今週は、毎年荒れるのため得意としているアルゼンチン共和国杯だったので、いつものように評価上位馬がだいたい上位を占め、3連複が2点目で当たった。また京都の重賞みやこSでも3連複が1点目で当たった。
やはり重賞クラスは馬場やペースにヤマを張るなど、決め打ちタイプの予想を選択しない限り、走れる状態の馬をピックアップしやすい。今週はその話でもしようかと思ったが、話が途切れ途切れになるのも何なので、そちらは会報(携帯予想サイトで表データ以外の解説は無料で見られるので参考にして頂きたい)に譲ることにしよう。
さて、先週の続きだ。今年の菊花賞では、ディープインパクト産駒が苦戦した。
基本的に、ディープインパクト産駒は疲れやすいが、速い上がりに強い。高速上がりに強いということは、前走より上がりの掛かるタフなレースになった場合、走るのを嫌がる確率が高いということになる。
強い馬は充実期にそういったことを超えるわけだが、血統も何もなく誰でも分かるほど強い場合は断然人気になることが多く、別に馬券的にも血統的にも意味のある話ではないだろう。
菊花賞は各馬にとってタフに感じる流れになったために、集中力系で内枠向きの断然人気ゴールドシップ以外は、鮮度が高い馬が上位を占めた。
2着スカイディグニティは2走前が1000万でしかも6着に惨敗、3着ユウキソルジャーも2走前が1000万、5着ラニカイツヨシも2走前が1000万だった。また、ゴールドシップ以外5着以内に入った馬で、オープンを2回以上走ったことがある馬は、4着のベールドインパクトだけ。しかし、そのベールドインパクトは近2走が9着、10着と惨敗続きだった。
つまり内枠のC系で、かつ血統うんぬん以前に誰でも分かるほど力も抜けていた断然人気ゴールドシップを除けば、近走、ないし生涯での蓄積疲労がまったくなかった馬が5着以内を占めたわけだ。
荒れるのは当たり前である。これは一にも二にも、ゴールドシップが自ら早めに捲って、レースの後半を厳しいものに変えてしまったからに他ならない。このようにレース質が前走に比べてタフになればなるほど、鮮度馬が優位に立つのが競馬の基本である。
逆にいきなりデビュー6戦目に古馬相手の宝塚記念で、タフな流れになったにも関わらず5着に好走した2番人気マウントシャスタは、今回9着惨敗に終わった。これもM的には極めて普通の話だ。
宝塚記念はタフな流れになったからこそ、初古馬戦で、まだ生涯経験も少ないマウントシャスタが好走出来たのであって、その経験は、菊花賞に関してはマイナス以外のなにものでもない。古馬相手の宝塚記念で好走してしまうという、ハードすぎる経験を競走キャリアの早い段階でしてしまったわけだから、生涯鮮度は3歳馬限定メンバーの中では格段に落ちてしまう。
また、休み明けでリフレッシュされて、反動を吸収したかと期待した前走が、0.7秒差負け。これはマウントシャスタの基礎能力からすると負けすぎで、まだ休養だけでは宝塚記念の心身疲労が抜けなかったことを意味する。それなら、そこからわずか3週の競馬で、心身疲労から解放されたと考えるのは、楽観的すぎるということになる。
人気薄を評価した菊花賞とは一転、天皇賞・秋では、人気薄をほとんど評価しなかった。
1番人気フェノーメノが初古馬戦、2番人気ルーラーシップは休み明け、3番人気カレンブラックヒルは古馬2戦目、4番人気ダークシャドウが休み明け、5番人気エイシンフラッシュが叩き2戦目で前走9着惨敗。上位人気馬には、生涯ストレスがないか、直近ストレスがない馬しかいないのだ。これではお手上げだ。
この中で一番危ないのは、3番人気カレンブラックヒルだろう。前走が初古馬戦の毎日王冠で1着。鮮度満載で走った後、先ほどのマウントシャスタ同様に極度な心身硬直に直面している可能性がある。それでも生涯鮮度の高さはあるので、鮮度で上回るケースもあるのだが、その可能性は今回の場合、人気ほどには高くない。
というのも、同馬はダイワメジャー産駒だ。ディープインパクト産駒同様、疲れやすい血統になる。反動の出る可能性はそれなりに高い。また、今回が最長距離のレースである点にも注意が必要だ。最長距離への延長で18頭立てのフルゲート、かつ前走のGIIからGI。馬が精神的に前走より辛く感じるレースになる。だから、余計に疲労の影響は出やすい。
もちろん、今まで何度も言ってきたように、経験不足が必ずしもマイナスになるわけではない。むしろ経験があまりないほうが有利なのは、何度も書いてきた通りだ。ただ、今回のステップの場合、距離を経験していないことは、「前走の相対性の中かからマイナスに働く経験のなさ」というパターンに当てはままる。
こういうケースはむしろ「まれ」なのだが、だからこそ、それを押さえておくことは重要になる。何事にも、例外的なケースには物事の核心が隠されているからだ。だからあえて、取りあげて解説したわけである。
以上から、予想ではカレンブラックヒルを7番手評価と、上位人気馬の中では最低評価に落とした。結果、やはり菊花賞のマウントシャスタ同様、初の古馬相手だった毎日王冠で見せた鮮やかな走りから一転した凡走に終わったのである。
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※正誤表が
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