ダート重賞の多くは、ベテランのダート巧者が毎年のように同じレースに出てきて上位を争ったりするが、ここは秋シーズンのGIII戦。いま、2歳馬の頭数がいやでも増えているから、世代交代の波は大きい。そこでベテランに代わって3歳馬、4歳馬がダート界でも勢力をのばしてくる時期であり、ましてここはハンデ戦。新しい勢力の台頭が珍しくない。
それを象徴するのが、2000mのハンデ重賞となった最近5年、9月の阪神で行われる1600万下の「オークランドRT」をステップにした上がり馬が、5年のうち4回も勝っていること。なにもオークランドRTが重要という意味ではなく、条件戦からこのGIIIに駒を進めてくるような上昇馬に要注意ということである。
今年の場合だと、オークランドRTの勝ち馬メイショウエバモア(昨年の秋までタフに走っていた芦毛のメイショウベルーガの半弟)がぴったり当てはまる上がり馬だから、ちょっと人気になりそうだが、54キロだから少々人気になっても要注意。1600万条件を勝ってきた4歳グラッツィア(父キングカメハメハ)、同じ父を持つナイスミーチューも、意味するところはまったく同じ。グラッツィアの方がハンデキャッパーには評価され、メイショウエバモアより1キロ重い55キロが妥当と判断された。
ふつうに考えれば、やっと長い骨折ブランクから立ち直り、前回の阿蘇Sダート1700mを1分41秒9の快時計で勝って復活を示したグレープブランデー(父マンハッタンカフェ)が最有力だろう。それに軽量の上がり馬メイショウエバモアなどをどう絡ませるかだが、ハンデ戦がそうパターン通りにおさまるとは思えない。
展開面に注目。先行タイプは複数いるが、2000mだから流れが速くなる可能性はきわめて低い。芝のポケットからのスタートなら、エーシンジーライン(父ジャイアンツコーズウェイ)が先手を奪える可能性がかなりある。伏兵の同馬を狙いたい。
父ジャイアンツコーズウェイ(その父ストームキャット)は、この父系にしては珍しいことに欧州で大活躍した芝馬。GIを6勝もしている。産駒の多くも日本でのエイシンアポロン、スズカコーズウェイなど芝専門に近いが、ジャイアンツコーズウェイは欧州の芝にも高い適性をみせたというだけで、別にダートが下手というわけでもない。
引退レースとなったBCクラシックでは初ダートとあって負けはしたものの、同レース2連勝のティズナウとクビ差の接戦だった。エーシンジーラインもダート1400m1分25秒台の勝ち星があり、すんなり自分で主導権を握る形になりさえすれば、渋い先行スピードがフルに生きて不思議ない強気の先行策に出てくれることを強気に狙う。
グレープブランデー、前出メイショウエバモア(前回は時計以上に粘り強かった)、インバルコの3頭が相手本線。前出の上がり馬のほか、メイショウタメトモ、フリソあたりまで、手広く流しておきたい。