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[秋のGI特別企画]東西金杯展望&有馬記念回顧

  • 2012年12月26日(水) 18時00分
 大好評企画、今井雅宏氏本人による「GI回顧&展望」特別公開! 最終回の今回は、年明け一発目となる東西金杯の展望です。天才・今井のMの法則で、お年玉馬券をGETしちゃいましょう!! また、年末の総決算・有馬記念の回顧もお届けします。

◆有馬記念を振り返って
担当編集(以下、編) 競馬王ブログで編集部予想を公開しているんですが、オーシャンブルーを本命にしましたよ!

今井(以下、今) おお、それは凄いなぁ。

 ただじつは…。前回のお話をうかがったときにオーシャンブルーのことも聞いていたけど、有力馬解説で文字数が多くなったので、ここではカットしちゃったんですよ。だから私だけ得したみたいになっちゃいました…。ブログ公開しているので、読んだ人は良かったですが。

 こういうのは全部入れないと駄目だよ。

 すみません。今井さんには速すぎない流れの内目の枠と聞き、緩い流れになりそうだったので、ブログには「強い相手に怯まないC系ステイゴールドなら人気がないほうが、より頑張れるのではないか。(中略)前走勝ちの疲れは心配だけど、Sペースだったので大丈夫」と書きました。

 流れが実際遅くなったからね。いつも言ってるけど、強い相手の内枠向きというのがステイゴールドの特徴だ。

 この好走条件と同じなのが、エイシンフラッシュですよね。前回聞いた理想条件でも「内目の枠でやや緩めの流れ」でした。

 オーシャンブルーもエイシンフラッシュも好走条件は似ている。エイシンフラッシュは一昨年よりも1戦多かったうえに天皇賞・秋を勝っていた。だから流れは向いて見せ場はあったけど疲れの少ない昨年の2着には及ばなかったんだ。改めて蓄積疲労、ストレスの怖さを思い知らされたレースだったね。僕は外枠でも内に入ることを期待してステイゴールド産駒のナカヤマナイトにしたけど、外をずっと回って集中力が切れた。C系がまた増えて、集中力の切れやすい状況になっちゃってたこともあるけど。

 オーシャンブルーは距離がやや長いから、緩い流れのほうがいいと教えてもらったのですが、そういうことだったんですね。ところで、ルーラーシップはまたも出遅れましたが、3着まできましたよ。強いですね〜。

 出遅れて3着までこれたのだから凄いと言うけど、そんなに驚くことじゃない。出遅れたことで流れの外から競馬ができるわけだから。もしスタートを決めていたら着順をひとつ上げていたかもしれないけど、馬群の中へ入ることになるから逆に嫌気が差した可能性もある。スタートを決めた場合、下手したら惨敗という可能性だってあったんだ。

 ルーラーシップにとって、出遅れが絶対的不利の要素ではないということですね。

 2年前(2010年)のペルーサもそれまでの出遅れての好走から、「出遅れなければ」と有馬記念では人気になって、スタートが上手く切れたのに4着だっただろ?もう疲れてたから、出遅れなかった為に、馬群に入ってしまったので、疲れの影響が出て逆効果になったんだ。ペルーサは有馬記念の2走前の天皇賞秋では出遅れをしたのに2着に来ただろう?しかも、このレースは追い込めない流れだったのにだ。

 もちろん、ゼンノロブロイが揉まれるとダメなタイプだから余計に、出遅れると有利なんだけどね。ルーラーシップはそこまで揉まれ弱くないから、疲れてさえなければ、出遅れない方がよいよ。でも、疲れやすさを加味すれば、疲れてるときは、出遅れは流れの外に行けるからマイナスにはならない。量が豊富で、本質的に外々回して良いタイプだから。

◆まずは中山金杯から
 有馬記念に続いて年始の金杯も当てて勢いに乗りたいので、お願いします!中山では、ダイワマッジョーレが人気になりそうです。金鯱賞でオーシャンブルーの2着だった年明け4歳馬ですね。金鯱賞勝ちのオーシャンブルーが有馬記念で好走できたなら、この馬も疲れは心配せずに狙えるってことですか?

 もしオーシャンブルーの好走で人気になるなら面白くないよ。オーシャンブルーはさっきも言ったようにステイゴールドだろ?

 はい、強い相手に怯まないC系です。

 ステイゴールドのオーシャンブルーは、その特徴に合うGIIからGIという相手強化のステップが良かった。

 ダイワマッジョーレはダイワメジャー産駒です。

 ダイワメジャーは、強い相手に強いステイゴールドや弱い相手に強いゼンノロブロイのような相手の強弱に影響を受けるタイプではない。相手より自分の問題になる。仮に金鯱賞から有馬記念に出た場合は、オーシャンブルーのような加点はなかった。ゼンノロブロイのようなマイナスもないけどね。

 根本的なキャラクターが違うわけですね。

 だから、C系のオーシャンブルーが有馬好走したからといって、レースの価値が上がるわけではない。

 なるほど。では金鯱賞にこだわらず、ダイワマッジョーレ好走の可能性を教えてもらえますか?

 前走が対古馬の初重賞、2走前が準オープンだから鮮度はある。過去の金杯では、前走格上げ戦の場合は1番人気1着と2番人気2着の2頭が連対して、あとは惨敗している。準オープンから重賞への格上げ初戦で連対して強いと思われるだろうけど、鮮度があったわけだからね。今回のステップに関して言えば、その馬の能力以上が引き出されるステップではない。

 加点もないということ?

 マイナス点も、まだ鮮度があるぶん少ないけど。GIIで2着なのに55キロは単純にハンデが有利だし、前走よりも相手は落ちるから、物理的には有利になるよ。ダイワマッジョーレ自体は鮮度がマックスだった前走が100%だったとしたら、今回はストレスから80%の力しか出ないと考えるのが妥当だけどね。

 『大穴血統辞典』でも、ダイワメジャーの疲労耐久指数は「47」だし、衝撃指数も「46」なので前走の金鯱賞の8番人気2着を考えると、プラスな感じがしないですね。では、そんなダイワマッジョーレの今回の理想条件は?

 疲れが多少あるから、4枠くらいでペースは緩いほうがいい。ハイペースの内枠や、外を回るのは疲れの影響が出てしまうから。流れは緩ければ緩いほうがいいかな。

 内外すぎる枠ならペースがかなり緩くなることがポイントですね。つづいて、有馬前の追い切りでゴールドシップと併せ馬をしたジャスタウェイですが。調教VTRを見ましたが、ゴールドシップよりいい動きでした。『大穴血統辞典』ではハーツクライも疲労耐久指数が「47」と低いので、天皇賞秋以来の間隔も、十分開けていて良さそうです。

 ハーツクライの臨戦過程としてはよい。ただ、ハーツクライは精神コントロールが難しいんだ。

 今回の中山2000mはコントロールしやすいですか?

 ジャスタウェイの場合、1800m以下で好走しているのは、そのくらいだと折り合いを気にしなくていいという精神面からだ。物理的な距離適性はもっと長い。前走は延長で流れが緩くなったので、コントロールがしづらかった。だから、今回の同距離というのは精神コントロールのしやすさでいえばプラス。さらに前走は好位で競馬をしたけど、これも精神コントロールの面では良くない。精神を押さえ込むには、前へ行くとか溜めるとか極端なほうがいい。今回は自然にポジションを下げる、差しに回る位置取りショックがベターだろうね。

 理想の枠や流れは?

 一番の理想は今言ったように、前走より後ろの位置取りショックがかけられること。ペースが上がって自然に7・8番手とか。緩い流れなら内枠で前に壁を作って折り合わせるのがいい。

 速い流れなら?

 その場合は内枠でなくても大丈夫だけど、とにかく精神コントロールができることが重要だよ。あとは、間隔をあけているのにマイナス体重だったら良くない。有馬記念のスカイディグニティもそうだったんだけどね。

 えーっと、スカイディグニティは菊花賞以来でマイナス6キロでした。

 調教が緩い場合、間隔があいて太っていれば、体が出来てなくても、リフレッシュ効果はあるということでチャンスがある。でも、マイナス体重ということはリフレッシュ効果もないし、もし強い調教をしていればまだ良かったけど、スカイディグニティは調整も緩いのにマイナス体重だから、体調に問題があったとしか思えない。使える状態ではなかったことが馬体重から分かる。

 今回のジャスタウェイも、調整過程と当日の馬体重には気をつけたほうがいいんですね。

 あと、馬場も位置取りもペースも、極端なほうがよりベターなタイプだ。

 近走、好走を続けているアドマイヤタイシはどうですか?

 僕は福島記念で格上げ鮮度があったから、本命にしたよ。

 福島記念は8番人気2着の激走でしたよ!前走の朝日CCは?

 前走は短縮の阪神1800mという、この馬には福島記念よりもベストの条件だったけど、激走ストレスがあるのと人気が上がったぶん、面白くないので押さえに回したんだ。

 今回の理想条件はどうなりますか?

