少しずつG1戦線の視界に入ってくる有力馬たち。この春、どんな顔ぶれになるのか、少しずつ見えてきました。
今は、各路線がきっちりできていて、どの馬がどうかは別にして、スケジュールの消化とともに、表面的には争覇圏に入る馬はつかめることになっています。ですから、いざ本番というときには、そこまでの前哨戦をどう分析するか、そのノウハウをつかんでいるものには有利な筈。かくして、レース検討にも一定のパターンが確立された時代を迎えているように思えます。その方法論、持っているかいないか、専門家かそうでないかの境界線がそこにありそうです。
しかし、大レースほど、心情をたっぷり盛り込んだ無手勝流の方が楽しめるのです。馬券を当てるのも大事なんですが、それよりも応援する馬がはっきりしている方が、ずっと意味があります。記録より記憶、G1戦はそうありたいですね。
中山記念で重賞初制覇を達成したローエングリンは、スピード、それも逃げることでそれを見せてくれる馬ですが、いつも真面目に一生懸命すぎるのが欠点と言われてきました。もう少し楽に走ればいいのにとか、どこかで息を抜いて走れるようになればとか、ズルさが身についたときには期待どおりに勝てるだろうと見られていましたが、中山記念の逃げっぷりから、こんな風にゆったり走ればいいのだと馬自身がわかったのではないかと思いました。
ジャパンC、ドバイWCを勝ったシングスピールを父に、仏オークス馬を母にとなれば、イメージするのは中距離。これからのローエングリンの進路がどうなっていくのか、それは、馬自身が自分との戦いにどう勝っていくかで決められていきます。
こういうローエングリンを応援し続けるかどうか、それを決めることで記憶に残せるG1戦になっていくのだと思っています。