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短縮ショッカーで、簡単に万馬券を当てよう!(2)

  • 2012年07月11日(水) 18時00分
 先週の短縮ショッカーの続きを書こう。

 ニシノステディーは1600mからの距離短縮で、過去に1200m連対歴があり、前走が逃げ。距離短縮・当該距離以下の連対歴・前走3角5番手以内。3つのショッカー条件を満たしているので、短縮ショッカーに任命された。

 ただ、1つだけ気になることがあった。前走が広い東京の1600mを逃げたことである。今回、大幅短縮の流れ激化の中で仮に逃げられないと、精神的なダメージを受ける可能性がある。また、よりによって今回は広い東京から、狭い小回り福島の内枠な挙げ句、前走2〜3番手ならともかく、気分良く逃げた後だ。

 このステップでは、逃げられずに激流の中に入ってしまう可能性が高く、それを嫌がるリスクも高い。その不安をさらに助長するのが、同馬が過去連対したときは、すべて3角1、2番手だった点である。

 久々の1200mで違和感なく道中揉まれないポジションを取れるのか(今まで慣れることの無意味さを書いてきたが、こういうときにこそ慣れはある程度意味を持ってくる。慣れと鮮度のバランスの面白い例だ。ただ、もし仮に同馬が外枠なら、芝1200mの慣れ問題は、もっと優先順位が下がる)。何とも微妙だ。

 微妙だが、6番人気(単勝は上位人気馬が被っていたため42倍)という人気を考えれば、スムーズに流れに乗れて、ショッカー効果が発揮される確率の方に賭けてみてもいいだろう。そこで相手の1頭に指名したのである。

 そしてレースでは、スタートで前をカットされ、ほぼ最後方からの競馬。これが実に良かった。スタートを決めて馬群に入ってしまったら、内枠で揉まれて嫌気が差すリスクが一気に高まる。出遅れたために、道中流れの外に出ることに成功したのだ!

 しかも、レースでは外に出す競馬。これで「流れ激化によって揉まれる」という、特に「前走逃げ」からの短縮ショック最大の懸念を払拭できたわけだ。そのために最速上がりを駆使して2着。もちろんハイペースだから出来た訳だが、「逃げから追い込みに回る位置取りショック」という派手な劇薬が炸裂したのである。

 逃げと追い込みは同じ要素が強い。基本的に揉まれることを嫌がるタイプが多いからだ。それでいて闘う意欲は強いS系が多く、また道中の緩急に弱い、一本調子にスピードを爆発的に乗せるタイプが多い。だからこそ、逃げ馬が追い込みで激走することがよく見られるのだ。

 ところで、短縮ショッカーの危険性を強調してきたが、ニシノステディーは短縮ショッカーにおけるプラス部分も内包していた。それは2走前の格上のオープン戦だったダート1400m栗東Sと、一年近く前になるがダート1200mの鹿島特別である。

 芝1200mで「なぜダートの話を?」と、Mを知らない人は不思議に思うかもしれない。だが、これは重要な経験だ。

 短縮ショッカーは、短縮の激流に対応しなければいけないので、闘う意欲が強くないと失敗しやすい。MでいうところのS質な要素である。ハイペースになってタフに流れるダート戦は、まさにS質の塊であり、それを砂の猛者が集まる格上のオープンで経験できたのは、着順がどうであれ重要なことだ。

 また鹿島特別は中山の1200mだった。ダート短距離の中でも、中央開催では一番ハイペースになりやすい、S質の総本山のような条件が中山ダート1200mである。それをハイラップで逃げたのは、得がたい経験になっただろう。

 このように、「経験」とは必ずしも今回の条件と同質のものである必要はない。「今回要求される性質に対して同質」であればいいのだ。つまり今回は短縮なので際立ったS質が要求されている。

 いつもいうように、今回とまったく同じ条件を走った場合、必ず飽きを伴うが、まったく違う施行条件での経験は飽きを伴わない上、それが今回のステップに対して同質なものであれば、極めて有利な経験へと昇華されるのである。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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