 混戦向きで、内〜中枠がベター。

 ペースは?

 ペースの速い遅いよりも、上がりがかかったほうがいい。福島記念は上がりがかかりそうだったから本命にして、朝日CCは人気になったのもあるけど、外回りでスローになりやすいから上がりが速くなると思って押さえにしたんだ。でも、ハイペースで上がりがかかる流れになった。仮に緩い流れでも馬場が悪ければ福島記念が上がり34.9秒で間に合ったように、この馬には向く。理想は35秒前後の上がりで間に合う流れか馬場になること。

 連続好走の疲労はあります?

 疲れのぶん、流れに入ると良くない。前走は3角3番手だったけど、今回はそういう積極策ではなく、もう少し抑えて中団くらいがベターだ。理想はペースが速くて前走よりも少し控える位置取りショックが自然にかけられること。それから道悪はうまいから、馬場が渋ってもOK。

 次は休み明けのタッチミーノットですが。『大穴血統辞典』でおなじみのダンスインザダーク産駒です。飽きやすいキャラクターが出ているのか、鉄砲駆けする馬ですよね。

 休み明けで好走しているのは、リフレッシュして気持ちよく走れているから。だから今回も気持よく競馬ができるかがポイントになる。

 それにはどんな条件が揃うといいですか?

 先行して速い上がりが出せるという、先行馬としては珍しいタイプだから、緩い流れで上がりの速い前残り競馬を前へ行くのが理想。ダンスインザダークも精神コントロールは難しいタイプだから、外過ぎる枠だとあまり良くない。

 内枠ならどこでもいいですか?

 前に壁を作って3・4番手で競馬できれば最内でもいいよ。今回はハンデ戦の57キロだけど、上がり勝負は斤量が軽いほうが有利だから、4角である程度のセーフティリードを取っておいて、直線を向くのがいい。団子だと軽い馬にキレ負けしやすくなる。

 逃げたほうがいいということですか?

 いや、有力馬に対してのリードを4角で取っておくということだ。レコード決着とかハイペースの場合は、最初からスピードが出ていて重い斤量を背負っていてもスピードで突っ込めるので関係ないんだけど、上がり勝負になると直線でギアを入れないといけないから、斤量の差が出やすくなるんだよ。

 鞍上が横山典ジョッキーなので、思い切った先行に期待したいですね。最後にモンテエンをお願いできますか? こちらは叩き2走目です。

 ゼンノロブロイは相手強化が良くないことは、何度も言ってるよね。

 はい。ルルーシュのところでもお聞きしました。モンテエンは前走がオープンなので、今回の相手強化はマイナスですね。そのマイナスを相殺するには?

 まずは揉まれないこと。少し渋る馬場でバラけるとかはこの馬にはプラスだ。

 枠やペースは?

 流れは自然に外が伸びる差し競馬、距離ロスがあっても外が伸びる流れを揉まれずに走れたらベスト。枠は6・7枠あたりの外めでバラけるのがいいだろう。中山でそういう条件が揃う可能性はそれほど高くはなさそうだけどね。 こう見てくると、有力馬はどの馬も人気薄の穴なら狙いたいクセ者ばかりで、人気だと他のを狙いたくなるよね。

◆京都金杯はどう見るか!?
 つづいては、京都もお願いします。こちらは登録馬が39頭もいて、現時点でジャッジしてもらうのは難しいかもしれませんが。まずは、ダノンシャークですが、前走GIはメンバー唯一なんですよね。

 過去の傾向を見ると、前走マイルCSは、4着以下がベターだ。間隔をあけるのはプラスだけどGIだから疲労が残るし、そこで好走すると斤量を背負わされるから。

 ということは、ダノンシャークのマイルCS6着というのは、プラス査定ですか?

 もともとディープインパクト産駒は間隔をあけて、疲れていないほうが走れるし、この馬自体も中10週のマイラーズCで6番人気2着と好走しているから、ステップ的には悪くないよ。ただ、前走が6着とはいえ疲れはあるし、秋に3戦しているから。

 疲れを出さないための条件は?

 枠は中枠くらい、内すぎないほうがいい。ディープインパクトは疲れがある場合は、外が伸びる馬場が向いているからね。上がりが速いけど差しが決まるという流れが理想。京都の好走が多いのは、京都がそういう流れが多いからだ。

 京都のマイルCSで好走できなかったのは?

 馬場が渋って本当のスタミナ勝負になってしまい、京都にしてはタフで厳しくなったぶんだ。疲れているときはもう少し緩くて、自身が33秒台で差して来られる差し馬の流れになるといいから。

 速い流れになったら?

 特に外枠なら速くても致命傷ではないけど、勝ちに動くような勝負には出ないほうがいい。上がりを温存することが大事だ。ディープインパクトは相手ではなく自身の力をそのまま出すタイプだから、疲れていないと自身の能力をそのまま発揮できる。

 阪神JF3着、桜花賞4着のサウンドオブハートは、前走の初古馬戦で牝馬限定のハンデ戦ながら勝利しましたね。ただ、アグネスタキオンも『大穴血統辞典』では疲労耐久指数が「43」と低いんですよね。

 タキオンは量系で、弱い相手に強く強い相手に弱い。

 ゼンノロブロイと同じですね。

 阪神JF、桜花賞で着順を落としたように、格下には安定して力を出せるタイプだ。だから、今回のこの馬の能力がどのあたりの位置付けなのかがポイント。前走で同じマイル戦を走った疲れがあるから、疲れていない状態で今回のメンバーに3〜4馬身離して勝てる力がないときつい。そこまで強いかどうか、買う側はそういう能力判断を迫られる。

 能力比較をしたうえでの理想条件は?

 もともとパワータイプでペースが速い脱落戦に強いタイプなので、先行してペースが厳しくなっても不利ではない。

 朝日杯FSの事前解説でやった、ローエングリンと同じですね。

 だから、本来は上がりがかかる前残りでもいい。ただ今回だけは疲れがあるから良馬場なら淡々としたペースの前残りの方がベター。道悪でバラければペースは関係ないけど。東京や京都、新潟みたいな広くて速いコース、淡々とした競馬が得意だから、疲れのある今回中山ならアウトだったけど、京都に登録したのは良かった。京都特有の緩い流れの前残りになってくれるのが理想だよ。結局注文が付くし、疲労が大きすぎればそれでもアウト。人気だろうし、前走よりは期待値が低くなる。

 前走勝ちでは、朝日CCのショウリュウムーンがいます。

 ショウリュウムーンはキングカメハメハにしては珍しく消耗戦に強いタイプ。前走は延長なのにハイペースになって、14000の2走前よりペースが上がるという珍しい現象が起きたから走れた。スローだったら凡走してたよ。

 今回は短縮ですが。

 ペースが速くなっての差し競馬が向くから短縮はプラスも、今回は疲れがある。

 ということは、やはり馬体重のチェックですね。

 大幅な増減は反動が出ている可能性があるからね。

 『大穴血統辞典』の書き下ろしで登場したトーセンレーヴも登録しています。その血統辞典では、短縮や相手弱化がプラスで、疲労耐久指数「47」などを使って、具体的にトーセンレーヴの好凡走を解説してもらいました。今回は中5週のオープン特別からの出走です。

 疲れやすいディープインパクトが間隔をあけてリフレッシュしているのは、さっきも言ったようにプラス。

 どんな流れが得意ですか?

 トーセンレーヴはディープインパクトのなかでは相対的に上がりが掛かってもOKなタイプなので、34秒中盤で勝ち負けする流れがベスト。それに、差し馬で57.5キロのハンデは、勝つことを考えるとあまり上がりが速すぎない、ある程度掛かったほうがいい。馬場が渋るのも、馬群がバラけて少し上がりも掛かるから悪くない。あと、この馬は位置取りショックがよく効く。洛陽Sは先行から差し、エプソムCは差しから前へ行く位置取りショックで勝っているだろう?

 そういう意味では、今回は前へ行く位置取りショックが効果的なんですか?

 ペースが多少遅くなっても、前へ行けば、自身の上がりが掛かったとしても物理的にOKということにもなるからね。ディープインパクト産駒にしては珍しく、遅い場合は特に前に行った方がよいタイプだ。いずれにしろ、ペースの如何にかかわらず、自身の上がりが掛かるようにすることがポイント。ショックは勝ち負けするならだから、失敗の可能性もあるギャンブルだけどね。

 枠の理想はありますか?

 今回はスムーズな競馬がしたいから、あまり内枠すぎないほうがいい。

【お知らせ】

【お知らせ】
このほかの出走馬については「競馬王ブログ」で紹介いたします。そちらもあわせて御覧ください。(『大穴血統辞典』担当)

また2012年度の更新は今回で終了となります。2013年度は1月9日から更新いたします。

大穴血統辞典2013-2014

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※正誤表が競馬王ブログに掲載されています。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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