先週紹介した新指数「衝撃指数」だが、それまで辞典に載っていた疲労耐久指数とどこが違うのか? その線引きがよく分からない読者もいると思う。
疲労耐久指数は、主に使い込まれてレース間隔が詰まったときの反応をもとに作られている。これに対して、衝撃指数は短縮ショックなのどのショック成功後の反応を中心に作られたものだ。心身疲労に対する耐久力という面で被る部分もあるのだが、一番の違いは「蓄積されたもの」か、「1回の衝撃に対するもの」かということだ。
具体的に言うと、キングカメハメハ産駒は、今回の最新指数によれば疲労耐久指数は43とかなり低い。ただ衝撃指数は53と、平均の50を若干上回る。つまり、蓄積された疲労には弱いが、1回の衝撃に対しては、ある程度我慢が出来るということだ。
では、注目のディープインパクト産駒はどうかというと、疲労耐久指数が47、衝撃指数が49となっていて、予想通り若干疲れやすい。ただ、もう少し衝撃指数が低く出るかと思っていたが、案外平均に近かった。
例えば先週、新潟大賞典に1番人気で出走してきたディープインパクト産駒のトーセンラー。同馬は、ずっと中5週以内で出走し、今年になってからは6戦も使い込まれてきた。しかも今回は2連続連対後の中3週。加えて残暑厳しい時期だった。
この場合は、衝撃を受けたわけでもないので、単純に疲労耐久指数を見ることになる。すると先ほど書いたように47。決して蓄積疲労に強いわけではない。これでは、1番人気でも馬券的にはせいぜい馬単のヒモ程度が無難だろう。
そこで私は、この1番人気を出走18頭中13番手の評価に下げた。結果は7着惨敗。これまで連続好走していたのが嘘のような、あっけない敗戦に終わった。
私がこのレースで本命にしたのは、8番人気アスカクリチャン。同馬はスターリングローズ産駒だ。スターリングローズになじみのない読者は多いかもしれないが、アフリート産駒でダートの1400m〜1600mで活躍した種牡馬である。
そんな馬の産駒が、新潟の超高速上がりで走るのか? と思うかもしれないが、意外にもスターリングローズ産駒は、高速上がり指数が62↑と抜群に高く、実は主要種牡馬の中ではディープインパクト産駒に次ぐ、高数値を叩き出しているのだ。しかも、62の後ろに↑が付いている(ダート血統のほうが、単調な高速上がりに強い産駒が出るケースは案外多い)。
これは上がりが速くなればなるほど期待値も上がるという危険極まりないマークだ。
レースでは、直線で伸びないインに進路を取りかけてから、慌てて外に出した分、クビ差間に合わず3着だったが、複勝では510円と高配当になった。私は複勝をたんまり買っていたので、このレースでほぼ今週の勝ちを決めたのだった。
なぜ複勝かというと、何回も書いていることだが、上位人気(この場合は1番人気トーセンラー)が危ない場合は、人気馬が消えて複勝配当が付きやすいからである。しかもこれも毎回書くことだが、展開次第で紛れが起きやすいのが、広くて直線の長い単調なコースの特徴でもある。
スローになりやすく、仕掛けどころや展開次第でどうにでもなるし、スローのために密集しやすいので、失格覚悟で行かない限りどうにもならないようなタイプの不利も起きやすいなどの理由だ。
今回もそういうわけで、3連複499倍の波乱となったのだが、このレースは3番人気のステラロッサも危なかった。これは前回衝撃指数が37と極めて低いと解説したハーツクライ産駒で、今回は中1週の叩き2戦目。反動が出る可能性が70%はあると考えるのが普通の状況だったので12番手評価とした。
このように人気馬が危ないときは、やはり単勝爆弾か、狙った馬が1頭だけなら今回のように単複狙いが正解になる。
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