“ビンテージ”という言葉は、ファッション、機械製品など多くの分野に用いられる。もともとはワイン用語から派生した言葉で、「当たり年」としての意味合いが強い。スポーツ選手などでも特定の年代をそう呼ぶことがあるが、これは本来の意味に近い使い方かもしれない。
サラブレッドの場合にも“ビンテージ”という言葉は使いやすい。ただし、その表現がふさわしかったかどうかは、かなりの時間を必要とする。
例えば06年生まれの現6歳世代。08年10月26日に京都で行われた芝外回り1800メートル新馬戦は1着アンライバルド、2着リーチザクラウン、3着ブエナビスタ、4着スリーロールス。後の出世馬が顔を揃えていたことから「伝説の新馬戦」と呼ばれた。しかし、これだけで世代全体を「当たり」とするには物足りない。同世代のトランセンドが史上初のJCダート連覇を達成し、トーセンジョーダン、ワンダーアキュートといったところもGI戴冠を果たした。いろいろと定義の仕方はあるが、世代はもちろん、ジャンルをまたぐ活躍があってはじめて“ビンテージ世代”の条件を満たすと言えまいか。
一方で「弱い世代」も出てくる。では、どこでこの世代間の差が出るのか。もちろん競馬の根幹を成す「血統」が大きな要因を占めるのは間違いないが、興味深い話を米国のセリに足を運んだ中尾調教師から聞いた。
「あっちの馬は当歳、1歳のころから馬体のサイズが違う。大きければいいというものではないけど、日本と比べると違い過ぎる。食べるものの違いだろうし、それを生み出す土壌の違いなんだろうね」
米国との違いだけではないはず。先日お披露目されたウオッカの初産駒もすでに500キロを軽く超えていたという。育成の方針などもあるだろうが、ミネラルが豊富とされる欧米の土壌と作物を育むのに適した気候が、サラブレッドを大きく育てていくのだろう。
とはいえ、日本の生産界もこうした状況を手をこまねいて見ていたわけではない。社台グループの礎を築いた吉田善哉氏は、とりわけ土壌の改良に心血を注いでいたというし、現在のスタッフからも「毎年のように土壌から草丈の長さ(地中の根を食べることまで計算に入れるらしい)などを変えたりと、試行錯誤しています」と聞いたことがある。
実は「今年は雪が遅かったせいか、例年になく青草が生えている時期が長かった。サラブレッドにとって悪いことではないよな」という某調教師の証言を得ている。日本の牧場関係者の努力と天の恵みが“ビンテージ”を育んでいるとすれば…来春はもちろん、現在母胎にいる子馬まで「当たり」となるかもしれない。
さて今週の朝日杯FSは恵まれた米国の土壌が育んだエーシントップの走りに注目。攻めの動きは相変わらず文句なし。「子供っぽさは残るが、走ることについてはケチのつけようがない」と西園調教師。大本命コディーノにひと泡吹かせられるか。
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