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ブラックタイド産駒の特徴と好走条件

  • 2013年01月30日(水) 18時00分
 そろそろ新種牡馬の産駒も出走数が揃ってきて、恒例の新種牡馬分析が出来るぐらいまでになってきた。そこで今回は、はやくも重賞勝ち馬を輩出したブラックタイドについて見てみよう。

 ブラックタイドはディープインパクトの全兄で、現役時代は3歳春にスプリングSを勝っている。

 タイプは弟のディープとちょっと違い、大ざっぱなパワー型だった。父がアグネスタキオンに替わったニュービギニングも同様の大ざっぱタイプだったように、母父がアルザオだと基本的には大ざっぱで単調なパワー競馬をして強い血統になる。ディープインパクトにはその恵まれたパワーに、C的な要素も多少加わったわけだが、ブラックタイドやニュービギニングには、そういう面はまったく見当たらなかった。

 現役時代のブラックタイドは揉まれると弱いうえ、外から強引に捲ったり、先行したりと、緩急を付ない競馬をして強いタイプだったので、産駒もそのようになるだろうと、『大穴血統辞典』にも載せた。

 そして、産駒初重賞勝ちをおさめたテイエムイナズマは、まったくもってその通りのタイプになった。未勝利戦を14頭立ての大外14番枠から大捲りで完勝。一転、続くデイリー杯2歳Sでは逃げ切り勝ちしたのだった。

 このとき、未勝利、重賞とまったく違う戦法で2連勝したことが評価されたが、それは違う。いつも書いているように、逃げや大外捲りという戦法は、位置取りが違うだけで、その意味するところは同じだからだ。つまり、他馬との接触を避け、一本調子に競馬をするタイプが取る戦法である。

 基礎能力が高く、かつパワーはあるが集中力が無く、揉まれると嫌がり、また我慢が利かない緩急に弱いタイプが先行か捲りを得意とするのは想像に難くないだろう。次の京王杯2歳Sでは、前2戦の内容が評価されて1番人気となったが、16頭立てのフルゲートの中枠で、自分の競馬が出来ずにレースを投げ出し、9着に終わった。

 同じくオープンで好走したディーエスタイドもまったく同じタイプだ。未勝利勝ちは14頭立ての10番枠とやや外目の枠から。レースは10-5-4という位置取りで豪快に捲り勝ち。一転、続くオープンのコスモス賞では8頭立てでスローな展開の中を2番手から運んで3着に粘り込んだ。

 すでに読者のみなさんも、「どこかで見た戦法だ」と感じていることだろう。そう、他馬と関わらずに自分の力を一本調子に出し切るという、テイエムイナズマとまったく同じ乗り方である。

 さて、ディーエスタイドの続く2戦は多頭数の中枠で好位からという正攻法を取ったために、戦意を失って凡走。次に選んだのがダートの1800m。初ダートからか、ダッシュが付かずに13番手。これが良かった。得意の大捲りを決めて、最速上がりで2着に好走したのだ。

 初ダートで、この大ざっぱなレースをして2着ということで、次走の黒竹賞も人気になった。しかし、前走芝からのショック激走の反動もあり、嫌気が差してレースを投げ出し7着に敗れた。

 以上のことから、ブラックタイド産駒が一本調子のペースで走れば強いことは一目瞭然だ。また、それと同時にショックや昇級戦など、フレッシュなほうがいいことも分かる。これは生涯鮮度についても言え、次第に尻つぼみになってしまう産駒も比較的多いだろう。

 馬券的には基礎能力そのものが高くないと厳しい種牡馬なので、早めに当該産駒の能力を判断することが重要になる。それと同時に、いかに気分良く一本調子に競馬出来るかの判断が重要だ。

 楽に先行出来そうか?
 あるいは外から捲れそうなレースか?

 パワーはあるし、レースがばらけたほうがいいので重い馬場は歓迎。ただ一本調子な競馬なので、高速馬場も向く。体力を活かして強引な競馬が出来る確率が高くなるからだ。また、パワーと体力を活かせる上がりの掛かる馬場に向いているが、極端な馬場で強引に走りきるのが合うので、仕掛けがハマまれば高速上がりも悪くはない。

 ディープインパクト産駒にはC的要素も伝わっているのでそれほどでもないし、ブラックタイド産駒とはまったく違う条件で走ることが多いが、本質的な部分で類似した問題が内在していることは忘れてはならない。

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※正誤表が競馬王ブログに掲載されています。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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