スマートフォン版へ

「荒れる金杯」という格言は本当か?

  • 2012年12月25日(火) 12時00分
 一昔前には「荒れる金杯」などと言ったものだが、近年の金杯は東西ともにさほど荒れていないように思える。

 実際に過去10年の東西金杯を振り返ってみると、全馬を均等買いした場合の回収率は中山金杯が単40%・複85%で京都金杯が単72%・複65%。ごく普通というか、中山の単と京都の複はむしろ低い。

 参考までに、古馬の芝・ハンデG3における過去10年の全馬均等買い時回収率は、複勝回収率順に並べる(施行条件の変化は無視する)と

●朝日CC(単勝:94% 複勝:137%)

●マーメイドS(単勝:182% 複勝:127%)

●中京記念(単勝:172% 複勝:117%)

●中山牝馬(単勝:77% 複勝:116%)

●ダイヤモンドS(単勝:192% 複勝:106%)

●ダービー卿CT(単勝:90% 複勝:101%)

●小倉記念(単勝:92% 複勝:99%)

●鳴尾記念(単勝:152% 複勝:91%)

●新潟大賞典(単勝:38% 複勝:90%)

●中山金杯(単勝:40% 複勝:85%)

 中山金杯は複で23レース中10位、京都金杯に至っては22位タイつまり最下位だ。単勝では京都が17位で中山が21位となっている。

 なぜこのような結果になるか? 原因のひとつが、出走馬の約1/3を占める前走オープン特別組から人気薄激走馬が出てこないことだ。

 東西金杯を合わせて前走オープン特別6着以下(該当47頭)からの連対は2頭のみで複回収率23%。ちなみにオープン特別10着以下から馬券に絡んだ馬はいない。

 対照的に、オープン特別連対組は複勝回収率98%と高水準にある。斤量差がつきにくいいまのハンデ戦では、オープンに格付けされつつ明らかに力が足りないという馬は激走するきっかけをつかみづらい。金杯の予想時は東西ともこの構造は意識しておく必要があるだろう。

【お知らせ】
2012年度の更新は今回で終了となります。2013年度は1月8日から更新いたします。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング