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ファンタジーS

  • 2012年11月09日(金) 18時00分
 東京でも同じ1400mの京王杯2歳Sが行われるが、先週、2歳牝馬の新設重賞アルテミスS(1600m)が行われ、1分33秒8(46秒6〜47秒2)の決着。

 人気に応えて好時計勝ちしたコレクターアイテム(父ハーツクライ)、素晴らしい切れをみせてマッチレースに持ち込んだ2着アユサン(父ディープインパクト)は、単に時計がコースレコードだったというだけでなく、非常にレベルが高いと思える。

 来期に向け、大きなポイントになる同じ2歳牝重賞がつづけて行われる。先週の印象が残っているから、比較しやすいかもしれない。12月のGI・阪神ジュベナイルフィリーズに向けて…というより、3歳春の桜花賞に連なる勢力図、ランキングが、今年からはこれまでより早めに形成されることになるだろう。

 2歳新馬戦がスタートしたのは、今年は6月2日の中央場所の「東京、阪神」だから、もう5か月以上もたっている。来年も同様の日程が決まっているから、2歳戦の進行が全体に早まることになる。重賞レースやオープン特別が行われるごとに修正していかなければならないが、これまでより少し早く、来期がみえてくるかもしれない。

 人気は大きく割れている。前売りが始まっても人気順は一転二転しそうな混戦にもつれこみそうだ。のびのび見せる大きなフットワークに注目して、サウンドリアーナ(父ケイムホーム)を狙いたい。

 新馬の1400mを一気の末脚(上がり34.7秒)で勝ったあと、新潟2歳Sは1分33秒6で3着。いったん先頭に並んだところから、最後に競り負けて3着だが、勝ったザラストロ、東京の京王杯2歳Sで上位人気にもなっている2着馬ノウレッジからわずか0秒1差。先頭に並びかけた1400m通過は1分21秒4だったから、スピードの裏付けはある。

 前回のデイリー杯2歳Sでは、外枠から好スタートを切ったが、ハナに行く気はないところへ、前半「47秒9〜60秒4」のスロー。最初から折り合いを欠いていた印象が濃い。結果7着だが、行きたがるのを控えて、一度は最後方近くまで下げて、勝ち馬と0秒5差だから、中身そのものは悪くない。上がり33秒9で差は詰めた。

 ちょっと古い印象を与える牝系ファミリーで、5代母がメジロボサツ。メジロドーベル、メジロモントレーなどが代表する伝統の「メジロ」の一族。でも、サウンドリアーナの場合は、母の父ダンシングブレーヴ、父はケイムホーム(その父Gone West)だから、別に古いわけではなく、現代を代表するスドピード血統でもある。

 今回がもう4戦目だから、強敵相手と対戦してきたキャリアで上回るうえ、今回の鞍上は、M.デムーロ騎手。距離は1400mに短縮されて、牝馬同士。狙っていい。

 あまりに候補が多すぎて相手を絞るのに苦心するが、人気の薄いところでの魅力は、今回と同じ京都1400mの新馬を1分22秒1(自身の上がり34.3秒)で快勝しているノボリディアーナ(父フレンチデピュティ)。2戦目だから容易と思えるが、コンマ5秒短縮しただけで標準のファンタジーSの勝ち時計になる。

 同じく強敵はききょうSの勝ち方が良かったプリンセスジャック(父ダイワメジャー、母ゴールデンジャック)。以下、さっそくルメール騎手を配してきたディアマイベイビー、函館2歳Sのストークアンドレイ。伏兵エーシンセノーテ、ローガンサファイアに流したい。

 東京の京王杯2歳Sは、距離短縮が魅力のマイネルエテルネルを狙う。英ダービーに登録したといわれたが、やっぱり明らかに短距離向きのスピード型である。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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