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紫苑S

  • 2012年09月07日(金) 18時00分
 10月14日の秋華賞トライアル。ふつうにいうと春の実績上位としていいオークス出走馬が、今年は5頭存在する。うち4頭がここはオークス以来の休み明け。

 牝馬だから別に休み明けでもかまわない。オークスから休み明けの出走になったここで連対した馬は、過去10年間に、02年オースミコスモ、03年タイムウィルテル、05年ショウナンパントル、06年キープユアスマイル。計4頭いる。

 しかし、その4頭のオークスの成績は、順に「14着、15着、7着、12着」である。これが次週16日のローズSで、出走予定馬のうち、オークスを大レコードのジェンティルドンナとか、同じく人気で2着したヴィルシーナの秋初戦を考えるなら、春のランキングはかなり重要。しかし、この紫苑Sは秋華賞の行われる京都や、同地域の阪神ではなく、まったく方向の違う東の中山コースであり、関西馬もメイショウスザンナ(オークス9着)など、たった3頭しか出走していない。

 春の成績はあまり重要視する必要はない。コース適性、距離2000m、現在のデキの良さ、夏の成長……。注目点は分かれる。

 コース適性と距離にポイントを置いて、ダイワズーム(父ハーツクライ)から入る。ハーツクライの産駒だが、ややずんぐり体型で春のオークスは距離が長かったろう。その距離不安を意識し、ちょっと控えたオークスは終始場群にもまれる苦しい展開になって6着だが、3着アイスフォーリスとはわずか0秒2差。上がり3ハロンは上回っていた。

 中山の1800〜2000mに限ると[2-1-0-0]。好位で流れに乗れる自在性があり、この距離なら一瞬の脚もつかえる。鹿戸厩舎だから目立ったタイムは出していないが仕上がりの不安なし。体もひと回り大きくなっている。速い流れは考えられず、すんなり先行(好位)態勢に持ち込めると考えた。4月のデイジー賞が今回と同じ横山典弘騎手で、好位から上がり34.2秒(レース上がりは35.4秒)でスパッと抜け出している。

 相手に魅力は、夏の上がり馬に相当するブリッジクライム(父ゼンノロブロイ)。前回はスローの流れに巧みに乗って上がり32.7秒で寸前まで先頭。高速馬場のインを通ってくること必至。新潟記念を快勝して意気あがる大野拓弥騎手のツキにも乗りたい。

 まだ500万下だが、ディオベルタ(父フジキセキ)の前回のレース内容も悪くない。人気のアイスフォーリス、メイショウスザンナあたりと互角に評価する。連の押さえに、切れるパララサルーと、光る素質があると思えるアンアヴェンジドを加えたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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