今年の競馬界も様々な話題があふれたが、個人的に気になっているのはこの秋から始まった「自ブロック優先制度」(第3場を除く東西主場では“地元”の馬を優先的に出走させる制度)。
この制度によって下級条件(POGで当てはまるのは2歳未勝利戦)が原則、それぞれのブロックの馬たちで行われることに。
で、大事になってくるのがフルゲートで行われればの話ということ。仮にフルゲートに満たず「空き」が出てしまうと、そこに他ブロックの馬たちを受け入れなくてはならなくなる。こうなると、この制度の意味がなくなってしまうのだ。
回りくどい言い方になってしまったが、典型的な事例となったのが11月10日、東京の2歳未勝利戦(芝2000メートル)。想定段階で関東馬の出走予定はフルゲート18頭の一歩手前の17頭。この残り1枠を見逃さなかったのが西園調教師だった。
「何かが回ってきたら出られなくなるからな。いろいろ準備はしておくが、あくまで本線は東京」と固執。晴れて残り1頭の枠に滑り込んだ管理馬のマイネルマエストロは17頭の関東馬を負かして勝利を飾った。
「関西の芝の未勝利、特に中距離戦は下手をすれば500万条件よりも手ごわい相手が揃う。少しでも可能性があれば、関東に行くことを狙った方がチャンスはある」とは別の某調教師。
ちなみにこのマイネルマエストロ、次走のエリカ賞(500万下)で連勝してしまったのだから、東京の未勝利戦は1勝以上の価値があった。
一方で関東の陣営からすれば、これほどまずいこともない。数で勝っていても、たった1頭の関西馬にやられては、馬を預ける馬主にも良くないイメージを植え付けるだろうし、それで預託頭数自体が減ってしまえば、さらに下級条件の枠を空けてしまうことになりかねない。空いた枠に関西馬が殺到…となれば目も当てられない悪循環に陥ってしまう。
実際に美浦は勇退する調教師が後を絶たず、預託頭数を見ても「馬房数だけギリギリ」(本来は馬房数×2倍強まで預託できる)という厩舎も多い。「最悪のケース」は目の前に迫っているのではないか。当面はこの自ブロック優先制は続くだろうが、悪循環にどっぷりと漬かる前に何らかの改良を加えないと大変なことに…と心配するのはおせっかい?
さて土曜(22日)中山ダート1200メートル新馬戦には安田厩舎のストームジャガー(牡=父After Market、母Travelator)が出走予定。ちなみに新馬は優先制の範囲外だ。「ゲートは速いですよ。試験は抑えて出したんですが、それでも他の馬の一杯くらいには楽に出て行きましたから。勝つ、というよりもその先を考えた競馬をさせたいですね」と安田景助手。
除外の網にかからなければ、驚異のスピードが関東馬の喉笛に食らいつくこと必至だろう。
※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。
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