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セントライト記念

  • 2012年09月16日(日) 18時00分
 菊花賞の日程が変わったことや、ちょうどそのころから関西馬の大攻勢が始まったこともあり、セントライト記念と菊花賞の関係がすっかり変化して久しい。

 セントライト記念をステップにして菊花賞を勝ったり、2着した馬が完全にいなくなったわけではない。2001年のマンハッタンカフェは使って大きく変わり、菊花賞を快勝している。2009年のフォゲッタブルや、2004年ホオキパウェーブは、ここを使ったあとに、菊花賞を2着している。しかし、セントライト記念を制して菊花賞を勝ったのは、1984年のシンボリルドルフが最後であり、1977年のプレストウコウとか、ひところはこの季節になると決まって課題を提供した1969年のアカネテンリュウの物語など、いまでは伝説どころか、化石になってしまった。

 菊花賞はしかし、オルフェーヴルや、ディープインパクトが順当にその強さを示すレースであると同時に、スリーロールス、ビッグウィーク、オウケンブルースリなど、春はおよそ無名だった馬が一気にヒーローとなれる逆転の一冠でもある。

 また、今年のフェノーメノのように、春のビッグレースであと少しでタイトルを逃した馬が、3冠の最後に脚光を浴びるという意味でも逆転の一冠である。シンザン記念や、このセントライト記念が、ただ伝説の名馬の名を残す記念レースにとどまらず、このレースを制することによって、やがてトップホースに登りつめる出世レースになることを期待したい。シンザンの名を記念したりセントライトの名を掲げるレースが、似ても似つかない単なるGIII・GII勝ち馬の戦歴として残るのは、ちょっとばかりもったいない一面がある。

 2009年のナカヤマフェスタ(あとちょっとで凱旋門賞馬)と同じステイゴールド産駒。同じ蛯名騎手が乗るフェノーメノに期待したい。ハナ差の惜敗だったダービーのあと、成長力こそ真価のステイゴールド産駒らしく、体も動きも大きくなった印象があり、明らかにスケールアップしている。

 5走前のホープフルSが0秒3差。3走前の弥生賞が0秒4差の敗戦だから、たしかにここまでは中山コース向きではないが、急速に良くなったのが青葉賞の頃から。早め早めに動ける自在性を増したいま、大跳びゆえ得意のコースとはならなくとも、中山コースが死角とはならないと思える。スローの公算大。早めに好位の外を確保し、自分からスパートするくらいの強い内容に期待する。

 まだ、菊花賞か、それとも別の路線かともされるが、今年の牡馬のトップグループは必ずしも順調ではない。好内容でここを勝てるなら、菊花賞の有力候補にもなれる。

 「7頭」も出走してきたディープインパクト産駒のうち、これからまだ大きく変わってくる魅力は、エキストラエンドと、ニューダイナスティ。次いでエタンダール。

 エキストラエンドは路線に乗せるために春はちょっとムリがかかった印象だが、タフだったローエングリンの下。折り合い面に不安はなく、うまく母方が出てくると距離延長に死角はない。置かれずに好位のインをキープできる自在性を発揮したい。

 ニューダイナスティは、2000m以上で全3勝。ここはスローの公算大。自分でレースが作れる強みがフルに生かせる。ディープインパクト勢ではもっとも人気のなさそうなアーデントが穴馬。春後半はちょっと調子を落としていたが、京成杯、弥生賞ともに0秒3差だけ。ひと息入れて大幅に良くなっている。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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