国際レースの中でも、招待レースは難しい歴史を歩むことになる。後発のジャパンCは日程も最初から難しかった。ヨーロッパのシーズンが終了する時期にせざるを得なかった。
今はアメリカのブリーダーズCシリーズと、香港の招待レースと競合する形になり、苦しい位置は変わらない。米国馬は来ない。
最初の20回まではどうしても海外のビッグレースの好走馬に目を奪われた。でも、目標だったビッグレースが終了したあとに好調馬などいない。まして芝も異なる。第20回までは、1番人気に支持された20頭は[2-2-3-12]という記録がある。勝率:100、連対率:200だった。
しかし時代は進み、賞金や招待の中身や時期が関係し、招待に応じる馬のレベルは明らかにダウンしている。逆に、日本馬のレベルは急速に高くなった。ここ15年に限ると、人気の中心はほとんどが日本馬であり、勝ち負けになるのも大半が日本馬。最近15年、1番人気になった日本馬は13頭を占め、その成績[4-3-6-0]である。みんな海外のレースにも詳しくなったから、知らない馬の走るレースではなくなった。
一度止まりかけながら、みんながスパートしていた4コーナー手前でライバルをひとまくりで先頭に立ちかけた阪神大賞典の内容と、最後はささって勝利を逃したが、みんながスパートを開始した直線の中ほどで、あっという間に先頭に立って勝ったと思わせた凱旋門賞の中身に、オルフェーヴルの「すごい能力」が見えている。
凱旋門賞も、失態となった阪神大賞典も、鞍上がオルフェーヴルの意のままに走らせていたなら、おそらく楽勝だったろう。もちろん、騎手が乗っていなくてはオルフェーヴルは本気では走らないが、気分良く、普通に走らせるなら(馬が気分を悪くしないなら)、オルフェーヴルは楽勝して不思議ないと思える。
自分の手許にオルフェーヴルが戻ってきた池添騎手は、宝塚記念のように黒子に徹したかのようなレースにしたい。騎手が主役になりかけると、オルフェーヴルは斜めに走り始め、時に落とそうとする。池添騎手は大変ではあるが、なにせオルフェーヴルは天才。彼に逆らっては、ちょっと怪しくなる。
オルフェーヴルのケタ違いの能力を認めつつ、3歳フェノーメノ(同じステイゴールド産駒)から入りたい。父ステイゴールドはジャパンC10、6、8、4着。母ディラローシェの半兄インディジェナスはジャパンC2、7、6着。
3歳で完成されたように映るときもあるが、父母両系からタフな一面を受け継ぎ、まだまだ成長するだろう。菊花賞を回避し、天皇賞・秋に100%近い仕上げで全力投球したのは確かだが、そこは3歳、活力にあふれている。1週前の追い切りなど、天皇賞・秋の直前以上だった。疲れはない。
スローは見えている。ラクに2~3番手追走が可能だろう。天皇賞・秋では大事をとって中ほどに進路をとったが、今度はインを衝く。先週の芝も土曜日の芝も、内ラチ沿いの方が良く伸びる印象がある。最近のパターン通り、2分24秒~25秒台の勝ち時計で、これも判を押したように上がり「34秒台前半」で決着がつくならチャンス大。オルフェーヴルに全能力を出されてしまったら仕方がない。
オルフェーヴルはどこでスパートするかが問題。左回り(久しぶり)でささる心配もある。
出遅れない限り、サッと好位を取ってから位置取りを決めるウィリアムズ騎手のルーラーシップが3番手。以下、人気どおりに日本馬が断然有利で、ソレミアは芝の違いと同時に、あまりほめられたデキではないと思える。