スマートフォン版へ

netkeiba

ルルーシュに抱く夢のつづき…。

  • 2012年11月08日(木) 12時00分
 幸が不幸に転じ、不幸が幸に転じる。この変化の妙は測りがたいものがある。だからこそ、どん底の時は力を蓄え、好調の時は気を引き締めてと教えられてきた。中国の古典に出てくる「塞翁が馬」の話は、こんな人の世の幸、不幸の移ろいやすいことを語ったものとして知られているが、誰にもツキに恵まれるときがあれば、そうでないときもある。競馬は、分かりやすくそれを見せてくれる。

 競馬が面白いのは、ツキに恵まれて好調であっても、最悪の事態を想定してそれに備えようとはしないところだ。そうしなくてもいいのである。むしろ、ツキに乗じて気の済むようにしていいのだ。これに人生を賭けているわけでもなく、その日その瞬間の自分を試していいのだから楽しい。

 調子が出ないからといって、辛抱、辛抱と言って耐えるのではなく、前途に光明を見つめているのだ。よし今度こそと。都合よく「塞翁が馬」を信じ、あせることもない、これでいいのだ。

 明るいこの次の想い、それが今日でなく来週でも、いつの日にかであってもいい。長く競馬を楽しんでいる人間の心の中は、こんな未来思考で満ちあふれている。そんな思考の範ちゅうには、自分のことだけでなく別の夢も詰まっている。こんなのはどうだろうか。

 ルルーシュが初重賞制覇を達成したアルゼンチン共和国杯は、とにかく4歳馬が強い。しかも、勝ったアドマイヤジュピタ、スクリーンヒーロー、トーセンジョーダンがその後GI馬になった出世レースでもある。去年のトレイルブレイザーは、BCターフで大健闘してこれから国内GIを狙っていく。これらは、すべてがこの重賞勝ちからステップアップした4歳馬という共通点があるから、当然、今年のルルーシュにも同じ夢を抱いていい。

 そして、もうひとつ。2年連続して勝ち馬がゼンノロブロイ産駒だということ。4歳秋にチャンピオンロードを突っ走った現役時代が目の前によみがえる。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング