さきたま杯(5月30日 浦和 サラ4歳以上 別定 JpnII 1400m)
「さきたま杯」は、平成9年当初から交流Gとして創設。一昨年、GIII→GIIとグレードが1つ上がった。第1回フジノマッケンオー以来、圧倒的にJRA主導で流れ、昨年ナイキマドリードは過去15年間2頭目の優勝馬(7年ぶり)という事実がある。ただ、15年ノボトゥルー、21〜22年スマートファルコンあたりを除くと、いわゆる“チャンピオン級”はイメージほど勝っていない。例えば10年テセウスフリーゼ、11年セタノキング、13年ゲイリーイグリットなど、JRA実績は明らかに格下で、当時の高速馬場(セタノキング=レコード1分23秒8)に、大きく助けられた感もある。昨今一転時計がかかる(千六基準で2.0秒程度)浦和コースで、どう傾向が変わってくるか。もっとも今回の顔ぶれ。地方勢は再びナイキマドリード頼みとしか言葉がない。この路線(スプリント)、近年充実を図っているはずの南関東。そろそろ新星が現れていいころと思うのだが。
(1)…堅い傾向。1人気〔3-2-0-5〕は水準程度だが、2人気〔5-1-0-4〕、3人気〔1-3-1-5〕だからおおむね順当。1→2人気のワンツーが過去10年中3度ある。
(2)…JRA優勢。JRA=8勝、2着7。交流Gの中でもここまで一方的な数字は珍しい。以下川崎=1勝、2着1、船橋=1勝。東海=2着2だが、今年は出走馬がない。
(3)…成長株。4〜9歳馬まで好走があるが、前2年は連続して、5歳→4歳→5歳のワンツースリー。イメージ以上に上昇馬が強い。直前かきつばた記念出走組が4勝、2着3。
(4)…好位差し。逃げ=3、先行=7、差し=9、追込=1。浦和コースの特性通り、3〜4角から捲りが主流。騎手は岩田Jがスマートファルコンで2勝、リミットレスビッドで1勝。
※データ推奨馬
◎セイクリムズン…今季、黒船賞(高知)、東京スプリント(大井)、かきつばた記念(名古屋)と3連破。この路線、スーニに代わり主導権を握っている。緩急自在、幅が出たレースぶり。浦和初コースも減点が浮かばない。千四通算〔9-2-2-4〕、岩田Jとのコンビで5戦4勝。
☆ ☆
◎ナイキマドリード 56川島
○セイクリムズン 56岩田
▲トウショウカズン 56内田博
△スターボード 56戸崎
△ダイショウジェット 56柴山
△スーニ 58川田
△トーセンピングス 56張田
ナイキマドリードの連覇を狙った。同馬はNAR、2年連続最優秀短距離馬。しかし実際にはスプリンターとマイラー、ちょうど中間に属するタイプで、千四〜千五、それも左回りで抜群の強さを発揮する。昨年も3番手から横綱相撲、1分26秒0の時計を含め文句なしの勝ちっぷり。当時ジーエスライカー(大井)2着だが、スーニ(3着)、ダイショウジェット(4着)、ラヴェリータ(5着)だから、低レベルの見方は当たらない。道中スムーズに外に出し、そこから捲りあげる形なら理想的。川島正太郎Jとのコンビも〔8-4-0-8〕。一昨年「オーバルスプリント」、今年「船橋記念」を勝っている。
セイクリムズンは、前述通り今季スーニから短距離G・主役の座を奪取した。最も進境を感じたのは前々走大井「東京スプリント」で、当時四角6番手から外めを一気。これまでのイメージを大きく超える切れとガッツをみせている。不安といえば押せ押せのステップだが、父エイシンサンディの大型馬で元来がタフでしたたか。再三先着した相手に、据え置き56kgもきわめて有利だ。▲トウショウカズンは高知「黒船賞」2着時セイクリムズンに首差接戦。ややキャリア不足の反面5歳の若さ、クロフネ×フジキセキの血統背景。勢い、未知の魅力はNo.1としてもいい。実績、格は言わずもがなスーニだが、今季黒船賞4着、東京スプリント11着と期待外れ。気力充実が前提となる追い込み馬で、低迷期は狙いが下がる。それなら転入成功、JRA時千四ベスト(3勝)のスターボード、捲って破壊力があるダイショウジェット。トーセンピングスも転入で再ブレイクしたが、本質的にもう1ハロン程度距離がほしい。