スマートフォン版へ

フェアリーS

  • 2013年01月11日(金) 18時00分
 12月に距離1200mで行われていた当時も、GIの「阪神JF」から折り返した馬の好走が珍しくなかったが、2009年から1月の中山1600mに変更されて、レース間隔もぴったり。その結びつきはさらに強くなっている。

 過去4年の勝ち馬のうち、2009年ジェルミナル(阪神JF6着)、2011年のダンスファンタジア(阪神JF9着)、昨2012年トーセンベニザクラ(阪神JF10着)。計3頭が12月の阪神1600mのGIに挑戦していた馬である。そろってGIではあまりいい成績ではなかった共通点もある。

 そのうえ、4年間で、阪神JFに出走していた馬の数は2009年から順に「3頭、0頭、2頭、2頭」しかいない。つまり、阪神JF組が出走していた馬がいた年は(2010年は不出走)、きまってその中から勝ち馬が生まれるパターンができかかっている。

 GIでは通用しなかったとはいえ、のちのクラシックで上位を争うこと必至のトップグループと対戦してきた阪神JF出走馬は、やはりそれなりのレベルなのである。

 で、今年の該当馬はサンブルエミューズ(父ダイワメジャー)ただ1頭しかいないが……などと、短絡きわまりないことを思っていたら、ふつうの3歳戦の多頭数では明らかに不利な外の14番を引いてしまった。阪神JFの出走馬が断然有利はもう知れわたっている。まして、人気は間違いない。サンブルエミューズは大丈夫だろうか。

 サンブルエミューズの場合は、かなり信頼できる要素が多いと考えたい。阪神JFで過去の馬とちょうど同じような「8着善戦」だった、などということはまったく関係なく、今度は1分34秒5で快勝の記録をもつ、地元の中山1600mである。その芙蓉Sは出負けしたうえダッシュつかず、前半はちょっと離れた最後方追走だった。

 流れがスロー(前半1000m通過59秒9)なので、追い上げが容易だったこともあるが、3コーナー手前から一気にスパートして馬群の外にとりつくと、そこで一息入れてしばらく待ち、11秒4-11秒2の残り2ハロンで2度目の加速。1分34秒5の勝ち時計や、上がり3ハロン33秒9-推定11秒0の数字以上の大楽勝だった。

 追い切りの動きも上々。岩田騎手とのコンビでは、逃げ切りと、追い込みで2戦2勝。ここまでのところ、中山1600mベストと思えるダイワメジャー産駒の良さを前面に出している。祖母は桜花賞馬キョウエイマーチ。このフェアリーS出走組は、09年のジェルミナルが桜花賞で3着しただけでクラシックとは結びついていないが、先週の1600mのシンザン記念と同じように、路線の重要な一戦になっても不思議はない。

 うまく内を引き当てた先行型のウインプリメーラと、大外の不利はあるが目立って動きのいいスイートサルサ、2戦2勝のスズノネイロが相手本線。

 イリュミナンスと、スマートルピナスが連の押さえ。もう1頭、良績はダートだが、デキの良さ文句なしと思えるタプローム(父ケイムホーム)をぜひ加えたい。日本での1週目は【0-1-1-10】のD.マクドノー騎手。まだテンから速い流れのレースに対応できていないが、日曜の新馬でハナを切るなど、強気で積極的な挑戦の姿勢をみせている。今週はもう結果が出るかもしれない。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング