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ユーザーからのギリギリ質問(2)「外国人ジョッキーは荒っぽい?」

  • 2012年09月18日(火) 18時00分
『聞きづらいけど聞いてみたい! ギリギリ質問特集』第2弾。「小牧騎手の買いのポイントは?」といった大胆な質問から、裁決でのやり取りといったデリケートな問題まで、ユーザーからの“直球”に、小牧騎手が真摯に答えます!

■外国人Jは荒っぽいけど、それもテクニック
──引き続き、ユーザーからのギリギリ質問特集です。まずは「芝、ダート、脚質、展開、内枠、外枠、乗り替わり、休み明け…などなど、競馬にはさまざまな条件がありますが、どういった条件の小牧さんが“買い”ですか?」という、なかなか答えづらそうな質問ですが…。

小牧 いや、大丈夫やで。やっぱり、ダートちゃう? それも1700mや1800mじゃないかな。

──一番追わせる距離ですね。

小牧 そうやね。あと、力のある馬やったら、乗り替わりのほうがくる確率が高いと思う。まぁ、テン乗りは難しいけどね。

返し馬の重要性を改めて感じた

返し馬の重要性を改めて感じた

──テン乗りで、返し馬の感覚とレースに行っての感覚が、まったく違う馬もいるんですか?

小牧 ああ、返し馬では行きっぷりが良かったのに、レースではひとつも行かん馬もいるよ。でも、だいたいがイメージ通りやね。そういえば、この前勝った矢作厩舎の馬(タニノマイルストン)は、返し馬でちょっと引っ張ったら天井向いてね。あとで聞いたら、もともとそういう馬らしいんやけど、テン乗りやったから知らなくて。そんな感じで、返し馬の感触もあんまり良くなかったから、今回は厳しいかなぁと思ったんやけど、競馬ブックを見たら、成績は着外ばっかりやのに、◎がポツッと付いててん。なんで評価されてんのかわからんかったんやけど、とりあえず、出遅れ癖がある馬みたいやったから、ゲートだけはうまく出していこうと。そしたら、うまいこと半馬身くらい抜けてね。返し馬の感触で、押して行ったら天井向くのはわかってたから、そのあたりを気を付けながら、自分の思った通りに乗れたレースでしたわ。改めて、返し馬の重要性を感じたね。

──続いての質問です。「今、競馬会に一番言いたいことはなんですか?」。

小牧 ん〜、なんやろね。とにかく、馬券を売るのは競馬会やから、そこに力を注いでほしい…ということかな。あんまり細かく言うと批判になってしまうから言わんけど、たとえば、スタッフの人員削減とか、賞金を削るより前に、まだまだできることがあるんちゃうかなと思うけどね。やっぱり馬が土台やし、スタッフや賞金を減らすということは、結局は馬に影響してくるわけやから。地方競馬にいたから余計に思うんやけど、地方競馬の現状を見たら、そういうふうにはなってほしくないなって思う。地方は賞金もガクッと落とされて、手当とかも減らされてるからね。このままいくと、同じようになるのが目に見えてますやん。JRAは馬券を売るのが商売。心の底から「頑張ってくれ!」って思う。

──騎手会の会議などでも、そういうシビアなお話が出るそうですね。

小牧 大きな声では言えないけど、僕はあんまり参加してないから。なんせ、自分本位の人間なんでね(笑)。園田のころから、役員になったりするのも苦手やねん。小学校6年生のときに、クラスの副委員長になったくらいかな(笑)。僕ね、本当に向いてないねん。

──ん〜、わかるような、わからないような(笑)。では次です。「“裁決の国際ルールの統一化”という記事を読みました。いまだに疑問だらけの降着の基準が、少しでもクリアになるなら歓迎です。そこで、聞いてみたいのですが、審議の対象になって裁決に呼ばれたとき、そこでどういったやり取りが行われるのでしょうか? ご自分の言い分をぶつけて、それが通ることもあるのですか?」。とてもデリケートな問題ですよね。

審議の基準はデリケートな問題

審議の基準はデリケートな問題

小牧 ん〜、決めるのは人間やからね。まぁ、言い分が通ることもあれば、通らんこともある。相手も一緒に呼ばれることもあるけど、基本的にはひとりずつ呼ばれるんですわ。で、自分の言い分を言って。僕は、自分が悪かったら、素直に「僕が悪い」って言いますけどね。微妙な感じやったら、そりゃあ、みんな自分が有利になるように言うと思うけど。

──なかなか認めない人もいるんですよね?

小牧 認めん人はおる。たくさんおる(笑)。でもわかるからね、僕自身が。被害を受けた場合は、採決に「危なかったな」とか言われるんやけど、それはだいたい合ってるね。逆に、相手が「あれは危ないですよ!」って言っても、僕自身、真っ直ぐに走らせている自信があれば、もちろん貫き通すよ。その時々で、いろんなやり取りがありますわ。人間が決めることなんでね、どうしても揉めるケースが出てくるよね。オリンピックを見ていてもわかりますやん。審判は本当に難しいね。

──自分がやってしまった立場のときは、やはりドキドキするものですか?

小牧 そうやね。この前の中京で一度あったな。勝ったレースなんやけど、4コーナーでちょっとやってしまって。あのときは「ひょっとしたら俺、騎乗停止ちゃうかな…」って覚悟したんやけど、セーフやったからホッとしたわ。

──外国人ジョッキーは荒っぽいという声をよく聞きますが、実際はいかがですか?

小牧 うん、荒っぽい。ねじ込んできたりするからね。ただ、それもテクニックであって、技術があるからこそ。やっぱり巧いよ。僕にはできん。技術がないジョッキーがやったら、乗っかってしまったりするんちゃいますか。ただまぁ、日本と海外では競馬そのものが違うからね。

──つまり、国際ルールの統一化は難しいということですね。

小牧 ん〜、なかなかね…。

──そういえば、何年か前の朝日杯で、小牧さんが外国人ジョッキーから思いっきり不利を受けたことがありましたよね(2010年・アドマイヤサガス11着)。

小牧 ああ、ミルコ(グランプリボス1着)ね。あれはダメ。僕からすれば、絶対に降着。あれはひどかった。でも、実際は降着にならんかった。なんでやろうねぇ。

──たしか前の週にスミヨン騎乗のブエナビスタが降着になって…。

小牧 そうそう。あれは不思議やったね。納得はいかんけど、やっぱり人間が決めることやから、そういうことも出てきてしまうんだよね。

【次回の太論は?】
まだまだ続く裁決のお話。武豊騎手がイギリスで騎乗停止になった件で、小牧騎手が怒ってる!? ギリギリトークはまだまだ続きます!
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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