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紫苑Sに見る夏の上がり馬の取捨選択

  • 2012年09月12日(水) 18時00分
 夏競馬が終わり、秋競馬が始まった。この時期のレースは夏の上がり馬と、休養明けの実績馬という図式になりやすい。夏からの上がり馬は勢いと鮮度はあるが、夏場の疲れもある。そのせめぎ合いで、勢いと疲れのどちらが上位にくるかが、チェックポイントになるのだ。

 どのようにして夏場の上がり馬をチョイスするのか? というテクニックが問われるわけだが、毎年そこがポイントになるレースのひとつに、先週の紫苑Sがある。これから行われるトライアルも同様の傾向があり、上がり馬が1頭は連対するので荒れやすい。個人的に、楽しみにしているレースだ。ただ、上がり馬の数が多いので見極めが難しく、そこが予想の肝となる。

 今年、上がり馬から選んだのは、4番人気ブリッジクライム。2000m→1800m→2000mのバウンド延長もポイントだったが、前走の三面川特別(8/4新潟、1000万下)を2着に負けているのも良かった。この時期の牝馬にとって、古馬戦の1000万を勝つのは疲れるからだ。また前走が1800mだったことで、2000mを走れないほど疲れが残っていない。そこもポイントだった。

 ただ、疲れていなくて鮮度があればいいのかといえば、さすがにそれだけではまずい。それなら、前走下級条件で負けている馬は、みんな好走してしまうことになるだろう。

 ここは、鮮度と疲労の無さに加えて、タフな経験がほしい。さらに、タフな経験だけれど、疲れを残していない馬だ。これは難しいポイントで、なかなかクリアしている馬は出走しないため、こういうレースでいつも勝負出来るわけではない。そうであるが故に、この条件をクリアした馬がいたらビッグチャンスなのは事実l。そうなったら、しこたま軍資金を用意したい。

 ブリッジクライムの場合は、2走前と5走前が実に良い。2走前の織姫賞(7/8)は小回り福島の16頭立で2000m。500万とはいえ、牝馬にとって相当に心身ともタフな条件で、これを勝ってきたことは大きい。その後にだらしなくも、外回り新潟1800mでクールダウンさせたのもいいのだ。

 また5走前、フラワーC(3/17)で重賞を経験しているのもプラス。いつも言うように、経験は鮮度を落とすべきものであっては意味が無い。一度だけ、しかも半年以上前に経験した重賞は、鮮度と疲労、記憶のバランスからしても非常によいパターンなのだ。

 ただ1つだけ問題があった。それは揉まれ弱いゼンノロブロイ産駒の最内枠ということ。なかなか、すべて好条件とはいかないものである。そこで、中ぐらいの勝負レースとなったのだった。

 結果、レースは速い上がりの追い込み競馬になり、勝ち馬の上がりは33.5秒と小回りの多頭数にしては超高速上がり。こういう競馬は、高速上がり指数ぶっちぎりの70↑で、休み明けが得意なディープインパクト産駒のツボなため、1番人気パララサルーがそのまま1着。ブリッジクライムは、ゼンノロブロイ産駒の最内枠が微妙に影響して、ストレスを受けつつも、何とか頑張って2着に潜り込んだ。

 ちなみに8番人気で3着激走のフレイムコードは3番手評価、13番人気4着のメイブリーズも5番手評価と、高く評価していた。それぞれ前走下級条件だったのだが、タフな経験と疲れの無さがブリッジクライムに近いので、各自確認しておいていただきたい。

 ただ直近のレースと、今回の脚質の組み合わせがM的に微妙だったぶん、3、4着に敗れたのだった。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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