11月26日(月)の夜から翌27日(火)の午前中にかけて、北海道南部は季節外れの暴風に見舞われた。
北海道をちょうど取り囲むような形で発達した3つの低気圧によって上空に真冬並みの寒気が入り込み、11月としては観測史上最大となる瞬間風速を記録した。27日午前10時までに、えりも岬で42.1m、浦河でも39.5mに及び、各地で被害続出であった。
日高では雪こそ降らなかったものの、吹き荒れる突風のために、住宅の屋根や店舗の看板などが飛ばされて倒れた。また新ひだか町と新冠町では、防風林や電柱の倒壊も発生し、道路が塞がれる被害も出たという。
停電も相次いだ。27日午前11時までに日高管内各地で延べ1万6980戸に上る戸数が停電したという。初冬のこの時期に停電が発生すると、電源の必要な灯油ストーブは作動しなくなり暖房が止まる。薪や石炭ストーブならば問題なく燃焼できるが、今ではそういう家庭はごく一部のはず。冬の停電は家庭生活に甚大な影響を及ぼすのである。
何せ、とてつもない烈風であった。26日夜は比較的平穏に過ぎたが、日付が変わって27日になり未明から午前中は、終始強烈な西風が吹きまくっていた。西側が大きく開いている地形に建つ建物ほど、その影響をもろに受けた。私事ながら、我が家でも倉庫の南側のシャッターが大きく破損し、途中からちぎれ短冊状にバラバラになったシャッターが周辺に散らばってしまった。
強風下ではシャッターの修理などとてもできない。刃物を振り回す暴漢に立ち向かうのと同じくらいに危険な行為で、危なくて近づけないのだ。支柱から外れたシャッターは風に煽られて旗がはためくように荒れ狂い、鋭利な刃物と変わらない。風が収まるのを待つしか方法がないのである。
ハイセイコー像(写真提供:新冠町役場)
嵐が去ってハイセイコー像は修復に
11月としては観測史上最大の瞬間風速を記録した今回の暴風は、思わぬところにも被害をもたらした。
すでに報道されているように、新冠町のレ・コード館前に設置されていたハイセイコー像が、27日未明のうちに台座から転倒してしまっていることが分かった。
蹄部が台座に固定されていたのだが、瞬間的に襲ってきた突風に煽られて転倒したものと推測される。午前8時半に、レ・コード館の職員が出勤した時には、すでに台座の上に四肢を投げ出すような姿勢で倒れていたらしいので、まだ夜の明けぬうちの出来事であろう。
しかしながら、台座の周囲は幸い芝生が植えられており、まだ凍結していなかったため、銅像そのものの破損はなかったらしい。幸運にも、ハイセイコー像は、背中を下にして芝生上に倒れたようで、柔らかい芝生がちょうどクッションの役目を果たしてくれたのだ。
さっそく銅像を業者が引き取り、天候が回復するのを待って近日中に台座の上に戻す作業に取りかかる予定と聞いた。このハイセイコー像は道の駅も併設されるレ・コード館の入口に設置されており、いわば“町のシンボル”である。一刻も早い修復(復元)が望まれる。