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安田記念はお尻勝負!?

  • 2012年05月31日(木) 18時00分
 5週間に渡って行われた東京競馬場のGIも、安田記念で一区切り。今週はマイル巧者が集い、熱戦が繰り広げられそうです。

 マイルといえば西園厩舎。今回はサダムパテック 、シルポート、コスモセンサーの3頭を送り込んでの必勝態勢です。

 まずは大将格のサダムパテック。前走の京王杯SCでは、1年2か月ぶりの勝利を挙げました。これまで、道中で力んでしまうことも多々あったパテックですが、難なく折り合いをつけ、最後は豪快な脚を見せました。今回も引き続き、ウィリアムズ騎手とのコンビで出走します。

リフレッシュの効果がサダムパテック

リフレッシュの効果がサダムパテック

シルポート、あ・うんの呼吸で粘る

シルポート、あ・うんの呼吸で粘る

 水曜の追い切りは坂路単走で52.6-12.8秒と動きに力強さがあり、跨ったウィリアムズ騎手は「リフレッシュの効果が出ているね」と満足そうでした。また、「どこからでも競馬ができるし、1ハロン伸びるのは自在性があるから大丈夫。この馬は、自分から馬体を整えるんだけど、今回はそれだけじゃなく、しっかり乗り込まれて仕上がっている」とのこと。

 さらに、西園先生も「左回りのほうが、感触がいいんだよね。自分でハミを取って、脚を溜められたらいい競馬をしてくれると思うよ」と自信アリなコメントでした。

 厩舎を訪ねるとパテック、シルポート、センサーは仲良く調教後のシャワー中。パテックの馬体は黒光りして、ムダのない筋肉が素晴らしかったですね。

 シルポートは前走のマイラーズCで見事な逃げ切り勝ちを見せましたが、そのときの「好調をキープしている」と西園先生。この馬は「逃げ」という個性ある戦法が特徴の馬。なので、先生は「その魅力を大事にしたい」と言います。それも、前走の勝利をもたらした小牧騎手なら大丈夫でしょう。「(人馬が)あ・うんの呼吸で、しぶとく粘ってほしい」と先生は期待しています。

 担当の松尾助手は「見た目はガッチリしているけど、背中が柔らかくて伸びがあるんだ。マイルは得意なので、今回も楽しみだよ」と笑顔。たしかに、シルポートの馬体は伸び伸びとした筋肉で、全体に柔らかさが感じられました。

 そして、昨年末から抜群の安定感ある競馬をしているコスモセンサー。担当の平田助手は「関節の動きが柔らかく、馬体の張りも前走からキープしています。今が一番いい状態ですよ」とニコニコ。

 ちなみに、センサーは調教から帰ると、まず馬房に入ってゴロンと寝転ぶんだそうです。敷料のチップを浴びて気分をリフレッシュさせているんですね。感情のコントロールが上手な馬なようです。

 こうして3頭を見ると、それぞれ性格、馬体などがマイルに合っていることが分かります。これは期待できそうですね。

 そして、先週念願のダービー制覇を果たした矢作厩舎からは、グランプリボスが参戦します。

矢作先生は「馬体が絞れて張りが出てきたよ。休み明け3走目でマイルを勝ったこともあるから、前走からの200m延長は大丈夫。今の東京芝は、内が有利になっているので、昨年のNHKマイルCのときのような競馬ができればいいね。溜めを効かせて、ラストの瞬発力に賭けたい」と話してくれました。

 もともと使ってよくなるタイプなうえ、実績ある東京コース。これは、侮れない存在です。

立派なお尻のマルセリーナ

立派なお尻のマルセリーナ

エイシンアポロン太目を脱出

エイシンアポロン太目を脱出

 その後、トレセン内を歩いていると、目の前に立派なお尻が! そのお尻、立派に筋肉が張っていて、盛り上がっていました。お尻の主はマルセリーナ。あまりの見事さに声をかけてしまいました。

 本当は運動中の馬に声をかけるのって、良くないんですよ。特に牝馬には…。でも、マルセリーナはとても落ち着いていて、僕の存在を気にした様子はありませんでした(いや、本当にごめんなさい!)。ヴィクトリアマイルから中2週でのレースですが、馬体に疲れも見られません。

 担当の大當助手にうかがうと(運動後にうかがいました)、「レース後の回復は早かった」そうで、その後は「自分で馬体を作っているように感じる」と言います。

「(使ったことで)エンジンがかかってきたかな〜。馬体も脂肪が取れて絞れてきたよ。前走は出遅れて流れに乗りきれなかったのに、最後は巻き返して3着に食い込んだ。たしかに、桜花賞から勝ててないけど…。でも、高いレベルで今安定しているから、男馬相手になっても差のない競馬ができると思うよ」(大當助手)

 松田博先生も追い切りに及第点を付けていましたし、得意のマイルで一発逆転といきたいですよね。

 さて、今週の気になる1頭はエイシンアポロン。前走のマイラーズCは不甲斐ない結果に終わりましたが、昨年のマイルチャンピオンSの覇者の実力は、こんなものではありません。

 中山助手は「普段の歩き方が安定してきて、綺麗に歩いている。馬体も5キロほど絞れて太目を脱出した」と嬉しそうに話してくれました。

 歩きかたがよくなり、フォームがよくなれば馬体が安定するのでとても大事なこと。雰囲気も良くなっていましたし、これは復活の兆しあり! 楽しみです。

 今回は香港から昨年の香港スプリント覇者・ラッキーナインや、チャンピオンズマイル2着のグロリアスデイズなど強敵がやってきています。見逃せないレースになりそうですね!

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1977年8月2日、大阪府生まれ。96年3月に中尾正厩舎所属でデビュー。同期に福永祐一、和田竜二らがいる。96年3月10日、タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビューからの約5か月で12勝をマーク。しかし同年8月、レース中に落馬事故を起こし意識不明に。その後、奇跡的な回復をみせて復帰。03年には中山GJでビッグテーストに騎乗しGIを制覇をする。 04年8月28日、小倉競馬場で行われた豊国JSで再び落馬。レース復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は、栗東トレセンを中心に、精力的な取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)にて『常石勝義のお馬塾』(毎週土曜日9:45〜)に出演中。

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