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アドマイヤムーン産駒、体力と精神コントロールに難あり

  • 2012年08月08日(水) 18時00分
 先週、解説していたアットウィルが単勝1.6倍の断然人気で出てきたので、少し復習がてら、見てみよう。

 結論から先に言えば、このアットウィルは切れない。

 前走は新馬勝ちの硬さ、反動が出たのと、内枠でタフなレースを強いられたのが敗因だった。

 前が塞がる不利があったという人もいるだろうが、それは予めかなりの確率で起こることだった。多頭数の内枠で、しかも前述したように姉よりパワーはあっても柔らかさは無いアットウィルが、その馬群をストレス時に捌ききれる可能性はほぼイーブンだろう。それで1番人気では、仮に捌き切れたとしても、勝てるかどうかは分からないのだから、明らかに単勝期待値は低い。

 しかし、今回は前走より単調な流れになる延長で、しかも13頭立ての少頭数。

 捌ききれない確率はかなり低く、しかも今回は凡走後なので、心身疲労はほぼなく、前走より遙かにクリアな心身状態だ。

 唯一気になるのが延長で精神コントロールが付くのか?ということだが、そこは今回、内枠というのが、逆にプラスに働く。

 以前解説したように、アドマイヤムーン産駒は精神コントロール的に短縮の方が走りやすいのだった。

 またクリアな状態の場合は、内枠がプラスに働きやすい面もある血統だとも書いた。

 セイクレットレーヴがNZTで16頭立ての3番枠で2着したり、レオアクティブがマーガレットSで14頭立ての2番枠で2着したりという具合にだ。

 NZTのセイクレットレーヴは休み明け、マーガレットSのレオアクティブは叩き2戦目で、前走が1番人気で4着と凡走後だった。

 つまりストレスが無く、クリアな状態である。

 クリアな状態だと内枠でも我慢が利いて、むしろ精神コントロールの難しさを馬群に入れることで緩和するというプラス作用が見込まれる。

 今回のアットウィルはデビュー3戦目、前走1番人気5着。

 ほぼ上記の内枠で好走した2頭と同じような鮮度ステップだ。

 これなら今回の内枠は前回と一転、集中しやすくするにはちょうど良く、特に距離延長で掛かりやすくなったりと、精神コントロールの難しさを出さないで済む効果も大きい。

 ただ単勝1.6倍を考えると、果たしてそこまで絶対的かというと微妙だ。

 まず崩れないけど、絶対勝てるかというと分からない断然人気が出てるレースはやらないに限る。

 そこで、予想はしなかった。

 結果は、アットウィルが内々をロス無く回って、綺麗に内を突いて抜け出し。

 さすがにストレスが無く、クリアな状態の内枠は上手い血統だ。

 それでも地方のダート1700m先行からの短縮ショッカーというM的な鮮度満載の6番人気、伏兵ジェネラルグランドにあわやのところまで迫られてしまった!

 鮮度馬が多いレースで、断然人気の単勝は、やはり買うには怖い。

 アドマイヤムーン産駒をまとめると、やや体力と精神コントロールに難があり、短縮や内枠を好むが、疲れやすく、ストレス時にタフなレースでは投げ出す恐れがある。

 S要素が一番強く、次にC要素、その次がL要素で、Sが強めのまとまり系で、使い減りするというのが、全体像になる。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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