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ユーザーからのギリギリ質問(1)「オルフェーヴルの乗り替わりは?」

  • 2012年09月11日(火) 18時00分
『聞きづらいけど聞いてみたい! ギリギリ質問特集』第1弾。「オルフェーヴルの乗り替わりについてどう思う?」「戦法がわかりやすい騎手は誰?」などなど、ユーザーからの“直球”に、小牧騎手が正々堂々挑みます!

■ジョッキーも必死だってこと、わかってほしいね
──今回は、ユーザーからの怒濤の質問特集です。答えづらい質問については、答えなくて結構ですので。では、よろしくお願いします。

小牧 なんか、怖いなぁ(笑)。

──では1問目です。「勝負どころで内を突く、外を回すなど、展開によって戦法はいろいろありますが、個人的に、進路選択はジョッキーの性格も影響していると思っています。小牧さんから見て、“コイツ、わかりやすいなぁ”と思うジョッキーはいますか?」

小牧 いや、あんまり考えたことがないなぁ。それぞれの癖を見抜いて対応するのも、作戦のひとつなんやろうけど…。人のことをあんまり気にしていないというか、そういうことを考えて乗ってない。僕は平均すると外へ行くタイプやな。

──そうでしょうか?

小牧 うん、そんな気がするんやけど(笑)。

──内を突いて勝つのと外を通って勝つのでは、やはり気分が違うものですか?

外を通っての勝利は気分爽快

外を通っての勝利は気分爽快

小牧 気持ちがいいのは外からやね。あ、でも、馬群を縫って勝つのも気持ちがいいね。手応えがいいから縫ってこられるわけで、馬次第やけどね。

──続いての質問です。「凱旋門賞に出走するオルフェーヴルが、池添騎手からスミヨン騎手に乗り替わりになりました。僕は池添騎手に乗ってほしかったと思っているのですが、小牧さんはこの乗り替わりについて、どう思われますか?」

小牧 僕が馬主や調教師だったら……スミヨンが乗れるなら、乗ってほしいと思うかもしれない。やっぱり巧いもん。巧いし、馬場もよく知ってるし。人情も大事やけど、やっぱりチャンスやからね。

──でも、小牧さんが池添さんの立場だったら…。

小牧 たぶん「自分でもそのほうがいいと思います」って言うわ。オルフェーヴルくらいの馬やったら、自分よりスミヨンのほうがいいなって思うと思う。なんせ、乗ったことのない競馬場やからねぇ。もちろん、悔しい気持ちはあるやろうけど。

──ん〜、そんなものでしょうかねぇ…。続いては、「地方競馬から移籍されたとき、ご自分でどのあたりのポジションまで行けると考えてらっしゃいましたか?」という質問です。

小牧 どのあたりのポジションといっても、具体的な目標は立ててなかったからね。馬乗りの技術に関しては自信はあったけど、僕の前に移籍した安藤勝己さんのように、GIをポンポン勝ったりできるのかなぁっていう不安はありましたけどね。

──小牧さんの場合、移籍当初に飛び交った「小牧は走る馬にしか乗らない」という噂が残念だったというか…。

小牧 うん、まぁね。でもそれだけじゃないよ。騎乗に関しては、誰にも負けない自信はあったけど、やっぱり変に力が入って、ちぐはぐな騎乗になったりね。そういう時期もあったし。

──リーディングを意識されたことは?

小牧 ないねぇ。初年度に100勝でもしていたら、また違っていたのかもしれないけど。

──続いての質問です。「馬券を買っている者としては、ついつい騎乗に文句を言いたくなることがあります。ジョッキーの立場から、“こういうところだけはわかってほしい”という、ファンにはわからない苦労を教えてください」。

小牧 ん〜、やっぱり馬の癖でしょうね。どうにかしようとこっちも必死やから、そこはわかってよって感じやね(笑)。ファンのみなさんが馬券を当てたいように、僕らもみんな勝ちたいからね。そういう強い気持ちを持って乗ってるっていうことも、わかってほしいね。

──馬の癖によっては、不可抗力ですものね。

性格は馬によって違うから…

性格は馬によって違うから…

小牧 うん。この前話した『ミッキーマーチがソラを使う』っていうのも、癖といえば癖やからね。ファンにはなかなか伝わらんと思うけど。

──ソラを使う馬というのは、どういう性格というか、なぜ急にフワフワしてしまうんでしょうか。

小牧 やっぱり馬っていうのは、集団で行動するもんやからね。ひとりになってしまうと、フッと気を抜いてしまうのかもしれない。ミッキーマーチでいえば、道中は乗りやすくて、ちょうどいいんやけどね。逆に、性格的にムキなる馬もいるし、ジョッキーが扶助を使ったら、関係なしにそのままスーッと行く馬もいるし。ホントに馬はいろいろやねん。

──乗った人間にしか、わからないところですよね。能力があっても、その馬自身の癖や性格によって、力を出し切れずに終わるレースもあるでしょうから。

小牧 でも、乗り替わったら、そういう癖を出さない場合もあるからね。騎手は騎手で、馬への当たりも乗り方もいろいろやから。

──ほかのジョッキーでは勝てなかった馬が、小牧さんに乗り替わって勝ったり、その逆もありますものね。

小牧 そうそうそう。乗り方もみんなそれぞれで、なにが正解っていうのはないからね。そういうのも含めて、馬の癖だけはどうにもならんときがあること、でも僕たちは僕たちで、みんな勝つために必死やっていうこと、それはわかってほしいね。

【次回の太論は?】
『聞きづらいけど聞いてみたい! ギリギリ質問特集』第2弾。「小牧さんの“買い”のポイントは?」「今、競馬界に一番言いたいことはなに?」などなど、ユーザーからの際どい質問に、はたして小牧騎手は…!?
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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