スマートフォン版へ

地方重賞の成績をどう評価するか

  • 2013年01月15日(火) 12時00分
 今週は東海Sが行われるが、ダート重賞ということでこの機会に地方側で行われるダートグレードレースにおける実績を中央の重賞でどの程度カウントすべきかという問題を考えてみたい。

 このコラムを読んでいるような競馬ファンはかなりコアサイドのファンだろうから、「普通の中央ファンが軽視する地方での実績が大きくモノを言う」というようなことになれば面白いのだが、最近の成績を見るとそうも言えなくなってきた。

 データとして検索しやすいのは「前走地方(ほとんどがダートグレード)→今回中央のダート重賞」という形なので、今回はこれを基準としよう。中央の古馬ダート重賞のみを対象とし、中央所属馬が前走地方のレースに出走していたケースを検索する。

 該当する馬は2003年以降でのべ326頭おり、全馬を均等買いした場合の回収率は単42%・複85%。これだけでも単が低いのだが、2011年2012年の2年間、つまりここ2年は[1.5.5.54]で回収率が単3%・複46%。勝ったのは2011年JCダートのトランセンド(前走はJBCクラシック2着)だけだ。

 それ以前も含めて中身を見てみると、前走(地方側のレースで)で大きく負けていたりそもそも人気になっていなかったりという馬は当然というか機能しておらず、ごく少数の例外(前走が地方のGIで負け→次走中央のG1で人気薄2〜3着、など)が複勝回収率を支えているという印象だ。

 GII、GIIIレベルの場合、過去の実績で地方側レースの中央枠に入っている馬は中央側に帰ってくると通用しづらい。地方側で勝ち負けしてくる勢いは求めたいところだ。

 以上は「前走が地方」というケースを前提にした話だが、前々走やそれ以前に地方側のレースに出走していたケースにおいても、成績評価については同様のことが言えるだろう。面白みはないが、地方側の重賞に出るとしたら真っ先に中央枠に入り、普通に勝ち負けしてくるような状態の馬が無難だ。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング