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阿武隈ステークス

  • 2012年06月15日(金) 18時00分
 メインレースとすると、さすがに年に2〜3回しかないだろうと思える低調な組み合わせになってしまった。前回、障害未勝利戦を勝ったアサティスボーイの成績欄には1着の数字があるが、あとは休み明けのグループを含め、ほとんどの出走馬が「2ケタ着順」に近い。オープンから移動してきた4歳馬などいない。

 だからといってつまらないとか、凡戦になるというわけでもないが、相当に士気を鼓舞しないと苦しい。追いかけている気のある馬でもいれば別だが、成り行きで少し参加する程度にとどめるのが正解だろう。おそらく後味のいいレースとは期待しにくい。おまけに天気予報まで降るか降らないのかはっきりせず、芝状態まで怪しい。

 中心は、立て直してきた6歳ケニアブラック(父ジャングルポケット)。前回は阪神に遠征して見せ場もなく後方追走の13着に終わったが、もともと体質が弱く、ほとんど連続して出走したことのない同馬にしては、珍しく間隔の詰まった出走だったこと。馬場も発表以上に悪かった。まして阪神は初めて。初の長距離関西遠征が思われていた以上に負担になったのが凡走の原因だろう。

 この1600万条件にあがって[0-1-0-7]だが、前回の大敗を別にすると強敵と対戦しても、もっとも負けたときでも差は0秒6。0秒1〜0秒4差の善戦好走が計4回もあり、このクラスで足りない馬ではない。今回は間をあけて、地元にちかい福島。たしかに天気ははっきりしないが、渋馬場になるほどは降らない可能性が大きい。体調の不安さえなければ、この相手だけに、3走前にアカンサス(日曜の阪神マーメイドSで人気上位)と接戦のスピードと切れが生きるだろう。

 相手妙味は、51kgの軽ハンデだったとはいえ、目黒記念2500mを2分31秒5で乗り切っている(8着)タフなアイノカゼ(父キングヘイロー)。一時はずっと500万にとどまるかと思えたが、5歳時に7番人気で500万を勝ち、今年7歳時には8番人気で1000万条件を勝ってみせた。3歳春以来4年ぶりの芝で、目黒記念0秒9差だから、みんな前回凡走しているの中にあって、同馬は前回「大善戦」である。父母の系統から、平坦に近いコースは合う可能性大。

 まだまだ本調子には遠いと思えるが、中舘騎手を配してきたヤマニンエルブは本来の能力は断然No.1。この相手なら切る手はない。コスモラピュタ、モーニングフェイス、ニシノメイゲツが連下候補。低調な組み合わせなどといいつつ、結局、少し参加してしまいそうだが、さすがに推奨するのは気が引ける。ごく小額にとどめたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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