方。「3コーナーで内から突き抜けたときはビックリした」と先生は振り返ります。そこからは猛加速。アッという間にライバルたちを引き離してゴールし、須貝厩舎初のGI勝利をもたらしました。

 さて、ダービーに関してですが「坂路に入るとき、立ち止まって嫌々をしたり自己主張の激しい性格。その気の強さが走りにとっていい方向に向かっているね。心肺機能が高いので、どんな競馬もできるから距離も問題ない」とのこと。

 最後に「皐月賞のときは何でもなかったのに、ダービーは胃が痛いよ。勝ったら、もっと痛くなりそう…(苦笑)。この馬は日高の小さな家族経営の牧場で生まれ育ったんだよ。だから、この馬の活躍が日高に活力になるよう頑張りたい」と先生は話してくれました。

 そうそう、ジャスタウェイはGIジョッキーの秋山真一郎騎手でダービーへ。この馬のオーナーはアニメ「銀魂」などの脚本を書いている大和屋暁さんなんですよね。話題と活気にあふれた須貝厩舎から、ダービー馬が生まれるか! 楽しみです。

 皐月賞2着馬のワールドエース。水曜はCWコース、3頭併せで追い切られ、ワールドエースはトーセンホマレボシと馬体を併せる形でゴールしました。

 この内容には池江先生も納得の表情。「バネがあって馬体のバランスもいいですね。馬体重が増えているのは成長分。精神面も、どっしりと落ち着いています。折り合いも付くので末脚を存分に使える東京コースとは相性がいいと思いますよ」とリベンジに向けての豊富を語りました。

 前走皐月賞では不利がありながらも健闘し、「あの強さはホンマもん」と先生。「装蹄に使っている接着剤まで割れで落鉄寸前だったに、人馬ともに何事もなく走り切ってくれた。あのユーイチのバランス感覚は素晴らしいですよ」と鞍上を絶賛しました。

北橋先生もユーイチにエール

北橋先生もユーイチにエール

 そのユーイチは、新馬戦で「この馬は走る」と手応えを感じ「ダービーを意識した」そうで、それだけにココにかける思いには強いものがあります。

「エンジンがかかるまでに時間がかかるから、かえってコーナーでじっくり動くことができる。東京の長い直線に賭けたいね」(福永騎手)

 さて、そんなユーイチの姿を見守る1人の紳士が…と、北橋元調教師でした。先生に気づくとユーイチは「来てくれたんですか?」と嬉しそうに照れ笑い。北橋先生は未だにユーイチのことを気にかけているんですよね。

 先週は通算1400勝を達成して、乗りに乗っているユーイチ。ダービーでは一発逆転といけるか、目が離せません。

 同じく池江厩舎のトーセンホマレボシは、前走に続いてウィリアムズ騎手の手綱で出走。池江先生は「彼は若いが巧いよね」と信頼を置いている騎手の一人です。

ウィリアムズ騎手は愛用のネックストラップと手綱を併用することで人馬ともに崩れにくいフォームを取り、そのことでハミでのコントロールも効くようにしています。

ウィリアムズ騎手、工夫が好騎乗を

ウィリアムズ騎手、工夫が好騎乗を

「ストラップは2本目の手綱のような感覚で使っているんだ。車もチェーンがしっかりかかっていないと、速く走れないだろ? あれと同じだよ。ストラップを握ったこぶしを下げて馬を制御するんだ。レースでは、瞬間的に手綱とストラップを同時に握りロスを減らしているよ」(ウィリアムズ騎手)

 馬を制御し、軸もブレない真っ直ぐな走りをさせれば、馬も楽に走れるということ。僕も障害レースに乗ったとき、安全のためにネックストラップを使っていましたが、遊びを作って多少緩くしていました。しかし、ウィリアムズ騎手のストラップには遊びはありません。それだけ、しっかりと抑えているというか…。とにかく、スゴイです。

 ちなみに、グローブはガーデニング用の薄手の軍手を使っていて「このほうが、フィットする」んだそうです。さまざまな工夫をしているんですね。あっ、水曜はウィリアムズ騎手、お誕生日でした。バースデー週には、いいことあるかもしれないですよね。

 しかし、どの馬も強くてチャンスがありそうで迷っちゃいますね。みなさん、週末までじっくり馬券検討してください。

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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