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ダービー万馬券的中の仕組みとは?

  • 2012年05月30日(水) 18時00分
 今週は天皇賞で見た鮮度と経験の恐ろしさについての続きを書く予定だったが、先週の特別企画の復習を忘れないうちに、先にしておくことにした。

 先週はダービーの話を、血統辞典を担当している編集K嬢とした。その事前のポイントが、実際の枠順が発表され、また土曜の馬場を見ることで、どのように馬券へと昇華されていくのか?実際に私が行ったプロセスを使ってみなさんと一緒に見ていこう。

 私は枠順とメンバー、馬場を総合的に判断して、本命をディープブリランテとした。まず、このディープブリランテから、事前見解と本番との関連づけの実践について考えてみる。

 以前も書いたが、皐月賞当日は異常なまでの完全外差し馬場だった。したがって先行馬が残るのは奇跡であり、先行して唯一残ったディープブリランテの内容が皐月賞出走馬の中では一番良かったというのは、先週話した通りだ。フラットな馬場なら連対していたろうし、先行有利な馬場なら圧勝していた可能性すらあるレース内容だった。

 唯一最大の問題は、ディープブリランテの精神状況になる。精神コントロールが難しい馬なので、延長で広いコースでは掛かってしまうのでは?という恐れがあった。

 そこで先週は、「超高速馬場の速い流れで前残りか、逆に重馬場のような極端な状況が良い」というような解説をしたのだった。

 硬い馬場の速い流れなら折り合えるし、重なら下を気にするから走りに集中出来るわけだ。で、土曜は雨の影響はなく、路盤が硬くなって超高速馬場になっていた。

 1つめの条件は前者でクリアだ。次は展開。ペースがどうなるか?

 ゼロスは逃げ宣言。皐月賞でも速い流れを途中から強引にハナを奪った馬だ。もちろん、今回も行くだけ行くしかないだろう。加えて心強いのは、トーセンホマレボシの存在だ。

 前走が外回りなのに34.2秒の速い流れを2番手から競馬して完勝。覇気のない騎手ならまだしも、外人騎手だ。ペースを落とさずにゼロスを追い掛けるのは間違いない。

 ならば前は速くなる。そうなれば1、2番人気が差し馬だけに、ばらけた縦長の展開の可能性が高まる。

 実は私の前日予想では、「縦長の展開になれば」という解説付きで本命にした。

 理想とされた内枠を引けなかったので、縦長の方が内に上手く入れて、掛からずにリズム良く走れるからだ。

 加えて、ディープブリランテは他の有力馬と比べるとキレ味に欠くので、スローの団子状態より、ペースが速くても縦長の形を先行する方が後続を封じやすい。しかも、ペースが上がった方が精神コントロールの難しさが災いして掛かるというリスクも当然減る。

 レースは狙い通りに縦長の展開に。

 しかも、望み通りに岩田が気迫の早仕掛け。関係者は早過ぎると思ったらしいが、ディープブリランテの闘う意欲をコントロールする為にも、キレ味勝負を避ける為にも、あれが正解だ。

 何より、闘う意欲の無い騎手の騎乗など、誰も見たくはないだろう。前に目指すべきゴールがあるのだから、早仕掛けは大いに結構だ。むしろ私は3角手前から「早く捲って突き放せ」と思って見てたぐらいである(笑)。

 このように、その馬のタイプ、臨戦過程、枠順に合わせたペース、仕掛けというのが存在するのである。
 
 では、他の有力馬は何がディープブリランテに当日劣ったのか?それについて、次回は事前見解と枠順などの絡みから解説しておきたいと思う。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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