先週のエリザベス女王杯に出走し3着と健闘したピクシープリンセス。レース前に野中調教師は「雨が降ってしまえばその時点で運がないということ」と話していたが、結果、雨が降り続いた馬場でノメり、道中2度も不利を受けたというのであれば、まさに運がなかったということになる。

　一方で、今週のマイルCSに登録している、ある馬の状況を考えれば十分に運はあったのだとも思えてくる。

　ピクシープリンセスは平場1000万下を勝っただけでGIに出走できたが、クラレントはGIII富士Sを勝ちながら現在補欠2番目で、このままではマイルCSに出走することができない。「補欠1番手なら出られるかもという気持ちを持てるが、2番手ではさすがに無理だろう」と橋口調教師はすでに来週の東京オープン・キャピタルSを視野に入れている。

　富士Sを勝った直後から出走ボーダーギリギリの位置と言われてきた同馬だが、富士Sで手綱を取った岩田は“出られるならこの馬に乗りたい”との意志で、ずっと体を空けて待っていてくれたという。

「来年はGIを勝てる馬だし、この馬のローテに自分も合わせると岩田君は言ってくれていた」とは赤木助手。それだけ鞍上も手応えを抱いている有力馬が、マイルCSの前哨戦として機能している富士Sの優勝馬が、本番に出られないというのは…。これこそまさに運がない。

　上位馬2頭が回避してクラレントが出走できるのであれば、実力＋運があるということで確信の◎にするつもりだが、その可能性は限りなく低い。代わりに幸運を引き寄せるのはどの陣営なのか…。今週はそのあたりもチェックしながら本命馬を探りたい。
(栗東の坂路野郎・高岡功)

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