昨年デビュー種牡馬・ダイワメジャーはずいぶん解説したので、今週は同じく産駒の活躍が目立つアドマイヤムーンについて、改めてまとめてみようと思う。
まず獲得賞金の2番多いセイクレットレーヴを見てみる。
2勝を挙げている馬だが、その2勝目クロッカスSは1400mのOP特別だった。このとき、前走は1600mのジュニアCで、前走からの距離短縮ショックが掛かっていた。また、そのジュニアCでは9番人気2着と激走しているのだが、人気がなかったのは当然で、その前のレースは格下500万(2000m)なのに11着だったのだ。
激走したジュニアCは1600m、大負けした500万は2000m。つまり400mの短縮だった。以上から、短縮に対する食いつきの良さがうかがえる。
次に1番獲得賞金の多いレオアクティブ。この馬は朝日杯FSでの3着激走が自慢で、この朝日杯FSは前走の京王杯2歳Sから200mの延長だった。ただし、延長とはいえ京王杯2歳Sより朝日杯FSのほうがテンで0.8秒速いレースだったのだ。
つまり短縮というより「前走よりペースアップしたレースで比較的強いのでは?」という仮説が立つ。
また、同じくムーン産駒のスノードンの2勝目、8番人気で激走した萩Sも短縮でペースアップしていた。だが、その後のスノードンは6戦して最高が5着と苦戦。ファインチョイスもファンタジーS3着後に7戦して最高が7着と苦戦している。
早熟という見方も出来るが、それより「精神的にキレやすいのでは?」という負け方だ。完全な早熟タイプならむしろ、相手が弱くなったら適当に好走したりすることが多い。前述の距離短縮での激走も、精神コントロールの難しさに起因しているのでは? と思われる。前走より速い流れの方が、集中力が最後まで持続するタイプということではないか?
スノードンが未勝利を勝ったときは、前走3角11番手から逃げに出る位置取りショックで、その次戦荻Sでは8頭立ての5番手と差しに回る位置取りショックだった。つまり位置取りショックによって気持ちを持続出来たのが連続激走の主要因だったわけで、こういうタイプは精神的に安定しない。
ただし、際立ったS系というわけでもない。レオアクティブ、セイクレットレーヴは、比較的安定した取り口で、まとまり傾向にある。産駒全体を通してはまとまっている中に、不安定なS要素がやや強めにあるという印象だ。
またセイクレットレーヴのニュージーランドT2着が16頭立ての3番枠、レオアクティブのマーガレットS2着が14頭立ての2番枠と、多頭数の内枠をこなしたように、激戦で揉まれても凌げる。というより、内枠のほうが最後まで集中力を持続させやすい面がある。
また、やや体力面で難がある産駒が多いので、外々を回るより、内で脚を溜めたほうがいいケースも多い。短縮との相性の良さは、この体力面の補強という色彩も強いのだろう。
体力面ともう1つアドマイヤムーン産駒で気になるのは、疲労に対する問題だ。
これは、この間解説した函館2歳Sで、アットウィルが内枠で凡走した理由と重なってくる。(次週につづく)
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