スマートフォン版へ

富士S

  • 2012年10月19日(金) 18時00分
 日程からすると、11月18日の「マイルチャンピオンシップ」の主要路線の位置にあり、ここをひと叩きして次はGIへ…となるが、このレースに出走してマイルチャンピオンシップで3着以内に好走した馬は、最近10年ではわずか4頭だけ。09年マイネルファルケ、10年ダノンヨーヨー、11年エイシンアポロン。たまたまここ3年連続してマイルCSの連対馬を送ってはいるが、マイネルファルケは本番で14番人気、昨年のエイシンアポロンも5番人気の評価にとどまっている。多くの馬にとって大目標のGIと同じ1600mの重賞なのに、「毎日王冠→天皇賞.秋」のグループや、あるいは「スプリンターズS→スワンS」の組にかなりリードされている印象が濃い。

 また、この時期だから3歳馬の台頭がもっとあって良さそうに思えるが、過去10年の富士ステークスでは、3着にがんばった3歳馬は「4頭」いるものの、連対できたのは最も時計が遅かった07年のマイネルシーガルただ1頭。不思議なほど台頭が少ない。

 富士Sといえば、最初はジャパンC用のオープン特別1800mの時代があり、そのレース名を受け継ぎながら重賞に昇格した当初は1400mだったりしたから、もっとも重要な時期に位置し、決まってフルゲート18頭になる好カードながら、どうも特徴のはっきりしないあやふやなマイル戦なのだろう。

 年ごとに多くの陣営の「秋の出走予定日程」には組み込まれるようになったが、だからといってここが大きな目標の1つとは考えていない陣営が多いのかもしれない。きわめてマトの絞りにくい一戦。近年になるほど「難しい結果」が多く、最近5年間、3着以内に入って馬券に関係した15頭のうち、9頭までが上位5番人気までに支持された馬ではない(3連単は最近6年のうち4回まで6ケタ以上だった)。中心馬を決めたら、相手には必ず人気薄の伏兵もピックアップし、高配当狙いに出ていい。今年も、それなら「順当」という組み合わせは最初からないように思える。

 中心は、コスモセンサー(父キングカメハメハ)。として新聞を発行し、ここまで書いてきたところで、出馬発表時から「乗り替わり」だけが発表されていた鞍上が、いま、「中谷雄太騎手」に決まった。今年、大ブレークして[39-37-32-529]の柴田大知騎手から、先週終了時点で[4-8-9-249]の中谷雄太騎手への乗り替わりである。

 正直、「………」は否定しない。ただ、決して巧みな騎手とはいえないだろうが、あまりうまいと感心したことが少ないだけのことで、決して嫌いな騎手ではない。代わって乗るのは先行スピードを生かして粘り込む馬。むずかしいタイプのクセ馬でもない。中谷騎手は気を悪くするだろうが、この騎手変更で賭け率は確実に少しあがる。コスモセンサーは先行タイプ。強気に抜け出したい。

 一連の成績や、この中間の気配の良さのわりに人気は下がりそうに思えるから、この際、逆に強気に中谷騎手を援護したい。体調一歩の前回は、前半1000m通過「55秒2」というゼロスの飛ばした驚異のハイペースを追走。抜け出した坂の地点、コスモセンサーの1400m通過は1分18秒9だった。超高速の馬場とはいえ、1400mの日本レコードを上回っている。

 コスモセンサーは、1分31秒3(56秒6-34秒7)で4着に沈んだが、超ハイペースを追いかけた休み明けの一戦とすれば上々。改めて、安田記念を1分31秒6で小差3着のスピード能力を示した。弱気にならず、強気に乗っていい。デキはいい。

 ゴールスキー、再三接戦のガルボを厚めに、スピリタス、ダノンヨーヨー。ここまでは不思議と不振だったが、3歳馬は、実は怖い。セイクレットレーヴ、ファイナルフォーム、クラレント。遠慮しないで流したい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング