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関東オークス

  • 2012年06月12日(火) 18時00分
関東オークス(6月13日 川崎 サラ3歳牝馬 定量54キロ JpnII 2100m)

 関東オークスは、「桜花賞」→「東京プリンセス賞」に続く南関東牝馬三冠ファイナルレース。平成12年に統一GIII指定、以後15年からGIIへと昇格した。何度か書いたことだが、浦和千六→大井千八→川崎二千百と、距離、コースが転々と変わる牝馬三冠は、大井だけが舞台になる牡馬三冠より、条件が数段厳しい。

 だから、それを見事に成し遂げた06年チャームアスリープは、ふり返るたび、不世出の名牝であり、同時に強運の持ち主だった(JRA・グレイスティアラが唯一ライバル)とため息が出てしまう。走る能力はもちろん、一貫ピンと張り詰めた精神力が、その春同馬を支えていた。

 さておき今年の話。桜花賞をコテキタイ、プリンセス賞をアスカリーブルが、それぞれ特徴を生かして勝った。前者はスピード、後者は切れ味。ここ数年と比較してもレベルはけっして低くない。ただここにエミーズパラダイス(ダービー挑戦・3着)、エンジェルツイート(放牧充電)がいてくれたら…とは、やはり思う。

 結局、牡馬を含め南関東勢(転入馬の助けを借りても)のオープン級に、本当の意味での厚みがないこと。ただこの部門(牝馬ダート)、JRA勢も伝統的に“1強型”で、実際近況はラヴェリータ、ミラクルレジェンドに頼ってきた。いずれにせよ出走14頭、すべて未知数の川崎二千百。波乱の予感(期待)もないではない。

(1)…1番人気。1人気[7-2-0-1]は絶対といえる数字で、05年ライラプス(4着)以外、すべて連対を果たしている。ただ2人気[0-1-2-7]、3人気[1-2-1-6]と低調。ヒモは薄目か。

(2)…JRA勢。JRA8勝、2着6回。以下、川崎=1勝、2着2回、船橋=1勝、2着1回と、大きく水があいている。過去10年中、ワンツースリーが2度。昨年もカラフルデイズ→ピュアオパール。

(3)…実績重視。連対20頭中16頭が、この時点でダート2勝以上をマークしていた。近年は昇竜S出走組が強く、3勝して2着1。21年ラヴェリータ、23年カラフルデイズが好例といえる。

(4)…差し有利。川崎二千百、ハイペースはまずないが、それでも現実に、逃げ=2、先行=5、差し=11、追込=2。非力な逃げ馬は狙いが下がる。ジョッキーは、岩田騎手=4戦2勝、2着1回。

※データ推奨馬
 ◎マシュマロ…ユキチャン(08年・8馬身差圧勝)の全妹。自身JRAダート2勝、道中前々から二の脚を使うレースぶりもよく似ている。関東オークスは、クロフネ産駒、フジキセキ産駒がそれぞれ2勝とズバ抜けて強い。地方Gに実績のある川田将雅騎手。

 ☆ ☆
 
◎オールドパサデナ 横山典
○レディーソルジャー 森
▲サトノジョリー ウィリアムズ
△アスカリーブル 今野
△エイシンキンチェム 岩田
△グラッツェーラ 真島
△マシュマロ 川田
 コテキタイ 張田
 リカチャンス 本橋

 オールドパサデナは、1頭別格の能力がありそうだ。デビューから一貫ダートを使われ[2-2-0-0]。当初2戦こそ出遅れで取りこぼしたが、レース慣れした3戦目から文字通りエンジン全開。未勝利→500万、いずれも豪快な大外一気で連破した。現実に、前走東京千六1分37秒6は古馬1000万を凌ぐレベル。490キロ台、大型馬ながらフットワークがしなやかで、道中馬混みでスッと折り合う落ち着いた気性にも大器を感じる。

 父エンパイアメーカーは、ベルモントS(12F)など米G?3勝。母方エーピーインディの背景からも、クラシック向き、中〜長距離向きといえるだろう。この顔ぶれで二千百(おそらくスロー)なら、2周目向正面あたりから捲り勝負。近い将来、古馬牝馬グレード、その王道を歩む馬とイメージした。

 レース傾向通り、相手を少しひねった。レディーソルジャーは桜花賞4着、プリンセス賞3着。むろん実績はアスカリーブル、コテキタイより格下だが、この2レースとも、直線大外からハッとする脚を使った。父マヤノトップガンをらしい追って重心の沈む走法。◎パサデナがひと捲りで前をつぶす展開と考えれば、十分穴の資格がある。一方アスカリーブルは、ここ数戦いかにも目いっぱいのレースぶりで上積みより疲労が心配。前走待機策で健闘したコテキタイも、さらに距離延長でプラスがあるとは思えない。

 話は前後するが、残るJRA3頭の評価を書く。ダート2勝サトノジョリーは牡馬オープン昇竜Sも5着健闘。小柄でもピリッと切れるレースぶりなどミラクルレジェンドを連想させ、ごくオーソドックスな狙いなら相手本線になるだろう。

 エイシンキンチェムは、前走兵庫CS4着でダートOKを実証したが、今回は地元コテキタイも逃げ宣言。距離二千百となると共倒れの危険がある。マシュマロの場合、前々走東京・ヒヤシンスSを10着大敗。当時千六1分40秒0では、数字上オールドパサデナと勝負にならない。血統面の後押しなど、大きなプラスアルファが必要だ。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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